大分県別府市長がかねて公約としていた、温泉につかりながら楽しめる遊園地「湯〜園地」が、7月29日(土)から3日間限定でオープンします。どのような遊園地なのでしょうか。

支援額8000万円以上 税金一切使わずに

 大分県別府市が2016年11月にインターネット上で公開した動画にて描かれた、温泉につかりながら楽しめるアミューズメント施設「湯〜園地」が現実のものになりました。2017年7月29日(土)から3日間限定で市内のレジャーランド「別府ラクテンチ」にオープンします。

 これは、温泉地として知られる別府市が掲げる「遊べる温泉都市構想」の取り組み第1弾として実行するもの。先述の「公約ムービー」と呼ばれる動画では、長野恭紘(やすひろ)市長が「再生回数100万回を達成したら実現する」としていましたが、公開からわずか3日間で再生回数100万回を達成し、現在までに400万回を超えています。

 公約実現に向け、別府市はインターネットのクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」や市のウェブサイト、窓口を通じ、入園券(8000円)などを返礼品として広く支援を募り、2017年2月から7月までに約8183万円を集めました。これにより、税金は一切使わずに「湯〜園地」を実現しているといいます。なお今回はおもに、これら出資者に向けてオープンするもので、当日入園券などは販売されません。

 公約ムービーでは、タオルを巻いた人々が遊園地内を歩き、温泉につかりながら乗るジェットコースターやメリーゴーラウンド、観覧車といったアトラクションが登場していました。それらはどのように実現したのでしょうか。

アトラクションは8種類 ほかにも増える?

「湯〜園地」プロジェクトを担当する別府市観光課に、その詳細を聞きました。

――どのようなアトラクションがあるのでしょうか?

 7月25日(火)現在で8つのアトラクションが決定していますが、オープンのぎりぎりまで可能性を探っており、今後追加があるかもしれません。

一の湯 絶叫! かけ湯スライダー

 温泉水を使った、長さ約80mのウォータースライダーです。夏ということもあり、アトラクションでは主に冷泉を使用します。

二の湯 絶景! 湯〜覧吊り橋

 全長約150mの大吊り橋に、温泉水をミスト状にして噴霧します。ミストのなかにいる人が外から見えなくなるほどの水量です。

三の湯 解放! 大混浴露天風呂

 遊園地のプールを文字通り混浴露天風呂にします。このアトラクションでは温かい温泉を使用します。

四の湯 湯めぐり! 温泉メリーゴーラウンド

 メリーゴーラウンドの座席として設けられている馬と馬車のうち、馬車を浴槽にします。この浴槽は2台あり、1槽につき4人まで入ることができます。

五の湯 湯〜園地名物! 温泉バブルジェットコースター

 ジェットコースターの座席部分を、温泉水を配合した泡で満たして運行します。動画では温泉水そのものを座席に入れていましましたが、お湯の重量で定員オーバーになること、そのお湯がタイヤ部にかかるとブレーキに問題が生じ運行できなくなることから、いわゆる「バブルバス」にすることにしました。

六の湯 散泉飛行! スプラッシュグライダー

 旋回する飛行機タイプのアトラクションで、「湯〜覧吊り橋」と同様に温泉水のミストを噴霧して運行します。

七の湯 OUと対決! 元祖あひるの競争

 本物のアヒルがレースをする「別府ラクテンチ」の名物「あひるの競争」を、足湯につかりながら観覧するものです。「あひるの競争」では順位を予想する名物おじさんがいるのですが、この人と人工知能「OU」が順位の予想で対決します。

八の湯 熊八ゾンビハンティング! 幽〜湯〜列車

 列車型の遊具に乗りながら、温泉が入った水鉄砲で途中に現れるゾンビを倒していきます。そのゾンビは、別府の観光開発に尽力した実業家の油屋熊八(1863〜1935)に似せています。

 なお、「一の湯」から「八の湯」までの番号は便宜的に設けた順路であり、実際には好きなところから自由に楽しむことができます。

温泉が乗りものに与える影響は? 「常設」可能?

――温泉水で乗りものがサビてしまうなど、悪影響はないでしょうか?

 ひとえに温泉といってもさまざまな泉質があり、ここでは温泉成分が少ない「単純泉」を使用しています。終わったあとに真水で洗い流せば問題はありません。

――公約ムービーのとおり、来園者はタオル姿になるのでしょうか。

 いえ、水着とサンダルの着用をお願いしていますが、雰囲気が出ることもあり、その上にタオルを巻いた恰好をおすすめしています。入場ゲート近くに着替え場所を設けます。

――今後は常設に向けて動いていくのでしょうか?

 いえ、常設は考えておらず、今後再び実行するかも未定です。

※ ※ ※

 常設はもちろん、第2回の開催も未定とのことですが、別府市観光課はこのプロジェクトの意義について以下のように話します。

「このプロジェクトのために多くの市民が毎日のようにミーティングを重ねながら『楽しんでもらおう、おもてなししよう』と知恵を絞っており、ボランティアスタッフだけでも3日間で総計930人に上っています。プロジェクトを成し遂げた経験やノウハウが、市民のあいだにしっかりと残り、大きな自信になると考えています」(別府市観光課)

 なお、発行された入園券の総数は8312枚です。別府市観光課によると、大人ひとりにつき12歳以下の子どもをひとり無料にしていることもあり、実際には3日間で1万人以上が訪れるだろうといいます。