鉄道の始発列車は早くて朝4時台ですが、高速バスも負けず劣らずです。4時台はもちろん、3時台発の路線もあります。早朝便の需要は意外と高いものの、新型コロナウイルスの影響により変化も生じているようです。

新設された「長野駅午前4時00分発」高速バス

 鉄道の始発列車は、早くて朝4時台ですが、高速バスも負けず劣らず始発の早いケースが見られます。2020年4月1日には、長野駅を朝4時ちょうどに発車する池袋行きの高速バスが新設されました。この日、長電バスなどが運行していた長野〜池袋線と、アルピコ交通などが運行していた長野〜新宿線が統合され、長野〜池袋・新宿線として装いを新たにしており、同時に、それまで最も早かった長野駅4時30分発の新宿行きより、30分も始発時刻を繰り上げたのです。

 鉄道だと、長野駅の最も早い始発列車は、5時10分発の飯山線 越後川口行き、新幹線の始発は6時台です。4時00分発の高速バスは早すぎるのでは、と思うかもしれませんが、この便を運行するアルピコ交通によると、需要は高いといいます。

「長野であれば新幹線、たとえば松本であれば、特急『あずさ』の始発列車よりも早く、東京都心に着きたいというニーズがあります。近年、地方から東京へ向かう便の始発はより早く、逆に東京から地方へ戻る便の終発は、より遅くなってきている印象です」(アルピコ交通)

 長野駅4時00分発の高速バスが池袋駅に到着するのは7時52分です。長野駅を6時02分に発車する新幹線の始発列車が東京駅に到着するのは7時40分ですから、池袋方面に用事がある人にとっては、高速バスのほうが早く着くかもしれません。

 高速バスと特急「あずさ」が競合する松本〜新宿間だと、高速バスの始発は、松本バスターミナル4時20分発、バスタ新宿8時13分着、「あずさ」の始発は6時30分発、新宿9時12分着です。運賃は、高速バスが通常片道3800円、「あずさ」は指定席特急券の場合で通常6620円となっています。

 アルピコ交通によると高速バスは、主要駅などはもちろん、途中の高速道路ICのバス停に自家用車からバスへ乗り換えるためのパーク&ライド駐車場を整備していることもあり、早朝にも関わらず次々に人が乗ってくるのだとか。松本〜新宿線の沿線では、複数拠点の合計で約500台分の駐車場を用意しているといいます。

「午前3時38分発」も

 長野県内から東京へ向かう主要バス路線はおおむね始発が早く、たとえば駒ヶ根〜新宿線は伊那バス駒ヶ根車庫4時22分発、岡谷・諏訪〜新宿線は上諏訪駅4時20分発、飯田〜新宿線は飯田4時26分発といった具合で、それぞれバスタ新宿着は8時00分、8時05分、8時33分です。

「それほど朝早い便に需要があるのなら、夜行はどうなのか」とアルピコ交通に聞いたところ、片道3時間から4時間の距離では「夜行で行くまでもない」という意識があるそうです。これら路線は運行距離200kmから250kmほどですが、他地域では同程度の距離の路線で、始発地を3時台に発車する便もあります。

 ジェイアールバス関東などが運行する、いわき〜東京線 の始発便は、ジェイアールバス関東いわき支店を3時38分に発車、いわき駅発は4時ちょうどで、東京駅には7時33分に到着するというものです。ほかに、両備バスなどが運行する倉敷・岡山〜大阪線も、始発便は倉敷駅北口3時50分発、岡山駅西口4時30分発、なんば7時50分着、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン8時20分着となっています。いずれも、運行距離200kmほどの路線です。

 より短い路線では、終着地へ6時台に着くよう設定されているものもあります。たとえば、つくば〜東京線の始発は、筑波大学4時45分発、つくばセンター(つくば駅前)5時00分発、東京駅6時25分(土休日は6時16分)着です。

 この路線はつくばエクスプレスと競合し、その始発列車はつくば5時06分発、秋葉原5時59分着の区間快速です。高速バスは、キャンパス内の宿舎に4000人近くが住む筑波大学構内から発車し、東京駅へ直通する点がメリットといえるでしょう。運賃は鉄道と高速バスでほぼ同じですが、高速バスは2020年6月現在、上り線のICカード利用に限り通常より380円割り引くキャンペーン(大人運賃のみ)を2021月3月末までの予定で実施し ています。

新型コロナからの運行再開「朝7時から」になったワケ。

 今回、 紹介した路線や便のなかには、2020年6月4日(木)現在、新型コロナウイルスの影響により運休しているものがあります。

 冒頭に挙げた長野〜池袋・新宿線も、一時すべて運休していましたが、6月6日(土)から一部便の運行を再開しました。再開後の長野駅始発便は、朝7時00分発。東京側発の最終便は従来、バスタ新宿23時35分発までありましたが、池袋駅19時20分発が最終になります。

 アルピコ交通によると、夜間の外出自粛が呼び掛けられて以降、朝早い時間帯 および夜遅い時間帯に発車する便の利用が大きく下がったのだそうです。とはいえ、今後の状況を見て順次、ダイヤを元に戻していくといいます。なお、いわき〜東京線やつくば〜東京線なども、減便ダイヤでの運行が続いていますが、両路線では従来の始発便も運行しています。

 ちなみに、鉄道において日本で最も早い始発列車は、桜木町駅(横浜市中区)を4時18分に発車するJR京浜東北線の大宮行き、私鉄では、保谷駅(東京都西東京市)を4時25分に発車する西武池袋線の池袋行きです。やはり、郊外から大都市へ向かう列車のほうが、始発は比較的早く設定されています。