2018年の「ジュネーブモーターショー」に関する国内報道は、トヨタの「スープラ」復活で大変賑わいましたが、実はメインステージでの披露ではありませんでした。トヨタ含め、日本メーカーが本命視するモデルはどのようなものだったのでしょうか。

実はメインステージではなかった「スープラ」コンセプト

 2018年3月6日(火)、スイスにおいて「ジュネーブモーターショー」が開催されました。自動車メーカーの存在しない地でのモーターショーということで、ドイツやフランス、イタリア、イギリス、日本といった自動車メーカーがイーブンな立場で参加できる、いわば「欧州のショー」。きらびやかな超プレミアムカーが数多く出品されるのも特徴です。

 今年は日系ブランドとしては、トヨタが次期「スープラ」を示唆する「GRスープラ・レーシングコンセプト」を発表。グラマラスで攻撃的なイメージのレーシング・モディファイを施したマシンは、欧州のスーパーカーたちに負けない注目を集めていました。

 しかし、実際のところ、日系ブランドの本命は、そうしたエキゾチックなスーパーカーではありません。トヨタの記者会見において、記者席の目の前のメインステージでアンヴェールされたのは、ハッチバック車である新型「オーリス」でした。また、トヨタ・ブースで最も広くスペースをさいて複数台が展示されたのは、マイナーチェンジを行ったコンパクトハッチバック「アイゴ」だったのです。

次期「レヴォーグ」(?)が発表されたのにもワケがある

 また、スバルは「SUBARU VIZIV TOURER CONCEPT(スバル・ビジブ・ツアラー・コンセプト)」を発表しました。現行車種との関係性は、なにひとつ説明されませんでしたが、ミドルクラスのステーションワゴンでボンネットに大きくターボ用と思われるダクトがありますから、どう見ても未来の「レヴォーグ」のスタディにしか思えません。

 そして、マツダも同じくステーションワゴンの「マツダ6ワゴン(日本名:アテンザ)」を出品。マイナーチェンジを行った最新モデルです。

 実のところハッチバック車とステーションワゴンがよく売れる市場は、日本と欧州です。欧州は道が狭くてワインディングが多く、そして平均速度が高いという特徴があります。また一般人はあまり見栄を張らずに、身の丈にあったクルマを選ぶ傾向があるとか。そうした市場では、むやみに大きなセダンよりもハッチバック車やステーションワゴンの人気が高くなるというわけです。そして道が狭くてワインディングが多いのは日本も同じです。

 逆に、国土が広いアメリカや中国ではセダンとSUVが人気。アセアンでもセダンの人気が高いというのが実情です。つまり、トヨタがハッチバックの新型車、スバルとマツダがステーションワゴンをジュネーブに持ち込んだのは、市場のニーズに合わせるという理由があったのです。

日本メーカーはあちらもこちらも……!

 ちなみに2017年3月にスバルが発表したデータによると、スバルの年間生産約100万台のうち「レヴォーグ」はわずかに3万台。欧州でも「レヴォーグ」が売れてくれないと困るというのが本音ではないかと思います。だからこそ、次世代「レヴォーグ」のコンセプトを欧州でわざわざ発表したのでしょう。そして、先だってスバルは次世代の「フォレスター」を3月末のニューヨークショーに出品すると発表しました。SUVが人気のアメリカのショーにはSUVの「フォレスター」というわけですね。

 また、ホンダの目玉はハイブリッドも用意された欧州仕様の「CR-V」ですが、メインステージに鎮座するのは「アーバンEVコンセプト」。2019年に欧州に投入されるコンパクトハッチバックです。マツダが展示する次期「アクセラ」と目される「魁コンセプト」もハッチバックです。

 結局のところ、日系ブランドのブースは、ハッチバックとステーションワゴン、そして大ブームの真っ最中であるSUVなどが大半を占めていたのです。まさに「欧州のショー」であるジュネーブに向けた内容というわけです。