かつてより小型の飛行機が多くなっている一方、エアバスA380型機などの大型機もしばしばみられる昨今。「ジャンボ」超えの大型機が飛ぶ未来は、いまのところ現実的ではないようです。なぜでしょうか。

「A380」は極力大きくならないように作られた

 日本の航空会社から旅客型「ジャンボ」ボーイング747-400型機が退役してから数年。かつてより小型で、燃費の良さや低騒音を強みとする飛行機が多くなっている現在ですが、一方でANAなどが運航している総2階建てのエアバスA380型機も見られます。これからも「ジャンボ」を超える超大型機が飛ぶことはあるのでしょうか。

 少なくとも旅客便に限定すると、これ以上、飛行機がサイズアップすることは、いまのところ制約が多く現実的ではないようです。エアバスはA380型機の生産終了を2019年に発表。「ジャンボ」こと747シリーズを手掛けるボーイングも、民間航空機部門マーケティング担当のランディ・ティンゼス副社長が2019年9月に来日した際「747シリーズは貨物機がメインで、旅客型の見込みは薄いです」と報道陣の質問に答えています。

 しかし、製造メーカーが超大型の旅客機に消極的な姿勢を見せていることだけが理由ではありません。実は「ジャンボ」超えの先駆けとなったエアバスA380型機は、総2階建てということを除くと、人数を乗せられる一方である意味「極力大きくなるのを防ぐ」ように作られた飛行機です。

 1998(平成10)年の設計段階でA380型機は翼幅(全幅)、全長ともに80m以下、全高は24m以下などを目標に設定、オプションで翼を折りたためる設計も検討されていたそうです。2005(平成17)年に初飛行を迎えた実機の全幅(79.7m)、全長(72.7m)は範囲内。全高は若干超えてしまうものの、ほぼクリア(24.09m)となっています。

なぜ80m以内にセーブ? それでも対応が難しい理由とは

 A380型機の製作が始まった当時、航空会社で定期便に導入されている飛行機で、全長が最大なのはエアバス340-600型機(75.3m)で、全幅が最大なのはボーイング747-400型機(64.4m)でした。このことからそれぞれ80m以内であれば、既存の空港に対応できるとエアバスは試算していたといわれています。

 ところが、実際に就航してみるとエアバスA380型機の大きさに、空港設備が円滑に対応できません。

 というのもそれまでの空港設備は、「ジャンボ」ことボーイング747(当時就航していない-8型機を除く)の機体サイズが最大として作られたものでした。そのため、エアバスの試算以上に、空港の大型旅客機への受け入れ態勢はギリギリだったのです。

「ジャンボ」シリーズの初期モデル(747-100。クラシックジャンボ)は1968(昭和43)年に初飛行、1988(昭和63)年に全幅がサイズアップした当時の最新型「ハイテクジャンボ」こと-400型がデビューします。

「ジャンボ」の普及で起こった飛行機の「大量輸送時代」にともなって、世界の空港は30年かけて設備を順次強化してきました。

空港側はなぜ対応が難しい? 大空港でも就航していない場所もある

 そのようななか現れた、「ジャンボ」を超える大きさで、総2階建てのエアバスA380型機。全長、全幅は範囲内に収まっても、駐機場などは、2階の人もスムーズに乗降できるような搭乗橋など相応のものを準備する必要があります。機体重量もボーイング747-400型(約180t)より100t重い約277t。燃料や人が加わればもっと重くなるため、「ジャンボ」はOKでもA380型機は、地面強度の問題で離着陸できない滑走路がでてきます。

 なお、航空輸送の国際ルールなどを定める国際民間航空機関(ICAO)は、駐機場や誘導路を統制する目的で、機体の大きさをA(小さい)からE(大きい)の5段階に分けたコードを設定していましたが、A380型機が登場したことで、新たに6つ目の段階「コードF」を作ります。

 A380型機は国際ルールを再度設定しなければならないような規格外のサイズで、この基準を満たす設備を持つ空港にしか、原則受け入れてもらえないのです。

 なお、日本でもっとも利用者が多い羽田空港にはA380型機の駐機スポットもあり、何度か飛来したことがあるものの、実際の路線投入は見送られています。明確な理由は発表されていませんが、一部滑走路や誘導路がA380型機の大きさや重量に対応していないほか、同型機が離着陸したのちに発生する後方乱気流で、後続の飛行機の離着陸が制限される影響もあるそうです。

 ちなみに旅客機以外や、計画段階で中止になった飛行機のなかには、エアバスA380型機を上回るサイズのものもあります。輸送機のアントノフAn-225型機(全長84.0m、全幅84.0m)や、JALが仮発注したものの、計画中止となった超音速旅客機ボーイング2707(全長93.26m、全幅32.60〜53.11mで可変式)などがこれにあたります。