宮崎県都城市に導入されたという「エアー遮断機」、一刻を争う緊急時に効果を発揮するといいますが、どのようなものなのでしょうか。

アンダーパスの「ゲリラ豪雨」対策に

 宮崎県の都城(みやこのじょう)土木事務所(都城市)は、市内のアンダーパス(線路や道路をくぐるために掘り下げられた箇所)3か所の各入口付近に、バルーンがふくらみ通行を遮断する「エアー遮断機」を導入、2017年6月に動作確認を兼ねた防災訓練を実施しました。

 九州では初の導入というこの「エアー遮断機」。ふだんは道路脇の箱に収納されていますが、いざ発動すると空気が送り込まれ、直径60cm、長さ3.5mのバルーンが伸びて道路を遮断します。

 導入の背景を同事務所に聞きました。

――「エアー遮断機」を導入した理由やきっかけはなんでしょうか?

 近年多発している、「ゲリラ豪雨」によるアンダーパスの冠水対策です。アンダーパスには雨水をポンプで排水する機構がありますが、短時間の急激な降雨には排水が追い付かず、進入したクルマが立ち往生するケースがありました。そうした状況を防ぐべく、迅速に通行止めを行うために導入しました。

――どのようなときに、どのようなしくみで膨らむのでしょうか?

 アンダーパス内の水位が20cmに達すると、水位計に内蔵されたセンサーの信号を受けてバルーンが自動で膨らみます。所要時間は20秒ほどです。

――どのようなメリットがあるのでしょうか?

 これまでは、水位計の信号を受け取ると、担当者が現場に駆けつけて水位を確認し、通行止めの措置をするという手順でしたが、この通行止め実施までの時間を大幅に短縮できます。水が引き通行止めを解除する場合は、バルーンを手でたたむことができ、何度も使えます。また、仮にバルーンへクルマが突っ込んだとしても車体に損傷を与えません。さらに、内蔵のLED電球が伸長時から発光するため、夜でも見やすくなっています。

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 都城土木事務所は実動実験の結果からも「効果が高いと実感している」といい、アンダーパスだけでなく「一刻を争って通行止めしないといけない場所に有効」と話します。

「こちらに逃げろ」 道路封鎖以外の用途も

「エアー遮断機」は先述の都城市に設置されたセンサー感応式のほか、遠隔操作で任意に膨らませることが可能なタイプもあるそうです。製造元である道路保安用品メーカーのアドビック(兵庫県尼崎市)にも話を聞きました。

――「エアー遮断機」はいつから発売しているのでしょうか?

 2009(平成21)年から発売し、2017年6月現在で120件以上納入しています。

――そもそも、どのようなコンセプトで開発されたのでしょうか?

 ある道路管理者さんから、「安全かつ迅速に、目立つ形で」道路封鎖ができるよう、エアー式で遮断機がつくれないかと相談をいただいたことがきっかけです。当社製品にエアー式の巨大なカラーコーン「エアージャンボコーン」があり、エアー遮断機はこの製品の実績をもとに開発されました。エアー式の視認性は従来のゲート式などと同等以上で、豪雨や強風などにも耐えられる、といった特徴があります。

――商品に対するニーズや、導入するメリットはどのようなところでしょうか?

 現場に人がいなくても迅速に、かつ安心して道路を封鎖できることです。エアー式以外でも遠隔操作で動作する遮断機がありますが、それでクルマに損害を与えてしまったり、クルマがその区間に閉じ込められたりすることも考えられます。エアー式であれば損害を抑えられ、閉じ込められても脱出が容易で、緊急車両の通行も可能です。

――どのような場所に設置されることが多いでしょうか?

 主として冠水による通行止めを想定したアンダーパスの入口です。そのほか、高速道路の出入り口や、沿岸部あるいは山間部の道路のほか、たとえば津波発生時の避難誘導のため、「こちらに逃げろ」といった旨の文言を遮断機に表示する目的で採用いただいたところもあります。

――今後、どのような展開を予定しているのでしょうか?

 現在、持ち運んだり軽トラックに積み込んだりして使用できるエアー遮断機なども開発中です。これは、土砂崩れなどが起きた場合に、遮断機を移動させることで規制区間を必要最小限にできるメリットがあります。

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 アドビックは、エアー遮断機を「単に道路の交通規制だけでなく、幅広い用途で減災に役立てられる」と話します。今後、道路のさまざまな場所で見られるようになるかもしれません。

【写真】夜も目立つ「エアー遮断機」