右折レーンの右側に「直進レーン」がある道路――そこでは、右折信号を待っているクルマを、右から直進車が追い越していく様子が普通に見られました。名古屋ならではの道路を体験してみました。

対向車とあわや、ごっちんこ!? 名古屋名物「基幹バスレーン」

 右折待ち車を「右から追い越していく」、そんな光景が日常的に見られる道路が名古屋にあります。そこでは、右折レーンの右側に「直進レーン」が存在。全国でも名古屋にしか見られないであろう構造です。

 この道路は路線バスのためにできたもの。名古屋市営バスと名鉄バスが運行する「基幹バス」と呼ばれる系統が走るバスレーンがある道路です。その基幹バスレーンがある通りの一つ「出来町通」では、基幹バスレーンが市役所付近から東へ、引山バスターミナルまで8km以上にわたって続きます。

 一般的なバスレーンは左側ですが、この通りでは一番右側が基幹バスレーンで、路面電車の停留所のように道路の中央付近の“島”がバス停となっています。

 電車ならば両側にドアがついているため、島の左側につけられますが、国産バスのドアは左側のみ。このため、バスレーンは交差点部などで反対車線側に一部食い込むかのように引かれており、バスが島の左側に付けられるようになっています。カラー舗装で区別されたバスレーンは、交差点からクイッと曲げられており、もとの車線に合流するようになっています。

 こうした特徴から、片側3車線区間の交差点では左折/直進/右折レーンの右側に基幹バスの直進レーンがあるといった構造が見られます。さらに、この基幹バスレーンはバス専用となる一部時間帯を除き、一般車も通行が可能。このため「右折信号を待つクルマを、右から直進車が追い越す」という光景が普通に見られるのです。

 こうした特殊な構造は1980年代、バスの高速・高密度運行のため、路上駐車車両や左折車、道路外の駐車場などからの流入車の影響を受けずに定時性を確保する目的で考案されたもの。地域では、40年以上にわたって馴染んでいる方式なのです。

最後は「片側2車線」に

 基幹バスレーンはしばしば「わかりにくい」「初見殺し」といった声が聞かれます。実際に走ってみると、右側を走行していて“うっかり”基幹バスレーンに入ってしまうこともありました。

 カラー舗装に従って進むと、一瞬、反対車線のクルマとすぐ近くで“ご対面”します。その後、もとの車線へ戻るカラー舗装がクイッと曲がる箇所は、けっこう急なハンドルさばきが必要ですが、前車は何食わぬ様子で普通に走行していました。ここでカラー舗装に従わず、誤って反対側のバスレーンに入ったという事例も過去にはあります。

 片側3車線区間では、基幹バスレーンを走る一般車はそこまで多くない印象でしたが、引山バスターミナル付近になると片側2車線に狭まり、右側が基幹バスレーンになります。交通量の多い時間帯では多くのクルマが基幹バスレーンを走っていますが、慣れない人は、カラー舗装や誘導の矢印、そして交差点の信号にしっかり従って走る必要がありそうです。

 引山バスターミナルの先の引山交差点では、道路の中央の半地下部に高速道路が通る名古屋環状2号線(名二環)と交わり、右折するとすぐに引山ICがあります。このため基幹バスレーンのある出来町通は高速道路のアクセスも担っており、それなりの交通量です。