中部縦貫道のルートとして考えられている長野の松本から上高地方面へ通じる国道158号で、改良事業が進んでいます。狭隘かつ災害が多い区間を改良するものですが、肝心の中部縦貫道はどうなっているのでしょうか。

関東甲信と中部山地をつなぐ細い動脈 国道158号

 北アルプスで隔てられた長野県松本と岐阜県高山。現在は梓川沿いを遡上する国道158号が、ほぼ唯一といっていいルートですが、ここには福井まで通じる「中部縦貫道」を通す構想があります。この中部縦貫道は、関東甲信〜中部山地をつなぐだけでなく、東京から北陸3県への最短ルートにもなるものです。

 長野〜岐阜の区間における中部縦貫道としてのルートは、長野道から松本の平野部で「松本波田道路」が建設中のほか、県境部の「安房峠有料道路」が開通済みです。しかし、この前後の区間は事業化されておらず、松本から福井まで続く中部縦貫道のなかで、具体化が最も遅れています。

 その一方、国道158号の山越え区間に、“中部縦貫道ではない”新ルートも建設されています。そのひとつが国道158号のバイパス建設事業「奈川渡改良」です。

 事業区間は奈川渡ダムの東側の約2.2km。現道は昭和のダム建設にともなって造られた狭い山道で、落石や雪崩などが多発、加えて大型車の行き違いができないトンネルが連続しています。このルートは上高地や白骨温泉といった観光地に通じていることもあり、バスも多く走ります。

 現地では、大白川を渡るヘアピンカーブの真ん中に、高い橋脚が出現しています。このヘアピンカーブを見下ろす橋の前後にそれぞれトンネルが接続。うち長い東側の1号トンネル(大白川トンネル)はほぼ完成、西側の2号トンネル(新入山トンネル)も掘削に入っています。

 もうひとつ、バイパスをつくる箇所があります。奈川渡ダムの下流側、稲核(いねこき)ダム付近から東側およそ1.5kmの切り立った崖下の現道をバイパスする「狸平改良」です。ここは現道に並行するトンネル掘削が2022年6月から始まったばかり。トンネルの工期は2025年1月までとされています。

 しかし、この2区間以外も国道158号の線形は厳しく、松本〜高山の移動は安房峠道路経由でも約2時間を要します。そのような道を、高山〜新宿線の高速バスなどが毎日行き交っています。

 抜本的な改良は、中部縦貫道の事業化にかかっているといえます。松本波田道路と安房峠道路をつなぐ「波田〜中ノ湯」区間は、2022年7月に事業化へ向けた国の第2回検討会が開かれたばかり。安房峠道路から岐阜県側の「平湯〜日面」区間は、すでにルート検討段階へ進んでいます。