いくつものランプウェーが複雑に折り重なる高速道路のJCTは、その造形の美しさも注目されますが、実際に現地を走るときは注意が必要な箇所も。大規模なJCTは分岐も複雑なほか、車線運用が変則的なケースもあります。

サーキットのヘアピンカーブの如きJCT

 複数の高速道路が交わるJCT。いくつものランプウェーが複雑に折り重なるその姿は、造形の美しさから被写体としても注目されますが、初めて通る場合は注意が必要なところもあります。そのようなJCTを5つ紹介します。

大山崎JCT(京都府大山崎町)

・交わる高速道路:名神高速、京滋バイパス、京都縦貫道(いずれもNEXCO西日本)

 東西に名神高速、南北に京滋バイパスおよび京都縦貫道(両路線の起終点だが本線は連続している)が交わり、これらを相互に結ぶランプ、そして一般道へ通じる大山崎ICが接続しています。各ランプは南北方向に長く伸びており、途中で東海道新幹線の高架をまたぎ、一部(大山崎ICの流入路)はその高架の下をくぐるという複雑な構造です。

 名神はこのJCTの前後で上下線とも「右ルート」と「左ルート」に分かれ、JCTはいずれも左ルートにのみ接続しています。また、ルートによってはランプの通過時間がかなり長くなり、かつ途中でいくつもの分岐を経るので注意が必要です。

 たとえば名神の大阪方面から京都縦貫道へ向かう場合、名神から分岐したのち南へ、大山崎ICを過ぎて京滋バイパスの下を横断し、さらに北へ進路を変えるという、サーキットのヘアピンカーブのようなコースを進みます。そして、このあいだにランプ内で分岐が3つ連続するのです。名神を分岐してから京都縦貫道の本線へ合流するまで、1分以上かかることもあります。

日本最大級かつ日本一複雑なJCTとは?

 日本最大級といわれるJCTは、神戸市内にあります。

垂水JCT(神戸市垂水区)

・交わる高速道路:神戸淡路鳴門道(本四高速)、阪神高速5号湾岸線、第二神明道路北線(NEXCO西日本)

 垂水JCTは総面積36万平方メートルにもおよび、日本最大規模、かつ日本一複雑との呼び声もあります。南北に延びる神戸淡路鳴門道を中心に、南東方向から阪神高速が、北東方向から第二神明北線が接続し、各路線がいくつもの円形のランプで連絡、また神戸淡路鳴門道の垂水ICも接続しています。本州と淡路島、四国方面とを連絡する明石海峡大橋の入口となるような場所です。

 ランプ内での分岐が多いことから、以前は誤進入が1日平均で8件ほど発生していたそうですが、案内標識の行先表示を方面別に色を変えて枠で囲ったり、料金所のゲートも方面別に色分けしたりと、接続する3社で協力しつつ誤進入対策に工夫を凝らしています。

 なお、このJCTを経由して神戸方面(阪神高速)と淡路島方面(本四高速)を結ぶルートは、多客期などには激しい渋滞も見られます。本四高速は、垂水JCTを通過し、その北の布施畑JCTおよび阪神高速7号北神戸線などを経由する迂回ルートの利用も推奨しています。

名古屋南JCT(名古屋市緑区)

・交わる高速道路:伊勢湾道、名古屋第二環状道(いずれもNEXCO中日本)、名古屋高速3号大高線

 名古屋南JCTは高速道路3路線が交わるほか、名古屋南ICも接続、さらに一部ランプを介して大府ICと知多半島道路にも通じているという大きなJCTです。このほかにも周辺にはJCTが点在しており、伊勢湾道の名古屋南JCT手前に掲げられたルート案内の標識などが「複雑すぎる」と、テレビのバラエティ番組で取り上げられ話題になったこともあります。

 基本構造としては、伊勢湾岸道の本線からまず各方面へ向かう側道が分岐し、そこからさらに各路線へのランプウェーが分かれていくというものです。間違えて最初の側道へ入ってしまった場合、伊勢湾岸道の本線へ戻ることも可能になっています。

道路の左右どちらからも分岐!? 車線運用が複雑なJCT

 JCT手前の車線運用が変則的なケースもあります。

箱崎JCT(東京都中央区)

・交わる高速道路:首都高6号向島線、同9号深川線

 首都高C1都心環状線の江戸橋JCTから北東方向へ向かう6号向島線に入ると、本線が4車線となり、すぐに箱崎JCTの分岐が現れます。気を付けるべきはその車線運用で、真ん中2車線が6号線の直進レーン、その左右が9号線への分岐レーンになっています。一般的にJCTのランプは本線の左右どちらかから分岐しますが、ここでは左右どちらにも、同じ方向へのランプが接続しているのです。

 もともと右側のランプのみで、江戸橋JCT通過後すぐに車線を移ろうとするクルマで渋滞することから、左側のランプが追加されたのですが、「どの車線を通ればいいか迷う」といった声もよく聞かれます。

 ここで誤って6号線を直進してしまった場合、すぐ左側に現れる箱崎出口方面のランプへ向かいましょう。JCTの直下に位置する「箱崎ロータリー」と呼ばれる周回路に出られます。ここは箱崎、浜町、清州橋の各出入口(清州橋は出口のみ)と箱崎PAをひとまとめにしたような場所で、さらに6号線の上下線と9号線それぞれに通じています。

三郷JCT(埼玉県三郷市)

・交わる高速道路:外環道、常磐道(いずれもNEXCO東日本)、首都高6号三郷線

 三郷JCTも、近年の渋滞対策により変貌したJCTのひとつです。外環道の埼玉方面と常磐道との行き来に対策の重点が置かれてきました。

 まず、外環道の外回りから常磐道へのランプが、ふたつ存在します。外環三郷西ICを通過してすぐ現れる「第一ランプ」は、2018年4月に新設されたもの。首都高へ向かうには、この先で分岐する本来のランプである「第二ランプ」を利用する必要があります。

 また、常磐道から外環道内回り(埼玉方面)への分岐は、実際に道路が二又に別れる箇所の250mほど手前から、首都高への直進レーンと外環道への分岐レーンがゼブラ帯で隔てられます。外環道へ向かうクルマが列をなすこともあり、以前はかなり早めに左端の車線へ移っておく必要がありましたが、2018年3月に分岐レーンが2車線化され、3車線のうち真ん中の車線を走っていても外環道へ分岐できるようになりました。ただ、直進レーンのクルマの流れが速いこともあり、車線を移る判断の的確さも求められます。

「複雑にできなかったJCT」に苦心の跡

 ちなみに、路線規模からすれば「いくつものランプが重なる複雑なJCT」になるであろうところ、用地の関係から、それが実現できなかったJCTもあります。外環道と首都高5号池袋線およびS5埼玉大宮線が交わる美女木JCTがそのひとつです。

 このJCTは「信号があるJCT」として知られます。外環道と首都高の各方向を交互につなぐランプをいくつもつくるのではなく、高架上に平面交差の十字路をつくり、これを一般道の交差点と同じように信号で制御することで、相互の行き来を可能にしたわけです。

 このJCTがある場所は、地下に新大宮バイパス(国道17号)のアンダーパス、地上に新大宮バイパスと国道298号の平面交差、その上に外環道本線、美女木JCTの平面交差、首都高本線の順で高架橋が重なり合う5層構造となっており、用地の制約に苦心したことがうかがえます。

 JCT自体はそれほど複雑ではないものの、「高速道路上での信号待ち」に、初めての人は面食らってしまうかもしれません。