3年ぶりに開催された三沢基地航空祭。注目は航空自衛隊F-35Aのデモフライトでしたが、それとは別に地上ではF-35Aの装備品展示も行われていました。それらを一通り見ると、日本のF-35Aが戦力化目前なのを実感することができました。

3年間で大幅に機数増えた空自のF-35A

 2022年9月11日、日米が共同使用する青森県の三沢基地において「三沢基地航空祭」が開催されました。同基地で一般公開イベントの航空祭が開催されるのは3年振りのこと。そのため、数多くの来場者でにぎわいましたが、今回注目を集めたのは、航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F-35A「ライトニングII」関係の展示です。

 この航空祭でのF-35A展示は、コロナ禍前に開催された前回の2019年にも行われていたものの、当時は配備から間もなくの頃であったことから、機体の地上展示と簡単な飛行(天候の問題で本番は中止)のみでした。しかし、初配備から5年も経った現在ではF-35Aの訓練や部隊練成も進んだこともあり、その展示は非常に充実した内容になっていたのが印象的でした。

 今回はF-35Aの機体が複数展示されただけでなく、実際に飛ぶ姿を見せる飛行展示も行われました。特に圧巻だったのは12機のF-35Aによる一大編隊飛行で、これだけの数のF-35Aが同時に飛ぶ姿が見られるのは、国内だけでなく世界的に見ても珍しい光景といえます。

 また、空中戦のような激しい飛び方をする機動飛行もF-35Aを使って行われ、その激しいアクロバティックな飛び方を披露したことにより、この戦闘機がステルス性やアビオニクスだけでなく、機動性においても従来の戦闘機を凌駕する性能を持っていることを証明して見せたといえるでしょう。

 ただ、このような三沢基地航空祭のなかでも筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)が一番注目したのは、F-35A自体ではなく、それに搭載されるミサイルや爆弾といった武装品が展示された点でした。

初展示されたF-35Aの各種装備

 航空自衛隊では戦闘機に搭載する武装、特にミサイルの国産化をこれまで重点的に進めていました。空対空ミサイルの場合、現用だけでも90式空対空誘導弾(AAM-3)、99式空対空誘導弾(AAM-4)、04式空対空誘導弾(AAM-5)と、短・中射程の空対空ミサイルを国産装備品として開発。また、対艦ミサイルでは我が国初の国産対艦ミサイルである80式空対艦誘導弾(ASM-1)を皮切りにF-2戦闘機が運用する93式空対艦誘導弾(ASM-2)を実用化しており、現在ではさらに高性能なASM-3(改)などを開発中です。

 しかし、アメリカ製のF-35には国産開発の武装が対応していないことから、機体と同様に外国製の物が新しく採用・導入されています。また、第五世代の多用途戦闘機という概念自体が新しいため、航空自衛隊にとっては初めてとなる装備品も多く、その点が従来のF-15J「イーグル」やF-2といった戦闘機と比べて国産の武器が少ない理由のひとつにもなっているようです。

 展示されていたのは、ミサイルではAIM-120C「アムラーム」。対地攻撃用としてはレーザー誘導爆弾のGBU-12「ペーブウェイII」、GPS/慣性航法装置誘導のGBU-31(V)1「JDAM」、そして日本国内で見るのは珍しいGBU-39/B「SDB-1(小直径爆弾)」などでした。

「アムラーム」はレーダー誘導方式の中射程空対空ミサイルです。弾頭部分にレーダーが搭載されており、発射後はミサイル単体で目標に向かうことができる、いわゆるアクティブ誘導方式のミサイルで、ミサイルそのものが発射母機の誘導を必要とせずに自ら目標めがけて飛んで行ってくれるため、発射した戦闘機は、すぐさま離脱や次の攻撃に移ることができます。

 これは「撃ちっぱなし能力」と呼ばれるもので、これがあると戦闘機自体が空中戦において高い性能をいかんなく発揮することができるため、現在アメリカを中心とした同盟国で主流となりつつある空対空兵器です。また、最大射程もC型では約100kmあるといわれています。

バラエティ豊富な爆弾使って対地攻撃も

「ペーブウェイII」は目標に照射したレーザーの反射波を辿って目標に命中する誘導爆弾で、その最初のモデルは1960年代のベトナム戦争から使われている実績ある対地攻撃武器です。このようにレーザー誘導式は古くからある誘導方法ですが、レーザーによって数メートル単位の精度でピンポイントに目標を狙うことができるため、精密誘導兵器の代表格として、今でもその派生型が使われ続けています。

「JDAM」と「SDB-1」は、カーナビやスマートフォンなどで使われているGPSを誘導方式として使用する対地攻撃装備です。誘導装置は目標と自身の位置をGPSで判断し、落下経路は慣性航法装置を使って判断して目標に命中させます。この組み合わせは我々が日頃から使っているスマートフォンの地図アプリと同じです。

「JDAM」は2065ポンド(930kg)の大型弾頭で車両だけでなく建物などの大型目標の攻撃が可能。一方の「SDB-1」の重量は270ポンド(122kg)と、「JDAM」と比べると十分の一程度の重量ですが、大きさも半分以下のため、数多く積めるのが特徴です。専用のラックを使えばF-35A戦闘機の胴体内部に設けられたウェポンベイに最大8発まで搭載が可能。両者は同じ誘導方式ですが、強力な一撃の「JDAM」か、手数を増やして複数の目標を攻撃する「SDB-1」かで使い分けることが可能といえるでしょう。

 これら武装は、航空自衛隊にとってはF-35Aの運用開始に合わせて導入した「初モノ」ばかりです。それぞれの性能の高さもさることながら、それがF-35Aと一緒に展示されたことの意味は非常に重要だと筆者は考えます。というのも、戦闘機は単体では防衛力として意味をなさないからです。高性能な武器と組み合わせることで初めて所要の能力を発揮するのです。

 展示されていたのは実弾ではなく、訓練などに使うイナート弾(弾頭や推進剤が未装填の訓練弾)でしたが、傍らに立つ隊員たちの説明によれば、これらを使った訓練は日常的に行われているとのこと。三沢基地のF-35Aはただ飛ぶだけでなく、実際に兵器を積んで防衛力として活動していることを伺わせるハナシを聞くことができました。

 航空自衛隊のF-35Aは3年前とは明らかに異なるフェーズに移行しているといえるでしょう。三沢基地のF-35飛行隊が日本の空の防衛に直接関わるようになるのも、そう遠くないのかもしれません。