関東の路線バスに「PASMO」「Suica」で乗車すると、ICカードリーダーから「チケットがつきました」と声がすることがあります。実はこれ、ICカード乗車券でバスを利用することが多い人への特典です。

「バスチケットが付与されましたよ」の意味

 東京都内などで路線バスに「PASMO」などのICカードで乗車した際、カードリーダーから「チケットがつきました」と声がすることがあります。どのような意味があるのでしょうか。

 この声は、ICカードによるバスの乗車を重ねたことで、カードに「特典バスチケット」が付与されたことを知らせています。その付与額は次回の乗車時、「チケットを使いました」のアナウンスとともに、運賃から自動で割り引かれます。おもに関東エリアの「PASMO」加盟バス事業者で提供されている「バス利用特典サービス」、通称「バス特」と呼ばれるもので、都電荒川線と東急世田谷線でも実施されていますが、高速バスや空港連絡バスなどは対象外です。

 その仕組みは次のとおりです。1か月間におけるバス運賃の支払額1円ごとに1バスポイントがカード内に記録され、1000バスポイントごとに、カードへ100円から330円分の特典バスチケットが付与されます。支払い累計額1000円でバスチケット100円、2000円でも100円(累計200円)ですが、3000円では160円(累計360円)となり、その後も1000円ごとに付与額が増減します。最大では1万円支払い時に、チケットが累計1740円分になります。

 ただし、バスポイントは月始(1日)から月末の範囲内で有効です。翌月になると、またゼロからのスタートなので、たとえば月の後半にバスをよく利用するという人には少し不利かもしれません。なお、「バス特」のサービスは「PASMO」「Suica」のみが対象で、両カードと共通利用が可能な「TOICA」や「ICOCA」といった関東以外の地域で発行されているICカードでは、ポイントがつきません。

定期券を買うよりお得?

「バス特」を提供する多くの事業者で、バスチケットの累計付与額は前出のとおり、ひと月あたり最大1740円(1万円分バスを利用した場合の累計)に設定されています。バスを頻繁に利用する人にとっては、定期券を購入するより出費を抑えられることもあります。

 たとえば東京23区の路線バスは多くの場合、区間によらず片道210円といった均一運賃制が採用されているため、定期券は全線が乗り放題の「全線定期券」のみという事業者が少なくありません。1か月9450円で発売されている都営バスの23区内定期券(通勤)の場合、片道210円の区間を毎日往復で利用して元を取るには、23日かかります。週休2日制で1か月の通勤日数が20日前後と考えると、結果的に「バス特」のほうがお得になることがあるわけです。

 回数券や磁気のバスカードでは、1000円の発売額に対して1100円分の利用が可能、といったサービスがありましたが、「バス特」は、その代替サービスともいえるでしょう。ちなみにインターネット上には、ふだん利用するバスの運賃と出勤日数を入力し、「バス特」でどれほど割り引かれるかを自動で計算してくれるサイトも存在します。