ホントにどうなっちゃうんでしょうね…?

開発時は「新設備マシマシの旅客機」だった…?

 三菱重工グループの三菱航空機が手掛けた、「スペースジェット(旧称:MRJ)」が、2015年11月11日に初飛行しました。この「スペースジェット」は6度の納入延期を発表したのち、2020年に「一旦立ち止まる」とのコメントを残し、そこから大きな動きはありません。ただ、もし実用化されれば、日本初となるジェット旅客機が誕生することになります。

 1990年代から、100席以下の座席数で地方間輸送を担うジェット旅客機「リージョナルジェット」が航空会社のニーズを獲得し、その市場を広げつつありました。かつて国産旅客機「YS-11」の開発の中心となった三菱重工は、国からの支援をうけ、新型旅客機を開発することになります。こうして同社は2008年に三菱航空機を設立し、本格的な開発・販売活動を開始。これが「MRJ」、のちの「スペースジェット」につながります。

「MRJ」は当時のANAの報道資料によると、リージョナル機としてはじめて主翼・尾翼に複合材を本格的に採用したほか、最新技術を駆使した新型エンジンの搭載や最先端の空力設計により、燃料消費量が現行機材に比べ約40%改善するとされました。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同開発の成果を活用した最新の設計手法、要素技術、材料・加工法を導入し、客室の快適性や環境負荷の低減などにつなげているとしています。開発の後ろ盾となる初期発注者(ローンチカスタマー)はANA(全日空)で、JAL(日本航空)や海外の航空会社からの受注も獲得しました。

 当初2021年の就航を目指していた「MRJ」ですが、その後開発が当初の想定どおりのスケジュールで進まず、数度の納入延期を余儀なくながらも、2014年に完成機が公開。初飛行はかつて「名古屋空港」と呼ばれた県営名古屋飛行場で実施されました。ただ、苦難はその後も続き、さらに2回の納入延期。2019年6月には、機体の名称を「スペースジェット」に変更しブランドイメージの一新を図りますが、その後も実用化にむけ、順調な足取りを歩んでいるとはいえませんでした。

「スペースジェット」の現状は?

 そんななか2020年、世界の航空需要を大きく落ち込ませた新型コロナウイルスが襲います。こういったこともあり、10月22日、実用化に必要な「型式証明」の文書作成プロセスは継続するものの、3年あたりの開発費を従来計画の20分の1にまで削減する方針を発表しました。2022年3月には、「航空の用を供さない」として、3号機の国土交通省登録を抹消。アメリカにあった飛行試験の拠点も、3月末をもって閉鎖されたと報じられています。

 海外では、一足遅れて開発がスタートした、ブラジル・エンブラエルの新型リージョナルジェット「E-Jet E2」がすでに実用化。一回り大きな100席クラスの機体だと、ボンバルディア・エアロスペースが2008年に開発を発表した「Cシリーズ」の系譜を組む「エアバスA220」がすでに実用化しています。このボンバルディアは、かつてリージョナルジェット市場でエンブラエルとともに大きなシェアを獲得してきた会社です。

「スペースジェット」の本格的な開発再開予定をはじめとする今後の見通しの発表は、現状ありません。コロナ禍が収まったとき、この機が実用化にむけて動き出すのか、また、もし「一旦立ち止まる」状態が継続した場合、顧客である航空会社がこのクラスの市場をどのようにカバーするのかは、今後も注目されるところです。