上空を飛んでいる飛行機は、空の道である「航空路」と呼ばれるルートを通り、目的地まで向かいますが、この道幅はどれくらいあるのでしょうか。道幅は場所により異なるものの、地上の道路よりはるかに広いものでした。

航空路の横幅に相当する「保護区域」

 離陸し、いわゆる巡航状態に移行した飛行機は、もちろん闇雲に飛んでいるわけでなく、安全に飛行するため、基本的に「航空路」と呼ばれるルートを通り、目的地まで向かいます。

 いってしまえば「空の道」ともいえる航空路ですが、航空路には、道路でいえば横幅に相当するものはあるのでしょうか。

 航空路において、横幅に相当するものは「保護区域」にあたります。保護区域は、航空路の中心線から横に広がっており、それは航空路の種類によって異なります。もちろんその幅は、道路のそれよりはるかに広いものです。

 なお、航空路にも種類があり、おおまかに上空の飛行機に方位などを教える「航空保安無線施設」にもとづくものと、洋上飛行で使われるものとに分かれます。

 保安無線施設にもとづく航空路は、2020年5月現在、VOR(超短波全方向無線標識施設)同士で結ばれる「ビクター航空路」が80%以上を占めます。この航空路の保護区域は、中心線から左右それぞれ最小4海里(約7.2km)、つまりこの場合、航空路の道幅は最小8海里(約14.4km)になります。

 そして、かつて主流であった施設NDB(無指向性無線標識施設)同士を結ぶ航空路では、精度がVORより低いことから保護区域がもう少し広くなり、中心線から左右それぞれ最小5海里(約9km)、航空路の道幅は最小10海里(約18km)です。

洋上の国際航空路の場合はもっと広い道幅に

 洋上を通る国際航空路では、保安無線施設を地上のように設置できないことから、その道幅である保護区域は地上のものとくらべて、より広くなります。

 洋上国際航空路での保護区域はおもに中心線から左右それぞれ50海里(約92km)、つまり道幅が100海里(約185km)のものと、その半分となる中心線から左右それぞれ25海里(約46km)、つまり道幅が50海里(約92km)のものが一般的です。

 日本を発着する洋上国際航空路線では、太平洋を横断する路線などが100海里、陸地の近い日本海や東シナ海などが50海里の道幅を採用しています。

 また今般、多くの旅客機はGPSに加え、機内に搭載する、各航空路や無線保安施設、空港の滑走路や進入方式までをデータベースとして保有する「フライトマネジメントシステム」が発達したことで、先述の航空路とは独立した、よりフライト効率のよい「RNAV(広域航法)経路」という航空路も飛ぶことができます。

 RNAV経路は、航路ごとに「どの程度の航行の精度が求められるか」でランク付けがされており、上述した航空路の保護区域に相当する道幅はこのランクに基づきます。たとえば国内のRNAV経路で巡航時一般的に採用されている「RNAV5」の場合、経路の中心線から左右それぞれ5海里(約9km)以内を飛行できる精度とされており、経路の幅もこれにともなって左右5海里(約9km)、つまり10海里(約18km)の道幅となります。