クルマへの装着が必要なドアミラー。しかし来年から、カメラとモニターで代用することが認められるかもしれません。これによって、クルマはどうなっていくのでしょうか。デザイン面以外にも影響はありそうですが、単純な話でもなさそうです。

来年からカメラとモニターで代用可能に?

 自動車を運転するときに欠かせないミラー(鏡)。最近では、トラックのリヤ(後部)などをドライバーが運転席から把握するために「カメラ&モニター」が使われていたり、ミラーの代替ではないしても、ドライバーからは死角となる車体の反対サイド下側などはカメラで映すことができるようになっています。

 逆にいえば、これまでドアミラー(サイドミラー)などについては、その機能をカメラで代替することはできませんでした。法律上認められていなかったからです。

 しかし、国土交通省が「道路運送車両法」で定めている保安基準を改定、2016年6月からクルマのミラーすべてをカメラとモニターで代用できるようにする方針であると2015年11月、毎日新聞が伝えました。

 最近では、あらゆるところで小型カメラが普及しています。またモーターショーでは“未来のクルマ”としながらも、インパネ(運転席の計器盤)に埋め込まれたモニターで全方位を確認できるシステムなどはよく見かけます。

 クルマのミラーをカメラで代用できるようになると聞いた感想は、驚きというよりは「やっとそういう時代が来たか」といったところでしょうか。

デザイン以外にも考えられるドアミラーレスの効果

 クルマのドアミラーは、厳密にいえば「ボディに取り付けられた装着品」という扱いとなり、例えばクルマの全幅にドアミラー分は含まれません。そのためか、クルマのドアミラーにはどうしてもデザイン的な“異物感”があるのは否めませんでした。

 クルマにドアミラーを付けなくとも良くなると、このデザイン的な“異物感”がなくなり、すっきりすることでしょう。カメラをどこに付けるか、にもよりますが。

 クルマからドアミラーがなくなることで、デザイン面での効果以上に期待されるのは燃費の向上です。クルマに突起物がなくなれば、その周囲で空気の流れが良くなり、抵抗が減少。その分は燃費向上につながると思われます。

“省燃費”の重要性が大きいながら、メカ的な対応の決定打が少なくなってきているいま、そもそもの空気抵抗を低減することの重要性が高まっています。最近ではシミュレーション技術が飛躍的に発達。ありとあらゆるところで、空気の流れを整える努力がされています。

 ボディ上部は以前から滑らかな形状が追求されてきましたが、最近では実用車でもフロア下を覆ったり、後下端を跳ね上げた形状にするのは当たり前。またサスペンションの付け根まわりに小さな板を付けるなど、涙ぐましい努力がなされています。

ドアミラーレスによる燃費向上、実際は困難か そこにある懸念

 ドアミラーが無くなると空気抵抗が減り、その分、燃費が向上するのでメリットが大きいように見えます、が、そう単純な話ではありません。

 そうするとカメラ関係の分だけクルマの重量が増えますし、さらには消費電力も増えると思われることから、その分、燃費が落ちてしまいます。

 いかにクルマの消費電力を抑えるかというのも昨今の課題で、ヘッドライトを含めてLED化が進んでいるのもこの流れです。

 例えば夜にライトを点けて、停車したままブレーキを踏むと、クルマにもよりますが、タコメーター(エンジン回転数を示す計器)の示す数値が下がることがあります。これはエンジン内部で燃料へ着火するために使う電気をブレーキランプに持っていかれているのが原因です。エンジン内部で燃料が爆発する力が落ちるため、燃費も当然悪くなります。

 つまり、クルマの外部に装着されるドアミラーをカメラに変えれば、一見すると空気抵抗が減って燃費アップになるように思えますが、クルマ全体の重量や消費電力が増えた分でプラスマイナスゼロ、もしくはマイナスになる可能性も高いと思われます。先述のフロア下を覆うパネルも、燃費が0.1%アップすれば良いほうです。

 そう考えると、ドアミラーをカメラで代替することが認められたとたん、一気にドアミラーは衰退する、ということにはならないでしょう。

 ちなみに、私(近藤暁史)はドアミラーがないクルマを見たことがありますが、スッキリとしつつも、慣れの問題でしょうが、ヒジョーに物足りないものがありました。