モータースポーツの世界最高峰「フォーミュラ1」(以下、F1)の日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催されます。今回の鈴鹿、いつもとは違う楽しめるポイントが、たくさんあります。

10月の日本GPは今年で終わり?

 モータースポーツの世界最高峰「フォーミュラ1」(以下、F1)の日本グランプリが、いよいよ三重県の鈴鹿サーキットで開催されます。全22戦のうちの16戦目で、2023年9月22日(金)からフリー走行がはじまり、23日(土)に予選、24日(日)に決勝(レース)が行われます。

 熱狂的なファンが集まり、世界的にも注目度と人気の高い日本GP。毎年、シーズン中からオフを通じてさまざまなドラマがありますが、今年の日本GPもまた、数々のドラマの中で迎えることとなります。

●レッドブルがチームチャンピオンになる可能性も

 2021年まで無敵を誇っていたメルセデスAMGは、2022年のマシン仕様変更でまさかの後退。代わってレッドブルが最強チームに君臨しています。ポイントランキングは前戦シンガポールGPの時点で、レッドブルが597ポイント、メルセデスが289ポイント。すでに圧倒的な差が付いていて、早ければ鈴鹿でチャンピオンが確定します。

 ドライバーのチャンピオンは、鈴鹿ではまだ確定しません。チャンピオン本命は、3連覇をめざすレッドブルのマックス・フェルスタッペン(オランダ)です。ちなみに昨年は雨の赤旗中断などが原因で混乱し、表彰式で「フェルスタッペンがチャンピオンに確定!」と発表されても、本人やチーム、観客が皆「え?ほんとに?」と困惑する珍事もありました。

 レッドブルはホンダ製のエンジン(パワーユニット、PU)で2021年のドライバーチャンピオンを獲得。その年でホンダは名目上「撤退」しましたが、施設や人員をレッドブル子会社に移譲し、ホンダによる技術協力が継続中。今も公式のPUは「レッドブルパワートレイン・ホンダ」と、その関与がハッキリ書かれています。

●レッドブルとフェルスタッペンの「F1記録」にストップ

 F1の歴史上、誰も達成したことのない「10連勝」をフェルスタッペンが成し遂げました。どこまでこの記録が続くのか、全世界が注目していました。しかし直後の前戦シンガポールGPで、その記録が止まったのです。勝ったのはフェラーリのカルロス・サインツJr.(スペイン)。フェルスタッペンとしては、記録更新の重圧から解放され、鈴鹿からまたひとつずつ勝利を積み上げていくことになります。

 ちなみに、1988年に最強を誇ったマクラーレン・ホンダが16戦15勝を成し遂げましたが、その唯一土が付いたレースで勝ったのも、フェラーリでした(ゲルハルト・ベルガー)。

●日本人ドライバーの凱旋レース

 アルファタウリの角田裕毅にとっては、2回目の鈴鹿への凱旋レースになります。レッドブルの弟チームながら、チームランキングは最下位。10位以内に入ってポイントが取れれば御の字という状況ですが、マシンのポテンシャルを最大限発揮する腕は世界中のファンに認められています。

 ここ2戦連続で「ほとんど走れずリタイア」という憂き目にあっていますが、本人は20日に新宿歌舞伎町で開かれた公式イベントでも「エネルギーはその分身体に残っているので、鈴鹿に全力投入して、表彰台も狙えればと思います」と気合十分で話していました。

日本で大活躍中のドライバーも「凱旋」

●もうひとりの「日本凱旋レース」

 さて、鈴鹿に凱旋してくるのは、角田裕毅だけではありません。チームメイトのリアム・ローソン(ニュージーランド)も同じです。

 ローソンはF2の経験を経て、2023年に日本の最高峰シリーズ「スーパーフォーミュラ」へフル参戦。知らない土地でのデビュー戦でいきなり優勝し、「またヤバい外国人が来た」と日本のファンを戦々恐々とさせました。残り2レースを残し、宮田莉朋とチャンピオン争いで2位に付けています。

 そのローソンですが、もともとアルファタウリに乗っていたダニエル・リカルド(オーストラリア)が骨折で離脱したため急遽F1デビューを果たしたのです。デビュー戦のオランダGPで大雨やクラッシュなど大混乱のレースを見事完走。3レース目の前戦で見事ポイントを獲得(9位)し、評価はうなぎ上りです。この結果をひっさげて、日本に帰ってきます。

●もうひとりの「急遽F1デビュー」(追記修正:この話は取りやめに)

 ローソンと同じ「突然のF1デビュー」を鈴鹿で果たす予定ドライバーがいます。ブラジル出身のフェリペ・ドルゴビッチです。

 2020年に角田裕毅と一緒にF2昇格し、ダークホース的な存在でファンを沸かせました。角田は早々にF1昇格しますが、ドルゴビッチは3年かけてF2チャンピオンを獲得。しかしF1の席は空いておらず、今年はアストンマーティンで控えドライバーとなっていました。

 そのアストンマーティンのランス・ストロール(カナダ)が前戦のケガで離脱し、ドルゴビッチが急遽代役に決まったのです。幼少期からフェラーリやメルセデスからのジュニア育成も受けられず、ずっと自分の腕で「のし上がって来た」ドルゴビッチを応援する声も多く、そのデビューレースに期待がかかります。

(追記修正:9月20日夕方にストロールの声明で「日本GPに「出場する準備ができている」と発表しており、ドルゴビッチのデビューの可能性は少なそうです)

●ホンダの新しいエンジンパートナー「アストンマーティン」

 ことし5月、ホンダは2026年から「アストンマーティン」にPUを供給することを発表。緑色をまとった中堅チームが、日本と縁の深いチームとなります。

 2023年のアストンマーティンは、「中堅チーム」というイメージを脱却できそうなくらい、開幕から絶好調。2度のチャンピオン、フェルナンド・アロンソ(スペイン)が毎回表彰台に登るなど、ついに「化けた」と言われました。

 夏ごろから勢いが落ち、成績が他のチームに埋もれるようになってしまいましたが、鈴鹿でまたアロンソが表彰台に登るシーンが見れるのかどうか、注目が高まっています。

●最後の「秋開催」の日本GP

 毎年10月の「体育の日」周辺に開催されてきた日本GP。かつてはシーズン最終盤のレースとして、チャンピオンが確定する舞台にもなっていました。その日本GPが、来年はサクラの咲く季節「4月開催」となります。

 春に移動する理由については、F1最高責任者は「世界中を転戦するチームスタッフの負担を軽減するため、アジアはアジアで集中的に開催できるよう整理した」と話します。また、10月の日本といえば台風が襲来するシーズン。毎年のように暴風雨でレースが順延や中断するのも、盛り上がる側面もあるとはいえ悩ましい問題になっていました。