各駅停車や普通のほか、急行や快速などの優等列車を運行している鉄道会社は、利用者に分かりやすく案内するために、列車の種別を色分けしています。そこにはどのようなパターンがあるのか、大手私鉄を例に見てみましょう。

種別表示に最も使われている赤色 特に特急や急行など

 各駅停車のほかに速達列車を設定している路線では、乗客が乗り間違えないよう分かりやすい案内を鉄道会社が工夫しています。中でも列車種別ごとに色分けをする案内はJRや大手私鉄を中心に各社で行われており、文字を読むよりも直感的に「違い」を感じ取れるメリットがあります。

 たとえば「赤い種別は急行」「緑の種別は準急」といった具合です。中には阪神電鉄のように、車体の色で普通列車とその他の列車を完全に分離して、「オレンジの電車は優等列車」、「青い電車は普通列車」という区別をしている会社もあります。

 この「種別ごとの色」について、各社が運行している列車種別や種類は異なりますが、全体の傾向として「基幹となる優等列車」に赤色を設定するケースが多いようです。

 大手私鉄16社の例を見ると、東京メトロを除く15社が種別に赤色を採用しています。そのうち京急と近鉄を除く13社が、列車本数的にも基幹となる優等列車に赤色を割り当てています。京急は現在、快特が基幹となる種別ですが、赤色はかつての基幹種別である特急に使われています。

 そしてその基幹種別を補完する列車には、赤色の補色(色相差が最も大きくなる色)である緑色が使われる傾向が見られます。大手私鉄16社中9社が準急に緑色を割り当てており、南海と京阪は区間急行に、準急の設定がない西鉄は特急の補完種別である急行に、それぞれ割り当てています。

 このように基幹種別の赤色系統、補完種別の緑色系統、そして各駅停車の黒色系統(もしくは濃い青色)の3種が大手私鉄でよく使われる色となりますが、種別が多い場合この3色だけでは色が不足するため、各社は分かりやすいようにさまざまな工夫を凝らしています。

快速特急や通勤準急 グループ分けして色を割り当てる

 阪急は快速特急や特急など特急グループを赤色、通勤急行など急行グループを黄色、準急グループを緑色と大別したのち、文字でさらに具体的な種別を案内する方式をとっています。

 阪急は日中、特急(赤色)、急行(黄色)、快速(水色)、準急(緑色)と各色につき1種別のみが運行されており、通勤特急や通勤急行などは乗り慣れた利用者の多い通勤ラッシュ時のみの運行となるため、こういった種別ごとの色分けが有効に機能しています。

 同じような例は名鉄や相鉄でも見られます。名鉄の場合、特急系は赤色、急行系は青色、準急系は緑色とし、快速特急と快速急行は白地に種別の色、特急と急行は種別色の地に白抜き文字と反転して区別しています。

 一方で西武のように、特急を除く7種の種別すべてに異なる色を割り当てる例もあります。池袋線や新宿線は種別によって停車駅がまちまちで、上位の優等列車が停車する駅を下位の優等列車が通過するというケースがあります。そのため阪急のようなカテゴリー分けは難しく、列車ごとに色分けして停車駅を案内する方式を採用していると思われます。

 この場合、従来の色とはっきり区別できる色を優先するためか、京成の快速(桃色)や京王の区間急行(黄緑色)で見られるように、これまでの種別色とは全く異なる色が採用されるケースがあります。

3色LEDとフルカラーLED 車両によって表示する色が違う?

 種別を色分けする時、看板などに掲示される案内と列車の種別表示とで色が一致していれば、旅客にも分かりやすい案内ができます。しかし中にはそれらの色が一致しないケースがあります。それは、車両の表示器が「3色LED」で構成されている場合です。

 3色LEDは赤色と緑色の発光素子を使い、赤色、緑色、橙色の3色を表現できます。かつて主流だった方向幕に比べ、3色LEDは部品点数や可動部分が少ないため、保守性に優れているのが特徴です。

 しかし消灯を含めても4色しか表現できないため、種別が4つ以上存在する路線では、看板での案内と表示器の色がそろわないケースが生まれました。そのため横浜高速鉄道や近鉄の車両では、行先表示のみ3色LEDを採用し、種別表示は従来の方向幕を使用するといった例もありました。

 現在では青色発光素子が低価格で流通するようになったため、新規導入の際は非常に多くの色を表示できる「フルカラーLED」が主流となりました。とはいえ、3色LED表示器を搭載した車両もまだ多く残っており、列車によって表示される種別の色が異なっている状態の鉄道会社も少なくありません。これはサービス上好ましくないため、3色LEDで登場した車両の表示器をフルカラーLEDに交換している鉄道会社もあります。

 速達輸送は鉄道会社の重要なサービスですが、停車駅の異なる優等列車が増加すると、どの列車に乗れば目的地に早く到着するのかが分かりづらくなります。これからも鉄道会社はさまざまな工夫を凝らして、利用者により分かりやすく告知できる手段を考えていくことでしょう。