都心に直結していない関越道。実は構想路線として、都心と練馬ICをむすぶ高速道路「10号線」というものがあります。
古くから存在する構想路線
高崎や北陸方面へむすぶ大動脈「関越自動車道」の東京側の起点は、「練馬IC」という何とも中途半端なところにあります。
大泉JCTで外環道と接続しているものの、都心方面は宙ぶらりんで、目白通り(新目白通り)を10km以上延々と走り、40分以上かけて高田馬場、飯田橋方面へ出ることとなります。
この「遠くにある関越道」状態を解消するため、都心から練馬ICへ直結する広域道路の構想があります。公文書上では「10号線」という名称で、実質的に首都高の新路線という位置づけになっています。
実現すれば、池袋付近で中央環状線とも接続し、湾岸線や羽田空港方面と関越道がシームレスにつながることとなります。
ちなみに「首都高10号線」の番号自体は、晴海〜豊洲〜東雲をむすぶ「晴海線」に割り当てられています。こちらは将来的には銀座周辺で都心環状線と直結することとなっていますが、練馬直結の路線とは別物です。
で、「首都高練馬線」は実現するの?
夢だけが広がる”首都高練馬線”構想ですが、その実現がいつになるのかは、完全に不透明です。まず先述の「新広域〜」では、調査すらされていない「構想路線」の位置づけ。概略ルートの検討に入っている外環道延伸部(東名〜湾岸)とは大違いです。
首都高はこの構想路線について「都市計画等の諸手続がまだ行われていません。計画の具体化については、今後、国や東京都によって検討されていくものと考えています」とのこと。
さらに、何か地元で調査検討が行われているかというと、その気配すらありません。近年の国会、都議会、区議会でも、議員が要望したり可能性を検討した記録は無く、構想すら存在しないかのような扱いとなっています。
構想の取りまとめ元である東京都に確認を取ったところ、この延伸構想はやはり「今のところ、整備が優先されるべきものではないため、調査検討は行われていません」と話します。
ネットワークの整備優先度的には、関越道の交通流を多方面へ分散させることが最重要として、まずは外環道の湾岸線直結が急務という扱いであるようです。これが完成すれば、「10号線」が担う役割のひとつ、先述の「練馬〜中央環状線〜羽田」も外環道が実現します。そもそも関越道は当初から練馬より都心方面へ伸びる計画が無く、法令上の起点は「三鷹市」とされ、現在建設中の外環道延伸部を含んだものとして扱われていました。
首都高の新設プロジェクトは現在、日本橋周辺の都心環状線の地下化と、ルート切り替えである「新京橋連絡路」が事業化に向けて準備中。2035年の完成をめざし、ホットに動いています。関越道直結の検討は、少なくともこれが一段落してからになるかもしれません。