フツーは「海外に飛んでそこでパーツ取りに…」ですもんね。

リサイクル率96%?

 JAL(日本航空)では、2021年3月にプラット・アンド・ホイットニー製の「PW4000」エンジンを搭載するボーイング777国内線仕様機を、全機退役させました。役目を終えた777の多くは、海外へ売却という形で、日本を離れ翼を休めることになりましたが、そのようななか異例の転身を遂げた機体があります。

 その機体は、2005年から同社で運用されていた777-200「JA772J」。この機は退役後、国内で航空機部品の再利用、そして機体を用いたリサイクル商品の“原料”として解体されたのです。2022年11月9日、JALがその取り組みを、報道陣へ公開しています。

 旅客機の部品は技術基準により、飛行時間や飛行回数などが定められており、それを超えると機体から取り下ろす必要があります。この基準により高い安全性が保たれている一方で、こういった取り下ろし部品は、一般材料や第二の機能として十分に利用可能なほど品質がよく、高い付加価値を持つとのことです。

 機体の解体作業は、航空機のほかバスやトラック、船などでの解体作業経験を持つ三豊工業(富山市)が実施しました。解体は約1か月を要し、リサイクル率は96%を見込んでいるとのこと。

 また、JALでは、退役した旅客機のパーツをさまざまな形で活用。シートベルトを用いたキーホルダーやライフベストを用いたポーチ、シートカバーを用いたバッグ、好評を博すJALの“ガチャガチャ”企画「整備のお仕事ガチャ」の内蔵品などに生まれ変わっています。これらのグッズは、JAL機の整備を手掛けるJALエンジニアリングが中心となり、企画・製造が実施されています。

 なお、JALで運用されていた777でこのような取り組みがされるのは、JA772Jが2機目。1機目はボーイング777-300「JA8945」がこの対象機となっており、2022年5月に作業が実施されています。

国内でリサイクル、どんな効果が?

 JALによると、退役した旅客機を国内企業でリサイクルする取り組みは、以前から検討を進めていたものの、その機会がなかったとのことです。今回は新型機への更新や、新型コロナウイルス感染拡大などで旅客機が多く退役したことなども、この新たな取り組みが実現したといえるかもしれません。

 JALは今回、退役機をリサイクルした理由を「リサイクルを実施するうえでの環境面や安全面などを勘案しつつ、リサイクル業者との調整の結果、国内でも安全にリサイクルを実行できる目処がたったため、リサイクルを決定した」としています。

 国内でリサイクルをすることにより、海外売却のためのフェリーフライト(回送運航)を必要とせず、その分燃料を削減できるほか、資源リサイクルにも寄与。JALは今回の取り組みで、持続可能な社会実現(SDGs)に貢献できるとしています。

 JALの担当者は、今後の退役機の国内リサイクルの展開については「他の旅客機の兼ね合いを見ながら検討していきたい」としています。一方、このようなアップサイクル商品については今後も展開を進めていく方針のようで、「ただの素材ではなく、空を飛んできたストーリー性を楽しんでいただければと考えています。今後についてもできる限り、どういったところで使われていたかなど、空の旅に思いを馳せていただけるような工夫をしていきたい」(担当者)と話します。