タクシー業界で策定された「新型コロナウイルス対策ガイドライン」で、利用者に対し「助手席の利用を控えてほしい」旨が書かれています。本来、タクシーの助手席利用には、決まりのようなものはあるのでしょうか。

新型コロナ対策で「助手席利用控えて」

 2020年5月14日(木)、公共交通各分野の業界団体が一斉に、事業者へ向けた「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を発表しました。同日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が一部解除されたことを受けてのもので、これまで事業者ごとに実施されていた新型コロナウイルス対策について、国の指針などを踏まえた事業所や車内などでの具体的対策を整理した形です。

 法人および個人タクシーにおいても、全日本ハイヤー・タクシー連合会と全国個人タクシー協会がそれぞれガイドラインを発表しました。いずれも、そのなかの「利用者に対する協力のお願い」項目として、「定員上、後部座席に着席可能である場合には、利用者に対して可能な限り後部座席に乗車するよう理解と協力を求める」と書かれています。

「要するに、助手席の利用を控えていただきたいということです」と、全日本ハイヤー・タクシー連合会は説明します。

 5人乗り車両のタクシーに対して4人の乗客が利用する場合など、やむを得ない場合はこの限りではなく、「あくまでお願いベース」とのことです。

 しかし、ガイドラインのなかには「運転席と後部座席の間に防護スクリーンを設置すること等により、乗客と乗務員の飛沫感染を防止するよう努める」とも明記されており、そして、この防護スクリーンを順次設置しているという日本交通によると、運転席と助手席のあいだのスクリーンはないということです。

 そもそも、たとえば5人乗りのクルマに3人で乗車する場合、後席に3人乗るのを避け、ひとり助手席に乗りたい、というケースもあるかもしれません。タクシーにおいて、助手席の利用に制限やルールはあったのでしょうか。

ふたりで乗る場合も助手席に アリ?

 日本交通によると、助手席の利用をなるべく控えてほしいというような明確な根拠は、これまでなかったといいます。

「3人あるいはふたりのご乗車で、助手席を利用されたいという場合も、お申し出があれば対応します。後席が自動で開くこともあり、さすがにおひとりで乗車される際に助手席を利用したいとおっしゃる方は考えられませんが、仮にあったとして、お断りする根拠はありません」(日本交通)

 ただ今回のガイドラインを受けて、具体的にどう案内していくか、検討しているといいます。

 ちなみに、あえて「助手席に座ってもらう」というケースが今後、生じるかもしれません。2018年に行われた「相乗りタクシー」サービスの実証実験は、スマートフォンアプリを通じて乗車予約をマッチングさせ、最初に乗せる利用者を後席に、2番目に乗せる利用者を助手席に座らせることを基本として、乗客のプライバシーに配慮しつつ、運賃を割り勘で利用できるようにするというものでした。

 この制度について、国は2020年夏ごろの認可に向け、2020年3月から4月にかけてパブリックコメント(国民への意見募集)を実施し、5月現在、今後を検討中としています。