路面にペイントされた「止まれ」の文字は、実は東京と大阪で形に違いが見られます。このような違いがなぜ生まれるのでしょうか。

東西で大きく異なる「れ」の字

 路面の停止線とともにペイントされていることが多い「止まれ」の文字は、実は地域によって微妙に違いがあるようです。

 たとえば東京都世田谷区のものは、「ま」の字の縦棒を下ろしたところが角張り、線が左上に上がっていますが、大阪府豊中市のそれでは、縦棒を下ろしたところから筆を左下に運んだような形になっています。「れ」の字は2画目が、世田谷区のものでは左上と左下から始まる部分に分割されているのに対し、豊中市のものではひと続きになっており、“とめ”や“はね”の印象も異なります。

 東京都の渋谷区や北区など、ほかの区でも確かめてみましたが、上記の「ま」「れ」の特徴は世田谷区と共通で、豊中市のようなものは見られませんでした。

「止まれ」の文字は地域によって異なるものなのでしょうか。

そもそも国の「基準」なし カタカナ使用のケースも

 道路標示の設計・施工を手掛けるキクテック(名古屋市南区)によると、「止まれ」の文字は「各都道府県警察からの仕様書に基づいて施工している」といいます。実際にはどう違うのでしょうか。道路標識や路面標示の施工・管理技術者を育成する全国道路標識・標示業協会(全標協、東京都千代田区)に話を聞きました。

――「止まれ」の文字は地域によって違うのでしょうか?

 はい。各都道府県の公安委員会が仕様を定めているため、地域によって字の形も異なります。幅員が狭いなど、道路の条件に応じて視認性を考慮し、「トマレ」「止マレ」などカタカナが使われる場合もあります。

――「関東型」「関西型」というような類型は存在するのでしょうか?

 関東は統一されつつあり、関西でもある程度統一が進んでいますので、一定の類型はあるかもしれません。しかし都道府県ごとに表示の視認性に対する考え方は異なり、仕様も違います。

※ ※ ※

 国土交通省路政課によると「止まれ」のペイントは、道路交通法などの法令で定められていない「法定外表示」のひとつで、国の統一的な規格は存在しないといいます。

 一方、これら「法定外表示」について警察庁は、2014年に警視庁および各道府県警察に対し、「一定の効果の認められるものについて設置様式の統一を図り、適正な交通管理に資する必要がある」として設置指針を通達しています。ここでは「止まれ」の文字も東京で見られるタイプのものが「標準」として示されていますが、全標協によると、「表示の視認性だけでなく、塗り直しへの考え方や予算も都道府県ごとに異なることから、全国的な統一への見直しはなかなか進んでいない」そうです。

【図】警察庁が通達した「止まれ」の標準とは?