コロナ禍を経て3年ぶりに入間航空祭が開催されます。今回の注目ポイントは同航空祭で初披露となるC-1とC-2のコラボ飛行。両機とも同じ舞台に所属しますが、部隊マークが違うそう。その理由について探ってみました。

現在、入れ替えが進んでいる入間基地の新旧輸送機

 航空自衛隊入間基地で2022年11月3日、「入間航空祭」が3年振りに開催されます。今回は、入間基地に新型のC-2輸送機が配備されて初の航空祭であり、同じく入間基地に所属するC-1とのコラボ飛行が見られるというのがポイントになるでしょう。

 C-1輸送機は1970(昭和45)年に初飛行した機体で、自衛隊として緑と茶系の迷彩模様が施されているのが特徴です。日本初の国産ジェット輸送機で、短い滑走路でも離着陸できる高い短距離離着陸能力(STOL)と輸送機らしからぬ高い機動性を持っています。

 一方、C-2はC-1の後継として開発されたジェット機で、2010(平成22)年、初飛行に成功しています。新しいだけでなく輸送機としての能力も大きく向上しているのがポイントで、海外での任務も可能な長い航続性能を持っており、貨物の最大積載重量はC-1輸送機の約3倍の30tにもなります。機体の外見はC-1とは対象的に明るい青系の塗装がされており、巨大な外見とカラーリングから「空飛ぶクジラ」という意味の「ブルーホエール」というニックネームが付けられています。

 長年にわたり運用されてきたC-1は現在、退役が進められており、減っていくこの機体と入れ替わるようにして、後継機であるC-2が新しく配備されている状態です。ひとつの基地で同じ任務の新旧の機体が運用されることは珍しく、C-1とC-2が並んで見られるのは、世代交代の過渡期にある現在の入間基地ならではの光景といえるでしょう。

地味すぎない? C-2の部隊マークが目立たないワケ

 新旧の機体が揃うと、それぞれの違いが気になって色々なところを見比べてしまいます。筆者が特に注目した点は、垂直尾翼に描かれた部隊マークでした。航空自衛隊では、運用する航空機に所属する飛行隊や部隊のマークが入れられていることが多く、入間基地のC-1やC-2も例に同様で、所属する第2輸送航空隊のマークを垂直尾翼に描いています。

 第2輸送航空隊のマークは、日本列島を表すシンボルの上に勇ましい鷲の図柄がデザインされたものです。ただ、C-1とC-2は図柄こそ同じものの、色使いが大きく違っています。

 C-1輸送機の部隊マークは下地が青と白、鷲のマークが黄、そして日本列島のシンボルが赤、と鮮やかなデザインとなっています。しかし、C-2のマークはグレー系で統一されており、見た目のインパクトもトーンダウン。遠くから見た場合、部隊マークはC-2の機体塗装に視覚的に埋もれてしまい、全然目立ちません。

 なぜ、C-2のマークはこんなにも地味なのか。その理由は、目立たなくさせるためです。派手な色使いを避けて同色系の塗装にすれば、どこの部隊・基地に所属しているのか、遠目で認識し難くなります。

 このように、あえて目立たないようにする塗装のことを、軍事用語では「ロー・ビジビリティー」、略して「ロービジ」と呼びます。ちなみに、直訳すると低視認性という意味です。

他部隊でも進む「映えない」部隊マークへの切り替え

 現在、航空自衛隊では航空機のロービジ化を進めています。尾翼の部隊マークが本格的にロービジになったのは2016(平成28)年頃のことで、沖縄県那覇基地に第9航空団が新編された際に、所属する2個飛行隊が運用するF-15J「イーグル」戦闘機で全面的に採用されました。第9航空団は日本周辺での中国等の軍事的活動が活発化したことに対応して新編されており、ロービジ化もそんな現実的な脅威に対応するための措置だったといえるでしょう。

 例外もありますが、それ以降に導入された新しい機体の部隊マークはロービジ化されることが多く、三沢基地の最新鋭機F-35A「ライトニングII」や、美保基地の新型空中給油機KC-46「ペガサス」も、それぞれの部隊マークが機体の塗装に合わせたグレー系のロービジ仕様となっています。今後は地味なロービジが当たり前となり、従来のカラフルな部隊マークはレアな存在となると思われます。

 前述のC-1とC-2はまさにその状況だといえます。前者は1970年代に配備が始まり、後者は新造機で、入間基地に初めて配備されたのは2020年のことです。そこには約半世紀近い年月差がありますが、それぞれの時代で航空自衛隊並びに世間の状況も大きく異なっていた証左だといえます。

 同じ基地の同じ部隊であっても、部隊マークのカラーリングは大きく異なる。それは航空自衛隊と時代の移り変わりを表す象徴だといえるのではないでしょうか。入間航空祭などでC-1とC-2を見比べる機会があれば、部隊マークの色違いから、自衛隊の変遷について思いを巡らせるのも面白いのではないでしょうか。