成田空港の滑走路すぐ脇で、一般参加者による撮影会が開かれました。しかしただの撮影会ではなく、参加者は全員「特命PR大使」だといいます。どのような趣旨のイベントだったのでしょうか。

指令、成田空港を盛り上げよ

 2017年7月末のプレミアムフライデーを含む週末、成田空港にて「第0回 成田空港特別撮影体験会」が実施されました。このイベントは、成田市在住の航空写真家チャーリィ古庄氏の企画で、成田の地域おこし組織「成田空援隊」が主催し、成田市と成田国際空港株式会社(NAA)がサポートしたものです。折しも7月28日は成田空港の航空旅客数が10億人を達成した日であり、今回はその記念として10億人イベントと連動した「PRイベント(後述)」でもあります。

 今回の企画の定員は35名。運良く4〜5倍の競争率から選ばれた参加者には「成田空港&成田市の特命PR大使」として、各自のSNSやブログで成田空港や成田市をPRするというミッションが与えられます。

 メインイベントは、前述の「PR大使」として、成田空港A滑走路脇での写真撮影。滑走路周辺は厳重な管理下にある制限区域であり、一般の立ち入りは許されておりません。なにもさえぎるもののない目の前を飛行機が離着陸する、その特別な場所での撮影体験が人気を呼んだ理由なのでしょう。

 主催者の「成田空援隊」とは、2010(平成22)年に結成された地元や空港、市役所が一体となった中堅若手による地域おこしの組織であり、過去には航空ファンの裾野拡大を目指すべく、各種イベントでPRを行い「空美ちゃん」と名付けた女性航空ファンを掘り起こすなど、活動の場を広げています。

滑走路脇の「NARITA」と花時計のあの場所で

 イベントのスタートは7月28日(金)、宿泊先マロウドインターナショナルホテルでのオープニングセミナーから。チャーリィ古庄氏のトークショーに加え、主催者である成田空援隊から主旨説明やミッションの解説などが行なわれました。

 翌29日(土)、ホテルを出発したバスはまず、成田空港の国際貨物を扱う貨物地区を見学します。貨物を置く倉庫は英語で「ウェアハウス」と言いますが、ここから「上屋」と言われるようになったという秘話などで、バス車内のテンションは徐々に盛り上がっていきます。

 貨物地区から制限区域に入ると、バスの窓ガラス越しに広がる光景を前に、車内には歓声があがります。第一ターミナルビル展望デッキから滑走路脇に「NARITA」の文字と花時計が見えますが、まさにその場所に今回はバスが停まります。当日は滑走路16Rを運用とのことでした。

 バスを降りた参加者は、あらかじめ指定されたエリアのなかで、すぐそばを離着陸する航空機を真横から自由に撮影できました。参加者にとって1時間半はあっと言う間。それでも、欧州やアジア各国へ向かう長距離便もある時間帯で、間隔の空くことが無く離着陸が繰り返される様子に、改めて成田国際空港は日本を代表する国際空港だと再認識する場となりました。

 そののち、バスは空港内を整備地区へと進み、JAL格納庫へ向かいます。ここではJALの整備担当者より、救命胴衣の着用体験や航空機にまつわる多くの話が聞けました。格納庫内ではB787-8と-9が2機整備中であり、航空機を間近に観察できる時間を過ごしました。

 ツアーの締めくくりは、機内食工場と隣接する、成田空港内に立地する唯一のホテル、エアポートレストハウスにて、機内食風のメニューが用意され、参加者には充実の1日となりました。

参加者から「当事者」に 人の力が支える空港へ

 参加者に話を聞いてみると、海外へのあこがれから成田空港好きになったというキーワードも見えてきました。ターミナルビルで流れる英語の館内放送を聴いて、そののち通訳案内士になった人。成田空港は航空機の撮影がしやすく「ここは世界のとなりまち」と書かれた環境にときめきを覚える人。ネイルに成田のゆるキャラ「うなりくん」を描く人。これらの話は、この日のイベントに参加した全体の4割を占める女性のものです。

 今回のイベントのスタッフによると、成田でこのような航空ファン向けのイベントが行われることになったのは、2010(平成22)年の羽田空港の再国際化に伴い、より多くの方に成田空港に関心を持ってもらうための新たな街おこしがきっかけになったことは間違いないものの、そのあとの経緯はそれだけではないといいます。成田ならではの「空港」と「古くからの街並み」が融合して、また、市役所や地元の方々など参加する各々が自分の強みを活かして積極的に関わっていることが魅力と話し、さらに発信力の高い女性層を取り込んだことも成功の秘訣とのこと。

 利用旅客10億人達成の後に続くのは、来年に迫った開港40周年行事。「結局は人が支えていますので、成田空港の力は強いですよ」とさわやかに話してくれました。その笑顔はこのイベントが成功であったことを物語っていました。