世界的オンラインゲーム企業「ウォーゲーミング」も協力。

攻撃力に全振りの激レア戦車

 世界屈指の軍事博物館であるイギリスの「ザ・タンク・ミュージアム」、通称「ボービントン戦車博物館」は2023年11月16日、公式ウェブサイトおよびX(旧Twitter)やFacebookなどで「FV4005」駆逐戦車の復元プロジェクトが開始されたと発表しました。

 FV4005は、イギリスが1950年代に開発した戦闘車両で、自国製の「センチュリオン」戦車の車体に砲塔形式で183mm砲を搭載しているのが特徴です。この砲は、戦車砲としては史上最大で、ソ連(現ロシア)の強力なIS-3重戦車を撃破可能な直射砲として作られました。

 しかし、大きすぎて砲弾の人力装填は不可能。ゆえに砲塔内部に補助装填装置を装備したものの、装填手は2名必要でした。

 しかも、あまりにも砲塔が大型化したため、重量を軽減するために砲塔の装甲厚はわずか14mmしかありませんでした。この厚さでは12.7mm重機関銃ですら貫通してしまうほどだったそう。しかも、砲塔は全周旋回ができず、射角は左右90度までに限定されたといいます。

 それでも重量は50tあったため、最大速度は30km/hしか出ず、兵器としては使い勝手が悪すぎたことから1957年8月に開発は中止され、試作車1両が造られただけで終わっています。

博物館のゲートガードを走れるようにレストア

 FV4005は、いうなれば対戦車自走砲ですが、前出したような車両ゆえに砲塔が1970年代に「ザ・タンク・ミュージアム」へ寄贈され、その後予備の「センチュリオン」戦車の車体に組み合わされる形で復元。2008年以降は、博物館のゲートガードとして屋外展示されていました。
 
「ザ・タンク・ミュージアム」では、残っているオリジナルの砲塔を修復し、シャシーに用いられている「センチュリオン」の車体もオリジナル同様の「Mk3(マーク3)」に換装するとのこと。また、砲架や各種装備品なども作り直すといいます。

 クラウドファンディングには世界的オンラインゲーム企業「Wargaming(ウォーゲーミング)」も協力するそうで、広く寄付を募るのは2万ポンド(日本円で約370万円)。残りの金額をウォーゲーミングが負担するとしています。
 
 寄付金額は10ポンド(約1860円)、25ポンド(約4650円)、50ポンド(約9300円)、100ポンド(約1万8600円)の4つが設定されており、2023年11月17日15時(日本時間)、631ポンド集まっていました。

 クラウドファンディングが成功し、修復作業も順調に進んだ場合、来年の6月下旬に開催予定の「Tank Fest 2024」で実走する予定とのことです。