タクシーに乗りながら、ドライバーが乗客の愚痴や悩みに耳を傾けることを目的としたサービスが登場しました。一方、ドライバーが話しかけないサービスを導入したタクシー会社は、方針を転換しています。車内の会話、やはり必要なのでしょうか。

タクシー運転手への身の上相談、思いっきりどうぞ

 神奈川、東京、埼玉でタクシー事業を展開する三和交通(横浜市港北区)が、「相談タクシー」の運行を始めました。ドライバーが、乗客の愚痴や相談を聞くというものです。

「相談タクシー」は通常料金と迎車料金で利用できるほか、特に目的地がない人のために30分から60分の周遊プランも用意しています。三和交通は各営業所において様々な経歴を持つ「聞き上手」のドライバーを選抜してウェブサイトで紹介しており、有料でドライバーの指定も可能です。

「実際に高齢者の方などが、相談をされたいがためにわざわざ長距離乗車されるケースがあります。友人でもなければ家族でもない、タクシーのドライバーがそのような場面でお役に立つならば、ということで、ひとつのサービスとして提供することとしました」(三和交通)

 その一方、三和交通では通常、ドライバーからあまり乗客に話しかけないよう指導しているそうです。「話されて寝られなかった」といった声をはじめ、会話の内容から無用なトラブルに発展するケースもあるためだといいます。

 このようにタクシーではドライバーに話しかけてほしくない、という人も一定数いることから、それがひとつのサービスとして展開されたこともありました。

「話しかけないサービス」には賛否両論

 都タクシー(京都市南区)は、2017年に「サイレンス車両」なるものを試験導入しました。この車両では、乗降時のあいさつやルート案内、緊急時の対応以外は、ドライバーから乗客に声がけをしないことを、助手席ヘッドレストの裏に掲示していました。

 しかし現在、都タクシーはこの車両を運転していません。「『サイレンス車両』は賛否両論ありました。いまは専用車両を設けず、ご要望があれば話しかけないようにしています」といいます。

「話しすぎは事故のもとにもなりますし、黙ってばかりでは『むすっとしている』『怖い』といった印象にもつながります。特に京都は観光地なので、後者のお声は多いです」(都タクシー)

 そもそも、「プロのドライバーはお客様を見れば、話しかけてほしいか否かがわかります」と都タクシーは話します。専用車両を設けるのではなく、原点に立ち返り、そのセンスを養っていこう、という方針に転換したそうです。

 都タクシーでは「京都検定」合格者など豊富な知識を持つドライバーもいて、車内での観光案内を乗客が喜んでくれることも多く、特にお年寄りは会話を楽しむ傾向だそうです。ドライバーが時と場合に応じて対応することが重要だと話します。