長距離列車には何が挙げられるでしょうか。定期の旅客列車では、新幹線や特急列車が想像できますが、貨物列車や不定期の「四季島」、環状運転するJR山手線など、意外なロングランナーが存在します。

1000km超えの定期旅客列車は新幹線「のぞみ」だけ

 航空機の台頭によって鉄道は長距離輸送から次々に撤退し、日本国内では2020年現在、1000km以上の距離を走る定期旅客列車は東海道・山陽新幹線の「のぞみ」だけになりました。

 かつては東京〜九州間などを結んだブルートレインのように、大都市と遠方の都市を結ぶ列車がたくさんありましたが、昨今ではすっかり数を減らしています。一方で、JR宇都宮線と東海道線を直通する湘南新宿ラインなどのように、都心部を経由して都市と都市を結ぶ200km程度の運行が見られるようになりました。

 そのようななかで長距離列車を挙げるとしたら、何があるでしょうか。

 先述の通り、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」は2020年現在、定期旅客列車で最も長い距離を走ります。その距離は東京〜博多間で1069.1km。所要時間は「のぞみ64号」が最短で、4時間46分です。1975(昭和50)年に山陽新幹線が開業したとき、同区間における「ひかり」の所要時間が6時間56分だったので、2時間10分も短縮されたことになります。

寝台特急「サンライズ出雲」も長いが、実は山手線も…?

 かつては在来線にも1000kmを超える長距離列車がありましたが、新幹線の開通などで本数を大きく減らしました。在来線の定期旅客列車では現在、寝台特急「サンライズ出雲」の東京〜出雲市間953.6kmが最長です。

 寝台特急「サンライズ出雲」は夜行列車ですが、昼行の在来線定期旅客列車で最長なのは、博多〜宮崎空港間を結ぶ特急「にちりんシーガイア」で、距離は413.1km、所要時間は5時間半ほどです。

 不定期の旅客列車では、JR東日本の寝台列車「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」が、上野〜日光〜青森〜函館〜登別〜青森〜弘前〜新津〜上野間を3泊4日かけて走ります。距離は2000kmを超えますが、一部区間はバスや別列車での移動になるため、全区間で「四季島」に乗ることはできません。

 ひとつの列車が折り返し運転をせずに走り続けるという意味では、環状運転するJR山手線も長距離列車の部類に入るかもしれません。

 列車には、運行スケジュールを識別する列車番号が割り当てられています。平日の山手線で列車番号「60G」運用の列車は、池袋駅を午前4時34分に発車してから、翌午前1時3分に大崎駅へ到着するまで、山手線を18周と池袋〜大崎間13.4kmを営業運転します。距離の合計は634.4kmです。厳密には、ダイヤの起点になる大崎駅を通過するごとに列車番号が変わるため、運行上「1本の列車」扱いではありませんが、フリーきっぷなどを使えば、20時間以上も同じ列車で山手線に乗り続けられます。

パリ〜東京間「オリエント・エクスプレス '88」ギネス認定1万km超え

 2020年3月のダイヤ改正で、東日本大震災により不通となっていたJR常磐線の富岡〜浪江間が復旧します。常磐線は約9年ぶりに全線で運転が再開され、現在は品川〜いわき間などを結ぶ特急「ひたち」のうち3往復が、仙台駅(仙台市青葉区)まで運転区間を延長する予定です。

 品川〜仙台間を運行する「ひたち」は、下りが13号・19号、上りが14号・26号・30号です。距離は370kmほどで、先述の特急「にちりんシーガイア」には及びませんが、昼行の在来線特急としては長距離の部類になります。

 走行距離が1000kmを超える定期旅客列車は新幹線「のぞみ」だけですが、旅客列車でなければ2000kmを超える長距離列車が運行されています。

 それは、札幌貨物ターミナルと福岡貨物ターミナルを結ぶ貨物列車です。距離は往路と復路で若干異なるものの、約2100km。所要時間は福岡貨物ターミナル行きが約36時間、札幌貨物ターミナル行きが約42時間です。途中、乗務員は10回以上交代します。

 世界に目を向けると、かつて「世界最長距離列車」としてギネスブックにも掲載された列車が日本を走りました。それは、1988(昭和63)年に運行されたヨーロッパの豪華列車「オリエント急行」です。フジテレビの開局30周年記念イベント「オリエント・エクスプレス '88」で実現しました。区間はパリ〜東京間で、距離は船で輸送された区間を除いて約1万5494km。約40日かけて、17人が全区間を利用しました。

 長距離を鉄道で移動することは少なくなりましたが、日常目にする列車が、意外な長距離を走っています。時刻表を眺めていると、思わぬ発見があるかもしれません。