実写デビューを飾った『新感染 ファイナル・エクスプレス』が韓国における2016年のナンバーワン・ヒットとなり、メインストリームのヒットメーカーに躍り出たヨン・サンホ監督。長編デビューを果たす映画『The King of Pigs』(日本未公開)に続いて、2014年にサンホ監督が発表した名作『我は神なり』が、2017年10月にユーロスペースにて公開されることが決定した。



本作は、ダム建設に伴う立ち退き補償金に目をつけたインチキ教団、不安や弱みにつけ込まれて盲目的に信仰に身を委ねる村人たち、教団に単身立ち向かう荒くれ中年男の人間模様を描く。“信仰”という根源的かつデリケートなテーマを驚くべき視点で追求したサンホ監督が投げかけるのは、「あなたの信じていることは本当なのか?」という挑発的な問いかけだ。とりわけ強烈なインパクトを与えるのが、善良なヒーローとは真逆の造型が為された主人公ミンチョルのキャラクターである。



 

映画『我は神なり』




ミンチョルは登場人物の中でただひとり詐欺が行われている“真実”を見抜くが、世間を呪うかのような日頃の振る舞いが災いし、皮肉にも彼の主張はすべて周囲に“嘘”と断じられてしまう。そうした真実の曖昧な本質を暴くとともに、人間の価値観を根底から揺さぶるドラマは、このうえなく痛烈な風刺精神に貫かれ、観る者に究極の矛盾を突きつけてくる。



鋭利な社会告発映画である本作は、サイコ・スリラー、家族ドラマ、バイオレンスなどの多様な要素をはらみ、ブラックなユーモアをまき散らしたかと思えば、時には背筋の凍るような戦慄を呼び起こす。登場人物全員が破滅への道を転がり落ちていくその情け容赦ない展開は、「きっと最後には正義が勝利し、愛が取り戻されるはずだ」という観客の映画に対する幻想を粉々に打ち砕き、ヨン監督の型破りな作家性を改めて鮮烈に印象づけるに違いない。また『息もできない』の個性派俳優ヤン・イクチュンがミンチョルの声を担当し、迫真の熱演を披露しているのも要チェックだ。


映画『我は神なり』

2017年10月、ユーロスペース ほか全国順次公開!



監督:ヨン・サンホ