ノートPCサイズで、かばんに入れて持ち運べるという「4輪のクルマ」が発売されました。ハンドルやリモコンもなく、重心移動で走行し、降りると自動停止するというもので、日本の素材技術が軽量化を可能にしました。

台車? いえ「持ち運べるクルマ」です

 東京都渋谷区のベンチャー企業、ココアモーターズが2020年6月9日(火)、「WALKCAR(ウォーカー)」という乗りものを同社公式サイトにて発売しました。

「ウォーカー」は、踏み台に4つの車輪がついたもので、一見して台車のような見た目ですが、これは「カバンに入れて持ち歩けるクルマ」だそうです。13インチのノートPCと同等のサイズで、高さ7.4cm、重さ2.9kg。ハンドルやリモコンもありませんが、どのように走るのでしょうか。

 同社によると「ウォーカー」は、立って乗り重心を移動させることで、加速や減速、曲がるといった動作が可能、かつ降りれば自動停止するといいます。その動きは、車輪に内蔵された超小型モーターが制御しており、最高速度は16km/h、10度の上り坂も走行できるとのこと。ちなみに1時間の充電で航続距離は7km(速度10km/hのノーマルモードの場合)だそうです。

「ウォーカー」は2016年に製品発表して以来、世界13カ国から累計約7800台の先行予約を得ているといいます。さらに約4年をかけて改良を重ね、満を持しての発売に至りました。ココアモーターズは、「『歩く』か『ウォーカー』か、選択できる時代が来たのです」としています。

「超軽量」に日の丸技術

 重心の移動によって加速や減速、停止を制御する乗りもといえば、アメリカの「セグウェイ」が知られますが、「ウォーカー」は、それと比べてもはるかに小型かつ軽量です。これに、帝人の素材技術が貢献しています。

「ウォーカー」には帝人の「テナックス」と呼ばれる炭素繊維、および「パンライト」と呼ばれるポリカーボネート樹脂が使用されています。「テナックス」は、鉄の4分の1という重さで10倍の強度を、「パンライト」は、ガラスの半分の重さで約200倍の耐衝撃性を有しているといいます。

 帝人は「ウォーカー」のスペックを決める段階から開発に協力し、「持ち運べるクルマ」としての軽さに素材の面から貢献しています。同社としては「通常は飛行機や自動車に使われる素材ですが、その軽さや強度を活かしてもらえる企業には積極的に提供していきたい」という思いがあるとのこと。

 また、ココアモーターズによると、モーターも5年をかけて開発した世界最小のダイレクトドライブモーターだそうです。この「持ち運べるクルマ」というコンセプトについて帝人は、既存の交通インフラに依存しない、新しい価値の可能性に期待していると話します。

 なお、「ウォーカー」の価格は税別19万8000円です。

 ただし、「ウォーカー」は現状、日本国内の公道走行は許可されていないそうです。ココアモーターズは、「公園や屋内施設、私道などで、各場所の規則に則ってご使用いただく形になります。また海外では、各国現地の法律に従ってご使用をお願いしております」としています。