海上自衛隊創設70周年を記念した国際観艦式の前後の日程で、「フリートウィーク」というイベントが開催中です。そこでは就役したばかりの最新護衛艦「もがみ」「くまの」を見学することもできるとか。両艦の特徴を見てみます。

海自の最新護衛艦3艦種を見比べ

 2022年11月6日(日)、海上自衛隊の創設70周年を記念した「国際観艦式」が相模湾で行われます。これに合わせ、海上自衛隊や諸外国の艦艇による一般公開や音楽隊の演奏などを行う「フリートウィーク」も2022年10月29日に始まりました。

 海上自衛隊の拠点である横須賀基地だけでなく、横浜や木更津といった東京湾内の各港にさまざまな艦艇が接岸、見学できる一大イベントということで、始まる前から話題となっていました。今回の観艦式は無観客で実施されるため、残念ながら甲板上から艦隊行動や訓練展示を見ることはできない一方、艦艇の公開は通常通り行われており、海上自衛隊の装備を間近でじっくり見て触れることができます。

 フリートウィークでは複数の艦艇に乗艦することができますが、筆者(深水千翔:海事ライター)が注目するのは、2022年に就役したばかりの護衛艦「もがみ」と「くまの」です。両艦は姉妹艦であり、ある意味で、将来の海上自衛隊を担うべく建造された次世代艦。ステルス性を考慮した外観が特徴的な護衛艦です。そこで同じく一般公開が行われた「あたご」(基準排水量7750トン)と「あさひ」(同5100トン)と比べながら、もがみ型護衛艦の特徴を見ていきましょう。

「もがみ」と「くまの」は、FFM(Frigate Multi-purpose/Mine-warfare)と呼ばれる新しいタイプの護衛艦です。両艦の基準排水量は約3900トン、コンパクト化、省人化、多機能化の3つをコンセプトにしており、合計で22隻が新造される計画となっています。当初は三菱重工業が主契約者、三井E&S造船が下請負者として建造を行うことになっていましたが、その後、企業の離合集散により、現在はすべて三菱重工グループが建造を手掛けています。

 1番艦の「もがみ」は2022年4月28日に三菱重工長崎造船所で、2番艦の「くまの」は同年3月22日に三菱重工マリタイムシステムズで就航しました。いずれも掃海隊群の直轄艦として横須賀基地に配備されています。

落水者が出たら、浮き輪どこから出すの?

 実際にFFMに乗ってみて他の艦艇との違いを一番感じたのは艦首側の甲板です。「あたご」や「あさひ」の写真と比べてみると一目瞭然ですが、浮き輪や各種スイッチ、ホース、揚錨機、係留索といったものが一切、置かれていません。

 これはステルス性をより高めるためで、係船作業で使用する機器は全て1層下の錨甲板に置かれ、艦内から離接岸作業を行えるようになっています。洋上補給装置のひとつ「スライディング・パッドアイ」も艦内に収められるよう昇降式のものを採用するほどの徹底ぶり。ヘリコプター甲板を囲む起倒式の手摺りも金属製の板になっています。

 艦橋を見上げると、それぞれの艦でデザインが異なることがよくわかります。イージス艦の「あたご」は多機能レーダーとしてSPY-1Dを艦橋の下側に装備。一方で2018年3月に就役した汎用護衛艦の「あさひ」は、多機能レーダーのOPY-1を艦橋上面に設置しており、それが外観上の特徴となっています。

「もがみ」型では塔型のマストに多機能レーダーOPY-2を置き、その上に電子支援装置、通信装置、電波航法装置を一体化した円筒型の複合通信空中線NORA-50(United Complex Radio Antenna、通称ユニコーン)を搭載しました。従来の自衛艦ではお馴染みだった速力信号標が付けられていないため、とてもすっきりした印象を受けます。こうした独特な艦上構造物とステルス性を考慮した船体が組み合わさることで、近未来的な印象を受けるシルエットになっているといえるでしょう。

 短魚雷発射管は「もがみ」型も搭載していますが、ステルス性を配慮してとうぜん艦内に格納されています。これは「あさひ」も同様で、同艦では短魚雷発射管のほかMOD(自走式デコイランチャー)も艦内に置かれており、開閉式のハッチによって船体の凹凸を最小限に抑えるようになっています。「あたご」では短魚雷発射管は開口部に置かれているため、こうした面からも護衛艦の進化の歩みを見て取れるでしょう。

 従来の護衛艦とは明らかに異なるシルエットを持つ「もがみ」と「くまの」。11月5日には大さん橋で「くまの」が、11月12日と13日には都心の東京国際クルーズターミナルで両艦が公開されるので、見に行ってみてはいかがでしょうか。