新型新幹線車両「N700S」の量産車が完成。クレーンにつられトレーラーに載り、日本車両の豊川製作所からJR東海の浜松工場へ運ばれます。確認試験車の成果を受け登場した量産車、「乗り心地」には特に気が配られているようです。

新型新幹線「N700S」すでに確認試験車は東京〜新大阪間を300往復以上に相当

 JR東海が送り出す新型新幹線車両「N700S」。その量産車をトレーラーに積載する様子が2020年2月25日(火)、車両製造工場である日本車輌製造 豊川製作所(愛知県豊川市)で報道陣へ公開されました。

 今回、クレーンで宙に浮いたのは、N700S最初の量産車編成「J1編成」における16号車(744-1)。今後、直線距離で約30km離れたJR東海の浜松工場(静岡県浜松市)へ道路上を輸送され、そこで16両編成になり、試験などが行われます。ちなみに豊川製作所では、15号車(747-501)もすでにトレーラーへ搭載されていました。

 N700Sは、東海道・山陽新幹線の主力車両であるN700系(N700A)の後継車両で、2018年に「確認試験車」が登場。それを用いて試運転した成果を反映し、製造されたのが今回の「量産車」です。確認試験車はこれまで33.4万kmを走行しているそうで、その距離を単純に当てはめると、東京〜新大阪間を300往復以上していることになります。

 この量産車が5編成用意されたのち、2020年7月1日(水)、N700Sの営業運転が開始される予定です。

 東海道・山陽新幹線の現在における主力車両「N700系」は、2007(平成19)年にデビュー。N700Sは、それから13年ぶりの新型車両になります(2013年登場のN700AはN700系の改良型で、N700Sのようなフルモデルチェンジ車両ではない)。

新型新幹線「N700S」乗って体験してほしいところは?

 このN700S量産車についてJR東海 新幹線鉄道事業本部 田中英允担当部長は、「乗り心地はかなり気にして造りました。車両の横揺れを抑えるフルアクティブ制振制御システムも、確認試験車を使ってチューニングしてきました。トンネル進入時、列車のすれ違い時など、ぜひ体感していただければ」と、その快適性に自信を見せます。

 もちろんJR東海の新型新幹線車両「N700S」は、安全性能など全体的にN700系から高められたほか、「標準車両」「バッテリー自走」といった新たな能力も獲得。主な特長は以下の通りです。

・全座席にコンセントを設置。
・編成の長さを16両や8両など柔軟に変更できる「標準車両」。東海道新幹線以外で走らせたい場合も、状況に合わせて編成を変えられるため、やりやすい。
・高速鉄道で初めて走行用のバッテリーを搭載。停電しても、自走して最寄り駅などへ避難できる。停電時のトイレ使用も一部可。
・ATC(自動列車制御装置)やブレーキの改良で、地震発生時における停止までの距離を5%短縮(N700A比)。
・客室内の天井にも防犯カメラを設置。
・グリーン車や先頭車などに、乗り心地をさらに向上させるフルアクティブ制振制御システムを搭載。
・停車駅が近づくと天井の照明が明るくなり、荷棚への忘れ物防止をうながす。

 N700系からN700S、外見上の分かりやすい変更点は、左右両サイドにエッジを立てることで走行風を整流し、騒音などを低減している「デュアル スプリーム ウィング形」の先頭形状、新幹線初のLED前照灯、運転席側面部分に追加された短い青いラインなどが挙げられます。

 ちなみに「N700S」の「S」は、「シリーズ中最高の新幹線車両」というところから、「最高」を意味する「Supreme(スプリーム)」が由来です。