日本も大量調達を決定したF-35戦闘機ですが、国内にはこれを欠陥機とする、ネガティブな声も根強く聞かれます。世界はF-35をどのように見ているのでしょうか。2019年の戦闘機生産数シェアからその実像に迫りました。

欠陥機報道も見られるなか…F-35戦闘機は実際どうなの?

 航空自衛隊へ配備が進む新鋭戦闘機ロッキード・マーチン F-35「ライトニングII」。日本は将来的に合計142機の調達を計画しており、これは主開発国であるアメリカを除けば2020年現在、世界で最も多いオーダーです。今後F-35は、40年から50年間は日本の防空を支える数的な主力戦闘機となることが確実となっています。

 一方で昨年、航空自衛隊において最初のF-35部隊が実働体制に入った直後に死亡事故が発生するなど、こうした事実から国内においてはいまだ欠陥機論が根強く存在します。なかには「アメリカがF-35をやめF-15を導入した(このような事実はない)」「ある国がF-35を導入しなかった」「他国がF-35を忌避するなかの爆買い」といった報道もありました。

 日本以外の国においてもF-35は欠陥機と見なされているのでしょうか。またF-35が売れていないという報道は事実なのでしょうか。2019年に製造された戦闘機の生産シェアを探ってみました。

2019年の西側諸国における戦闘機の生産数は…?

「戦闘機」という機種の定義づけが難しいところですが、「超音速飛行性能を有し近代的なレーダーや電子戦能力、ネットワーク能力などを備えた航空機」を意味するとすれば、アメリカやヨーロッパなどいわゆる「西側諸国」において、アメリカのF-35、F-15、F-16、F/A-18E/F、フランスの「ラファール」、スウェーデンの「グリペンE」、欧州共同開発の「タイフーン」といった機種が製造、販売されています。

 これらの機種の、2019年の製造数(軍へ引き渡された機数とする)は以下の通りです。なおロシア機や中国機など、F-35とは競合しない旧共産圏の機種は除くものとします。

●ロッキード・マーチン(アメリカ)
・F-35…134機
・F-16…0機(後述)

●ボーイング(アメリカ)
・F-15E…11機
・F/A-18E/F…23機

●ダッソー(フランス)
・ラファール…26機

●サーブ(スウェーデン)
グリペンE…2機

●ユーロファイター
タイフーン…14機(年間データが取得できなかったため第2四半期までの7機を2倍した推定値)

 ここに挙げた機種の2019年における総製造数は、合計208機(一部推定値)になりました。

F-35は今世紀最多の戦闘機になる…かも?

 前述の通り、旧共産圏の機種を除く世界の戦闘機シェアの実に64%がF-35によって占められています。134機のうち日本向けはわずか6機、最大のユーザーであるアメリカは81機であり、この2国を抜いてもなお47機と、2位のラファールに倍近い機数を生産しています。

 F-35の総生産機数はすでに520機へ達しており、総発注数は日本、アメリカ、イギリス、イタリア、イスラエル、ノルウェー、ベルギー、オランダ、デンマーク、ポーランド、オーストラリア、シンガポール、韓国の13か国から3000機を突破、2020年の年産計画は141機、2021年160機、2022年170機とさらなる増産を予定し、ピーク時は年産200機に達します。

 今後F-35の導入を決定する国はさらに増えることが推測され、日本国内でのF-35欠陥論とは裏腹に、F-35はほとんど「ひとり勝ち」といってよい状況にあり、21世紀最多生産戦闘機となる(少なくともその候補となり得る)ことがほぼ確実になっているのが現実のようです。

F-16戦闘機の2019年における生産数について

 2020年6月末現在、最後のF-16(4588号機)がロッキード・マーチンのフォートワース工場(テキサス州)から出荷されたのは2018年でした。ただしこれは、フォートワース工場をF-35生産ラインに一本化するための一時的な措置であり、2019年11月から新しいグリーンビル工場(サウスカロライナ州)にて、最新型F-16Vの生産が再スタートしました。

 F-16の受注数はなお100機を残し(2020年6月末現在)、ロッキード・マーチンはさらなる発注があると見込んでいます。