アメリカ海軍のイージス艦が飛来する巡航ミサイルを機関砲で撃ち落としたと、大手メディアCNNが報じました。国防総省や海軍はその詳細を明らかにしていませんが、真価を発揮したのは間違いなさそうです。

「目視できた!?」超至近距離まで飛来した敵ミサイル

 アメリカ大手メディアCNNによると、2024年1月30日(火)の夜、中東イエメンの武装組織フーシ派が発射した巡航ミサイルが、紅海に展開しているアメリカ海軍のミサイル駆逐艦「グレーヴリー」の至近に飛来。ミサイルは距離1マイル(約1.6km)まで接近したため、同艦がCIWS(近接防空システム)と呼ばれる20mm機関砲で撃墜したそうです。

 CNNはその情報源を米当局者としており、撃墜時の詳細については明らかにされていません。しかし、該当地域を担当するアメリカ中央軍の公式X(旧Twitter)では、1月30日23時30分に現地で対艦巡航ミサイル1発による攻撃があり、駆逐艦「グレーヴリー」がこれを撃墜したという投稿(2月1日12時確認)が行われていることから、攻撃があったのは事実のようです。

 CIWSは、MK 15「ファランクス」の名称で採用された個艦防空用の近接防御火器です。口径20mmの多銃身機関砲(いわゆるバルカン砲)と、目標補足・追尾用レーダーがひとつのシステムとしてまとめられた全自動迎撃システムであり、その発射速度と反応速度から航空機だけでなく艦に向かってくるミサイルも迎撃することが可能です。

 攻撃に晒されたときには、自艦を守る「最後の砦」的な存在として、空母から小型のフリゲート、補給艦や揚陸艦などの補助艦まで広く配備されています。

持ってて良かった近接防御火器 海自も

 今回の攻撃でCIWSが戦果を挙げたことは、装備品として想定されたとおりの性能を発揮したことになりますが、同時にひとつの疑問も生まれます。現代の軍艦はミサイルや航空機といった空の脅威に対しては、機銃よりも射程の長い艦対空ミサイルでこれに対処し、自艦に被害が及ばない遠距離でこれを迎撃するのが定石です。

 つまり、近距離でしか迎撃できないCIWSが使われる状況というのは、それだけ艦に脅威が近づき、差し迫った状況になったとも考えられます。実際、CNNが報じた1マイル(約1.6km)まで接近という情報が正しければ、駆逐艦「グレーヴリー」にフーシ派の対艦巡航ミサイルが命中する可能性も高かったともいえるでしょう。

 駆逐艦「グレーヴリー」は2023年より、空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」を中心に編成された同空母打撃群としてこの地域に派遣されており、12月20日にはイエメンから発射された対艦弾道ミサイル2発を撃墜しています。

 また、今年1月12日の米英によるフーシ派への攻撃では、搭載したトマホーク巡航ミサイルを発射しています。

 なお、CIWSは海上自衛隊も採用しており、大小さまざまな護衛艦や補助艦などに装備・運用しています。今回の件は、図らずもCIWSの有用性を再確認できた事案になったのかもしれません。