海外メディアでよくイスラエル軍のブルドーザーについて報じられています。実はこのブルドーザー、限りなく“兵器に近い重機”なのです。

対戦車兵器を受け付けない重機!

 2023年10月から、イスラエル軍とパレスチナのガザ地区を実行支配しているイスラム過激派組織「ハマス」との間で激しい戦闘が続いています。ロイターやBBC、ニューズウィークなどの海外メディアの報道を確認すると、イスラエル軍の戦車や航空機による攻撃を伝える情報に混じり、頻繁に「ブルドーザーを確認」「ブルドーザーが何かを破壊した」などの記述を見ることができます。

 なぜ、ことさらにブルドーザーを強調するのか。それは、イスラエル国防軍が使っているブルドーザーが普通のものではないからです。

 イスラエル国防軍が使っているのはキャタピラー製の大型ドーザーD9をベースにした車両ですが、もはや別の何かです。D9Rと呼ばれるこの車両は、運転席が防弾ガラスになっているうえ、ロケット推進系の対戦車兵器や対戦車ミサイルを無効化するために金網状のスラットアーマーを装備、さらに計15トンの追加装甲を装備し、土などを運ぶブレードも装甲化されています。

 20年前にアメリカでコマツのブルドーザーを装甲化した犯人が暴れまわった「キルドーザー事件」というものがありましたが、そのような装甲化を、国防軍というオフィシャルな組織がやったという感じです。

ブービートラップを家屋ごと粉砕!?

 D9R は1982年のレバノン戦争で初投入され、以来ずっと使われています。そこまで重宝されるのは、なんといっても、ブレードを盾代わりにしての障害物をものともしない突進力なのだそうです。銃弾はもちろん、対戦車てき弾のRPGやロケット弾などの直撃もしのいだと言われています。地雷や即席爆弾であるIEDも地面ごと処理してしまい、ハマスが所有する武器のほとんどを防ぐそうです。ちなみにギネスからは「最も装甲の厚いブルドーザー」として認定されています。

 防御面だけではなく、火力も充実しており、車載の機関銃のほか、グレネード弾発射装置も備え、歩兵や簡易的な装甲車程度なら攻撃できる能力があります。また、発煙弾で自身の姿を隠すことも可能だそう。

 こうしたことから、イスラエル軍の主力戦車の「メルカバ」よりも恐れられている向きもあるそうで、2002年にパレスチナ自治区で行われたジェニンの戦いでは、IEDなどのブービートラップを張り巡らせた家々をD9Rが“家屋ごと”破壊し、パレスチナ側の戦闘員を降伏に追い込んだという話もあります。

 しかも、この車両には遠隔操作の無人タイプであるD9Tも開発されており、本格的な地上戦が開始されると、先陣を切って同車両が投入される可能性もあります。