中央道の渋滞対策として建設中の「新小仏トンネル」その内部に潜入。なんと、重機が掘削している岩盤のすぐそばまで迫ることができました。工事が順調であることの表れかもしれません。

新小仏トンネルに潜入

 NEXCO中日本八王子八王子支社が2023年11月8日(水)、中央道の別線として建設中の「新小仏トンネル」を報道陣へ公開。掘削が進むトンネルのまさに最前線、その掘削面まで近づくことができました。

 中央道の悪名高い渋滞ポイントといえば、東京と神奈川の都県境に位置する「小仏トンネル」です。上り線は毎週末のように、このトンネルを先頭として東京方面へ向かう渋滞が長く延びます。これを解消するため、上り線の交通容量を増やす目的で、既存の小仏トンネルのさらに山側にもう1本、新小仏トンネルを建設中。上り線は同トンネル経由の1車線分を別ルートとして設けることで、2車線からいわば「2+1車線」の形態になります。

 新小仏トンネルの建設は2020年から始まっていますが、掘削は今年から本格化。その様子をぜひ見て欲しいということでした。

 現場まではマイクロバスで向かいましたが、道中は極めて狭い、まさに“酷道”。20人ほどを乗せたマイクロバスのエンジンが呻きを上げながら坂を登っていきます。中央道下り線に隣接した極めて狭い工事ヤードに到達すると、そこにはベルトコンベアが張り巡らされていました。

「ここでは『吊り下げ式ベルコン』を採用し、これで掘削で出たズリ(岩塊)をヤード外へ運搬しています。急勾配、急カーブが多くて、平らなベルトコンベアは設置できないので」とのこと。吊り下げ式ベルコンとは、ベルト部分の下部を折って、掘削土を包みこむような形状で吊り下げて運ぶというもの。土木工事では国内2例目、トンネル工事では初の採用だそうです。

 そのベルトコンベアが続いているトンネルへ向かいます。下り線側から掘られた横穴が、掘削中の新小仏トンネル内部へT字に合流するような形になっていました。奥の方から、重機が岩盤を掘削するものすごい轟音が響いています。

「掘削面」とご対面! そこまで見せてくれるワケ

 さらに奥へ進むにつれ、掘削の轟音が大きくなっていきます。土砂を運ぶ巨大な20トンダンプや電源車などが停まっている先で、2台の重機が岩盤を前に苦闘していましたが、近づくにつれ重機は作業を中断し、掘削面(切羽)を見せてくれました。

 今回、報道陣がトンネル内部へ入ったのは初めてですが、実は10月には近隣住民を招いた見学会で、同様に切羽まで近づいています。これができるのも「湧水がほとんど出ていないから」。つまり、工事環境が安定しているからこそ、ここまで近づくことができるのだそうです。

「ここは神奈川最古の地層と言われる小仏層が分布しています」。NEXCO中日本の小仏工事区工事長である小林大助さんが、削れた岩石を手に持って説明してくれました。「縦にミルフィーユ状の層になっていて、薄くてはがれやすいのが特徴です」とのこと。比較的削りやすい地質のようです。

 この現場では、まず岩盤を1mぶん発破で崩したのち、重機で掘削し、その部分の内壁にコンクリートを吹き付け、ロックボルトで補強するというサイクルで、1日4mずつ掘進しているそう。

 現在は全長2300mのうち約860mが完了しています。トンネル工事の工期は2026年5月までの予定です。

妙に広い…「もう1車線いけるんじゃないですか??」

 このトンネル、完成時は上り1車線分のはずですが、実際に見てみると2車線分のスペースはありそうです。その疑問を小林さんにぶつけてみると、やはり「2車線断面を確保してあります」とのこと。

 供用時は1車線ですが、今後、老朽化に伴うリニューアル工事の際に上下どちらかの小仏トンネルを閉鎖するような場合に、2車線運用を行うことなどを想定しているそうです。単なる渋滞対策ではなく、将来を見越していたのでした。

 一方で、トンネル内部は東京方面に向かって上り坂になっています。小仏トンネルの渋滞は、こうした勾配が原因でドライバーが無意識に減速してしまうために起こりますが、別線の勾配は既存の上り線に合わせざるを得ないといいます。ここは別線とはいえ、あくまで上り線の「付加車線」であり、トンネルの先で3車線が合流するので構造を同じくする必要があるのかもしれません。

 なお、中央道上り線の相模湖IC〜八王子IC間は、11月27日(月)から12月8日(金)までの8日間、夜間通行止めになります。これは、既存の小仏トンネルに新小仏トンネルとつなげるための“横穴”を複数空けるにあたり、その補強工事を行うためです。

 この横穴は避難連絡坑で、非常時に隣のトンネルへ避難するための施設。現在の下り線トンネルと上り線トンネルをつなぐ避難連絡坑を、上り線トンネルと新小仏トンネルの間にも設けます。