1937年5月29日、アメリカの航空機メーカー・グラマン(現ノースロップ・グラマン)が水陸両用飛行艇G-21「グース」を初飛行させました。同機は映画『コマンドー』に登場した「羽の付いたカヌー」でもお馴染み。

「何が始まるんです?」グースの解説だ!

 1937(昭和12)年5月29日、アメリカの航空機メーカー・グラマン(現ノースロップ・グラマン)が水陸両用飛行艇G-21「グース」を初飛行させました。同機はアメリカ海軍や沿岸警備隊などで第2次世界大戦中、戦後を通して使い勝手のいい輸送機として使用されていました。

 この機体は、名前を知らない人でも、とある映像作品で目撃している可能性があります。アーノルド・シュワルツェネッガー主演で、1985(昭和60)年に公開されたアクション映画『コマンドー』での「羽のついたカヌー」です。

 同作は、脚本家の平田勝茂さんによる日本語吹き替え版が、ネット掲示板や動画投稿サイトを中心に根強い人気を博しており、もはや多すぎる名ゼリフ集だけで本編を視聴した気分になると言われることも。

 その中で、ひょんなことから、シュワルツェネッガー演じるメイトリックスと共に行動することになってしまったシンディという登場人物が、水面に浮かんでいるグラマンG-21「グース」を見て放った言葉が「こんなの飛行機じゃないわ! 羽の付いたカヌーよ!!」でした。

 この後、追手が迫るなかメイトリックスが「だったら漕げばいいだろ!!」と声を荒げ、「動けこのポンコツが、動けってんだよ!!」と昭和のテレビのように、拳で叩いてエンジンを始動。娘が囚われている敵の潜むアジトに向かいます。

「水陸両用、拡張性の高い変態機だ」

 劇中ではポンコツ扱いを受けていましたが、1980年代からすれば初飛行から50年を経た機体なので仕方ありません。しかし当初は、「空飛ぶヨット」と呼ばれる富裕層のための「空の遊覧船」を目指し、双発プロペラの飛行艇として設計されました。

 富裕層向けの、いわば娯楽のための機体にも関わらず、当時のグラマンの設計者は、要求以上の機体を仕上げます。

 航空機として確かな強度を持っているのはもちろん、当時としては珍しい、フラップなどの一部を除いてほぼ全金属製の高翼単葉機を作り上げました。しかも、胴体には手動引き込み式の着陸装置があり、水陸どちらでも着陸が可能でした。

 また、機体内部のスペースにはかなり余裕がありました。このスペースを活用すべく、まずアメリカ陸軍で水陸両用輸送機OA-9として採用され、その後、同海軍でもJRF-5として使われることになります。

 「グース」は第2次世界大戦中、輸送や救助のみならず、潜水艦の探索用としても使われました。戦中からアメリカ沿岸警備隊も購入し、パトロール機として運用、戦後は日本の海上自衛隊でも救難飛行艇として採用し、1961(昭和36)年頃まで使用していました。なお、民間機としてはまだアメリカ国内でチャーター可能なようです。

※一部修正しました(5/29 17:47)