全席がビジネスクラスのようにフルフラットにできる客室仕様――。斬新なコンセプトを持つ新航空「ビヨンド」の客室はどのようなものなのでしょうか。実機のなかに入ることができました。

ドバイ航空ショーにキタ!

 44席ある客席がすべて、現代のビジネスクラスのようなフルフラットにできる「プレミアムシート」仕様、そして、「プレミアムレジャー」路線を飛ぶ――という斬新なコンセプトを持つ航空会社が誕生しました。モルディブ・マレを拠点として2023年11月15日に就航した新航空会社「ビヨンド(Beond)」です。日本未就航のこの異質な航空会社の機内を、実際に見学することができました。

「ビヨンド」は、11月13日からUAE(アラブ首長国連邦)で開かれたドバイ航空ショーにて、斬新なコンセプトの機内を公開。狙う乗客層は、ほかの航空会社のプレミアムキャビンを利用する富裕層といいます。現在は単通路機で、国内の航空会社でも好んで使用するエアバスA320の胴体短縮タイプ「A319」を導入しています、

 今回、就航直前にドバイ航空ショーで機内を公開したので、そのなかに入ってみました。

 ビヨンドは、ほかの航空会社ならプレミアムな客室を予約する人々をターゲットにしています。たとえばマレ〜ミュンヘン(ドイツ)線の片道運賃は、公式サイトによると約2300ドル(約34万4000円)からとのことです。

 今回ドバイ航空ショーで公開されたのは、初号機として受領したA319(8Q-FBA)。ドバイはマレ〜ミュンヘン線で途中給油地になり、ドバイが所属するUAE(アラブ首長国連邦)の企業の支援を受けていることからショーに参加したと見られます。

 筆者がA319の機内に入ったのはショー2日目の2023年11月14日。翌日は就航に向けて機体はドバイを離れるため、いわば、直前の“内覧会”でした。

 機体外観は、光沢のある黒色に、金色で社名や垂直尾翼に輪を描くシックな印象。そして、中に入って浮かんだ感想は、一言でいうと「シンプル」でした。

「全席フルフラット」の新航空、ほかの航空会社と比べると?

 客席は横2-2列の配置で、A319のエコノミー席である横3-3列と比べて、ゆったりしています。

 シートは上質の生地を使い、フルフラットになるのは、ビジネスクラスそのもの。しかし、ビジネスクラスでも流行りの完全個室に近い仕様ではなく、間仕切りはヘッドレスト程度までの高さしかありません。ひじ掛けも、ほかの航空会社のプレミアムエコノミーとほぼ同じ仕様です。

 高い間仕切りがないために、客室前方から後方まで一望できます。加えて白色を基調に多くの色を使わない内装が、「シンプル」な印象を与えるのでしょう。これにより、機内は落ち着いた雰囲気を醸し出してもいました。

 ビヨンドが狙う乗客は、富裕層の中でもレジャーとして旅行することを“特別な日”ではなく、むしろ旅行を日常のイベントの一つとして楽しむ人々なのでしょう。このため機内は派手な装飾を避け、日常に通じるよう、あえてシンプルにしているように見受けました。

 今後同社は日本を含むアジア路線にも参入予定です。マレ〜ソウル(韓国)線の就航は公式HPでは色濃いものですし、今後マレ〜関西線への就航も計画し、ビヨンドは5年間で32機の航空機と60の目的地を追加する予定といいます。将来的にはA319の姉妹機ながら、大きく胴体延長が図られた派生型であるA321を導入し、68席のプレミアムシートを搭載するとしてもいます。

 気になる日本への就航はいつと聞いたところ、「2025年頃と思う」とのことで、明確なスケジュールでない感触も受けました。しかし、日本就航が実現したら、どれほどの乗客が乗るのでしょうか。搭乗率はその時の日本の経済状勢を反映することにもなるかもしれませんが、あらゆる意味で注目を集める新航空会社となることは間違いなさそうです。