東急東横線や東京メトロ副都心線などの駅で見かける行先に、東武東上線の「森林公園」があります。駅に着くと隣に車両基地が。さらにバスで向かった先に「国営武蔵丘陵森林公園」がありました。

車両基地があるため、横浜でも見かける行先「森林公園」

 東武東上線(東上本線)は、池袋駅(東京都豊島区)を起点に埼玉県川越市を経由し、同県北西部の寄居駅(埼玉県寄居町)に至る全長75kmの鉄道路線です。和光市駅(埼玉県和光市)から東京メトロ有楽町線、副都心線が乗り入れているうえ、副都心線は東急東横線、みなとみらい線と相互直通運転を行っていることから、都心方面のみならず、横浜方面からも1本でアクセスできます。

 さてこんな東上線ですが、池袋駅や相互直通先の駅でしばしば見かける行先のひとつに「森林公園駅」があります。駅名に付された森林公園とはいったい何なのか確かめるべく、実際に森林公園駅(埼玉県滑川町)を訪ねてみました。

 川崎市在住の私は、東横線の武蔵小杉駅(川崎市中原区)より特急・森林公園行きの電車に乗り、1時間半かけて現地に向かいました。終着駅にたどり着いた列車の行方をホームで見守っていると、そのまま回送となり、寄居駅方面へと向かっていきます。どこまで行くのか気になるところです。

 列車の行方は、改札階から窓越しに外を眺めることでわかりました。駅の向こう側に広大な車両基地「森林公園検修区」があったのです。なるほど、森林公園駅止まりの列車が多いのは、この基地によるものだったのですね。

 もともと東上線の車両は、川越の電車区で保守、清掃などが行われていたものの、沿線の発展に伴って手狭になっていきました。そこで川越電車区の機能を移転する形で1971(昭和46)年に誕生したのが森林公園検修区です。当時、私鉄でも有数規模の車両基地でした。

駅からさらにバス利用 駅前に森林公園はなかった

 では、ここからは駅名の由来である「森林公園」を探してみようと思います。駅前に公園でもあるのだろうかと勘繰りつつ、北口から出てみたところ、そこにあったのは森林公園「行き」路線バスの停留所。これはバスでアクセスせよということでしょうか。駅前どころではなさそうです。

 先に種明かしをしておくと、駅と森林公園はおよそ3km離れています。歩けない距離ではないのですが、平日日中は1時間あたり2〜3本の路線バス、土休日であればこれに加えて1時間あたり2〜3本の直行路線バスが運行されています。ここはバスを利用しましょう。いえ、むしろ積極的な利用を推奨します。理由は後ほど。

 発車後、バスは駅からどんどん離れていき、およそ7分で森林公園南口に到着。下車後、森林公園の南口入口で450円の入園料を払い、公園に入りかけたところで係のおじさんがおもむろに現れ、次のように案内をしてくれました。

「駅からバスで来たのなら、西口まで散策するのがおススメですよ。西口からもバスに乗車できます。なお、南口から西口までの所要時間はおよそ1時間です」

「1時間」

 一瞬耳を疑いました。当初私は、森林公園を駅前にあるかわいらしい公園だと思っていたのですが、まったくの見当違いです。広すぎます。先ほど路線バスの利用を推奨した理由は、「公園内で目いっぱい歩くから」です。

池袋から1時間あまりで深い森のなか

 森林公園は正式名称を「国営武蔵丘陵森林公園」といい、明治100年記念事業の一環として1974(昭和49)年に開園しました。東西1km、南北4km、総面積304ヘクタールという広さです。東京ドーム換算では65個分。前述の東上線最大の森林公園検修区が東京ドーム1.5個分ですので、森林公園は森林公園研修区43個分ともいえます。

 いざ公園内に足を踏み入れると、雑木林に覆われたなかに、池や沼、湿地などがあり、歩いていると自分が今どこにいるのかわからなくなります。駅からたった7分で、深い森のなかにいる気分を味わうことができました。

 私は公園に入ってすぐのところにある沼で、水鏡が返す紅葉の美しさに見とれてしまい、あっという間に30分以上が経過。西口まで行く時間的余裕がなくなってしまったので、再びの南口からバスで森林公園駅まで戻りました。

 森林公園駅は、森林公園の玄関口として、1971(昭和46)年に開業しました。駅の南口側に広がる住宅街のさらに向こうには1974(昭和49)年に完成した「東松山工業団地」があります。この工業団地は、森林公園駅のある埼玉県滑川町と隣の東松山市にまたがっており、駅開業当初は、東松山工業団地に勤務する人の利用、また住宅地としての発展も期待されていたそうです。

 森林公園駅までは池袋駅からおよそ1時間、そこからバスに10分弱揺られるだけで、想像を絶するスケールの「公園」に行くことができます。ちょうどこれからの時期は、椿が見頃ですよ。