首都高1号羽田線で水底を通る「羽田トンネル」の老朽化問題。必要な大規模更新を進めていくにあたり、24年間、使われていない可動橋が活用されることになりました。羽田空港周辺の首都高が大きく変わりそうです。

老朽化する羽田トンネル 交通を止めずに更新のウルトラC案?

“ぶつ切り”の状態で使われなくなり24年が経つ橋が、首都高の「本線」として活用されることになりそうです。

 首都高速道路が有識者からなる「第5回首都高速道路の大規模更新・修繕及び機能強化に関する技術検討委員会」を2022年9月20日に開催。そのなかで、1号羽田線「羽田トンネル」の大規模更新のあり方について方針が示されました。

 羽田トンネルは1号線で羽田空港エリアのすぐ北側、海老取川の河底へと潜る箇所です。1964(昭和39)年に開通した首都高初の水底トンネルで、著しい老朽化が進行していることから、作り替えに当たる大規模更新のあり方が話し合われてきました。

 その主眼は、トンネルの更新工事中の迂回路をどうするかということ。1日10万台が通る本線を停めるわけにはいきません。そこで白羽の矢が立っていたのが、使われていない「羽田可動橋」です。

 羽田可動橋は羽田トンネルの上、海老取川に架かる「旋回橋」です。現在は2つの橋桁が途切れた状態となっていますが、これらをクルリと回転させて、1本の橋としてつなげることができます。旋回橋となったのは、架設当時にあった上流への船の往来を確保するためでした。

 架設されたのは1990(平成2)年のこと。川の南側に位置する空港西入口から上り本線へ合流するランプの一部として開通しました。湾岸線が未開通だった当時、羽田トンネル付近でしばしば渋滞が発生していたため。空港入口(現・空港西入口)から入ったクルマが、トンネルを経由せず本線に合流できる迂回路として、このルートがつくられました。

「空港の至近であるため、開通当初は航空法の関係から、ここはトンネルになりました。しかし空港機能の沖合移転で制限が緩くなったので、可動橋がつくられたのです」。首都高速道路 前田信弘社長は26日の定例会見でこう説明しました。

 しかし1994(平成6)年の湾岸線開通(一部)で羽田トンネル付近の渋滞は大きく改善され、1998(平成10)年に可動橋は運用を停止し、使われなくなっていました。

上りは「橋」、下りは「トンネル」に

 首都高としても、何かのとき迂回路になり得ることから、橋を残しており、羽田トンネルの大規模更新が取りざたされた当初から、迂回路としての活用が検討されました。

 将来的に、羽田トンネル前後は上下線で大きく異なるルートを取るようになるといいます。上り線が「橋」、下り線が「トンネル」になるのです。

 まずは可動橋を上り線の迂回路として活用。これによって空いたトンネルの片側を活用して大規模更新工事を進めていくことになるといいます。その後、上り線の迂回路は恒久的な本線となる見込みです。

 最終的にトンネルは、片側を下り本線、もう片側は、トンネル南側の空港西出口へのランプとして活用するとのこと。

「下り線は、トンネルの先に空港西出口があり、大規模な改変は難しいことから、いまあるトンネルを活用します」(前田社長)

 もちろん、可動橋はもとが1車線のランプ橋であることから、橋桁を付け替えて2車線のものとするのが前提だと、計画・環境部長の渡邊良一さんは話します。24年を経た橋脚が、それに耐えられるかどうかは、これから確認していくとのこと。

「トンネル含め、いまあるものを生かして大規模更新を進めていくことは、技術的にチャレンジングな取り組みになる」。渡邊さんはこう話します。