77年前の9月12日、アメリカの全翼戦闘機「XP-79」が初飛行しました。

パイロットは腹這い姿勢で操縦!

 1945(昭和20)年の9月12日。アメリカのノースロップ社(現ノースロップ・グラマン)が開発した全翼戦闘機「XP-79」が初飛行しました。

 全翼機は、胴体後部や尾翼がなく胴体メイン部分と主翼が1枚の翼として一体構造になるようデザインされた飛行機です。つまり、胴体から翼が生えるのではなく、左右にある翼の間にあたる膨らんだ部分にコクピットやエンジンが収納されているという、極めてシンプルな形状です。この形状だと、空気抵抗を極限まで抑えることができ、同じ翼面積の飛行機と比べると軽量化も図れ、胴体の内部容積を極限まで広げることが可能というメリットを持っています。また、その形状からステルス性も高く、燃費の向上も期待されました。

 これらのメリットを持つ航空機のため、ドイツやアメリカでは研究が進められ、一部の機体は実機の製造まで進んでいます。そのひとつが、この「XP-79」でした。第2次世界大戦中にアメリカが試作した本機は当時としては先鋭的で、ジェットエンジンを搭載した意欲作です。ブーメランのような主翼に、2基のジェットエンジンが取り付けられ、小さな垂直尾翼を2枚、その後方に備えています。その姿は、例えるなら魚類のイトマキエイ(マンタ)に似ているといえるでしょう。

 コクピットは2本のジェットエンジンに挟まれる形で機体中央に存在しますが、「パイロットはうつ伏せになって操縦する」という珍しい設計になっていました。こうすることで、極限まで機体の出っ張りをなくすのに加え、急上昇・急降下時のパイロットへの負担を軽減する目的があったといいます。

 紆余曲折を経たのち、エドワーズ空軍基地で念願の初飛行が行われました。しかし離陸から約15分が経過したころ、機体がきりもみの動きに入り、コントロールを失ったまま墜落。この影響で、次なる試作機が造られることなく、開発プロジェクトは中止となりました。

 その後、全翼機が実用段階に入るのは1997(平成9)年、B-2爆撃機の本運用開始まで待つことになります。