ETC2.0のみを対象とした高速道路料金の割引について、2023年度も継続すべく国が予算を計上しました。おもに大型車には組み合わせで破格の割引が用意されていますが、一般にはピンとこないもの。一方でETC2.0の普及率は伸び悩んでいます。

ETC2.0の「破格の割引」って何だ?

 2022年11月8日、国土交通省は国費総額2兆216億円の第2次補正予算案の内容を公表しました。その中で、高速道路の「ETC2.0割引」の来年度継続を決め、その予算として77億5900万円を確保しました。

 ETC2.0割引とは、車載器の中でも2.0仕様を搭載している車両に対して、曜日時間帯に関係なく10%を割り引くという制度。車載器が2.0仕様であれば、車種は問いません。

 ただ、そのシンプルな割引が一般になじみがないのは、この割引を受ける前提が、事業者向けの「大口・多頻度割引」の対象であることが条件だからです。大口・多頻度割引を受けるためにはETCコーポレートカードを取得する必要があり、このカード契約で割引対象となるのは、1か月の利用額の契約車両合計が500万円以上となる事業者です。そのため個人の場合は、大口・多頻度割引を受けるための組合に組合員として加入して、割引条件を満たす必要があるなど手続きが複雑です。

 割引メリットは小さくありません。大口・多頻度割引は契約者割引と車両割引の2つで構成されています。契約者の合計3万円以上の利用で契約者割引として10%、車両1台当たりの高速道路の利用額に応じて車両割引10〜30%が適用され、大口・多頻度割引だけで最大40%割引に。これにETC2.0割引を組み合わせると、通常料金の半額で走行できる50%割引になります。

 ETC2.0割引と大口・多頻度割引は、深夜割引など他の割引が適用された後に重複適用されます。例えば、深夜に走行すると、まず通常料金から深夜割引として30%が割り引かれた後に、50%が適用されるので、重複適用すると最大、通常料金の65%割引で走行が可能になります。

 料金比率で見ると、普通車を1とした場合に大型車1.65なので、大型車でも普通車以下の料金負担ですむ破格の割引です。

 ちなみに一般向けのETC2.0だけの割引は、圏央道と東海環状道の走行を対象としたごく短距離に用意されていますが、大口・多頻度との組み合わせは、全線で適用されます。

予算を示さない事項要求を前倒しで

 ETC2.0割引は、2013年から始まりました。毎年、来年度予算の概算要求で示され、前倒しで補正予算に盛り込まれる形で、約10年継続されています。

 今回は2023年3月末日までが期限でしたが、第2次補正予算案に盛り込まれたことで1年延長され、2024年3月末日まで続くことになります。

 今回のETC2.0割引は、来年度予算で要求額を明示しない「事項要求」として示され、予算額が確定しました。72億円は2021年度と同額。道路局は「前年踏襲」と話します。

 一方、ETC2.0は乗用車などでは、あまり普及していません。2.0を普及させるのであれば、事業者に限定する必要はあるのでしょうか。

 国交省道路局は2.0を普及促進することで、「交通・物流・インフラ整備におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進を図る」と説明します。

 高速道路料金は、通行料金収入の総額が建設費と維持管理費の総額と等しくなるように設定されています。ETC2.0割引は、今回の予算案でわかる通り、割引分は税収で補填されました。

 インフラを支える物流を守ることは大切です。物流関係車両など高速道路のヘビーユーザーに還元することも必要です。一方で割引に頼ることなく、シンプルな料金体系で需要増を目指すことは、もっと大切なのではないでしょうか。複雑な割引が実態を見えなくしています。