JR西日本が2016年度から大阪環状線に導入する新型電車の323系。これによって大阪環状線の「乗り方」が変わるなど、少なくない変化がありそうです。またある「共演」が近い将来、見られなくなります。

ホームで悩まなくなる新型車両

 大阪環状線には「関空快速」などに使われる銀色の225系、「大和路快速」などに使われる白い221系といった様々な種類の車両が走っていますが、JR西日本はそのうち主に環状線をグルグル回っているオレンジ色の103系、201系と呼ばれる車両について、新車に置き換えることを決定。2014年12月8日、新しく製造する323系電車の概要について発表しました。

 またJR西日本は、新型車両の323系がいち早くCGで登場する大阪環状線のプロモーションムービーも制作。同社のサイトで公開を始めています。

「大阪環状線プロモーションムービー」
http://www.westjr.co.jp/railroad/project/movie/loopline.html

 さて新型車両の323系によって、大阪環状線はどう変化するのでしょうか。実は単純に車両が新しくなるだけではなく、乗客にとって利便性が向上する点が少なくありません。

 まず「乗車のしやすさ」です。オレンジ色の大阪環状線は、1両あたり片側4ヶ所にドアがあります。これに対し「関空快速」や「大和路快速」の車両は1両あたり3ヶ所。枚数も配置も異なるため、列車によってホームの並ぶ位置がバラバラという難点が現在の大阪環状線にはあります。

 しかし新型の323系はドアが1両あたり3ヶ所で、「関空快速」や「大和路快速」と配置が同一になるためその難点が解消。「次に来るのは何ドアかな?」と調べる手間が減るのです。

 ただ現在の大阪環状線には、大和路線から4ドアの黄緑色をした103系電車が直通してきます。そのためこの黄緑色の103系が引き続き残れば、大阪環状線も引き続き3ドアと4ドアが混在という状況になりますが、JR西日本は「国鉄時代に製造された大阪環状線内の103系・201系通勤形電車をすべて置き換え」としています。

恥ずかしい状況が減る新機能を搭載

 「ラッシュ時の快適性」も向上しそうです。新型の323系では大阪駅で京橋側、天王寺駅で西九条側の先頭車両となる8号車について、車内の構造をほかの号車とは異なるものにしています。座席数を減らし、ドア両脇の立席スペースを拡大したのです。この8号車は特に混雑が激しいことから、このような構造にしたとのこと。そのドア周辺には立席用の腰当ても用意されています。また各車両に車いす、ベビーカー向けのスペースも備えられました。

 またラッシュ時など、ドアにカバンやコートなどが挟まってしまい、外から列車を見るとドアから何かが生えている場面が時折見られます。また車内でドアに何かを挟んでしまい、抜こうとしても抜けず、次にそのドアが開くのは何駅も先。周囲の視線に気恥ずかしい思いをする、という話もしばしばあります。

 しかし大阪環状線の新型323系では、そうしたラッシュ時におけるばつが悪い状況が減るかもしれません。何かが挟まったことを乗務員に知らせる「戸挟み検知装置」が搭載されたのです。もちろんドアへ挟まないようにするのが第一ですが、起きてしまっても、周囲の目線が気になったり、トラブルになる可能性が少なくなりそうです。

数年で見られなくなってしまう奇妙な「共演」

 「安全性の向上」も大きなポイントです。鉄道では運転士が気を失うなどした場合、しばらく操作がないことを検知し列車を停止させる「EB装置」などのシステムがありますが、323系ではその機能を強化した「EB-N形装置(運転士異常時列車停止装置)」を導入。万が一に備えています。

 また運転台の計器類や、架線から電気を取り込むパンタグラフが二重系化され、片方が故障しても、もう片方を使えば大丈夫といったように、故障に強くなっていることも注目です。

 外観も安全性を意識していたりします。ドア部分には安全を考えてその動作状況を分かりやすくするため、黄色いラインが目立つように入れられました。

 車体の衝突対策にも力が入れられており、前面が衝撃吸収構造になっているほか、側面・オフセット衝突対策も行われています。「オフセット衝突」とは前面の一部が何かにあたる形の衝突で、車体が変形しやすいのが特徴です。これに対し、車体の前面がすべてあたる形の衝突を「フルラップ衝突」といいます。

 「情報」も進化します。車内のドア上部などに案内ディスプレイが設けられ、日本語と英語、中国語、韓国語の4カ国語で案内が行われるほか、自動放送も日本語と英語の2カ国語です。また訪日外国人向けではありますが、JR西日本で初となる普通列車内での無料公衆無線LANサービスも提供される予定です。

 新型車両の323系は、2016年度から2018年度にかけて大阪環状線とJRゆめ咲線へ投入される計画です。そしてその完了に伴い、ある奇妙な「共演」が終了します。

 2014年3月18日、大阪環状線の玉造駅近くにオレンジ色をした大阪環状線の103系電車を模した「ビエラタウン玉造」がオープンしました。ですが新型車両の投入で、そのすぐ脇を走る本物の103系との共演が、あと数年で見られなくなるのです。この不思議な風景を楽しむなら今のうちです。