『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』ってどんな映画?



戦後の発展で好景気に沸く1950年代、アメリカ。シェイクミキサーのセールスマンとして、各地を飛び回っていたレイ・クロックは、マック&ディック兄弟が経営するハンバーガー店に驚かれる。合理的な流れ作業と徹底したコスト&品質管理によって、注目からわずか30秒で料理が提供される画期的システムが実現していたのだ。店の名前は「マクドナルド」。商機をかぎ取ったレイは兄弟に対し、全米を網羅するフランチャイズ展開を提案するが…。



観るべき理由:1――マクドナルド“創業”、その本当の意味は?



誰もが一度は口にしたことがある世界的ファストフードチェーン「マクドナルド」。その創業の舞台裏を、ハンバーガー帝国を築き上げた主人公レイ・クロックに関する書物や記事、さらに結果的に自分たちが創業した店を“奪われた”マクドナルド兄弟が残した資料などに基づき、映画化した。



根気だけを武器に壮大なフランチャイズ展開に打って出るビジネスマンのレイ、商品やサービスに対するポリシーを貫こうとするマクドナルド兄弟。そんな両者の“攻防”を軸に、古き良きアメリカの成功物語と、その影に潜む競争社会のシビアな現実がスリリングに描かれる。題名の「ファウンダー」は創業者の意味。果たして、マクドナルドを“創業”したのはレイなのか、マクドナルド兄弟なのか? そんな問題提起に、今を生きる現代人も大いに考えさせられるはずだ(当然ながら、本作はマクドナルド社非公認!)



観るべき理由:2――実は凡人? 主人公をとりまくヒューマンドラマ



小さな個人商店を世界的企業に成長させた男、といえば、どんなカリスマ性を備えたエリートビジネスマンかと思いきや、主人公のレイは50歳を過ぎても、全米各地でシェイクミキサーを売り歩く1人のセールスマンに過ぎなかった(マクドナルド兄弟と出会ったのは52歳のとき)。そんな“凡人”レイを支える人々が織りなすヒューマンドラマを、やはり実話を映画化した『しあわせの隠れ場所』『ウォルト・ディズニーの約束』のジョン・リー・ハンコック監督が丁寧に描いている点も、本作の魅力だ。



特にビジネスが順調であればあるほど、溝が深まってしまうレイと妻エセルの夫婦関係は、非常に現実的で切実。また、社交的でおおらか&職人気質でシビアという対照的な性格の持ち主であるマクドナルド兄弟が、長所短所を分かり合い、互いに足りないものを補いながら支え合う姿が、実に感動的であり、その末路も含めて思わず応援したくなってしまう。



観るべき理由:3――ついに迎えた黄金期! 名優マイケル・キートンが改めてすごい



主人公レイ・クロックを演じるのは、ベテラン俳優のマイケル・キートン。実は近年、“アツイ”俳優として再注目される存在なのだ。かつてはティム・バートン監督の『バットマン』に主演し、一躍スターダムにのし上がったが、その後はヒット作や映画賞とは縁遠くなり、テレビや小規模映画で活躍していた。映画俳優として転機を迎えたのは、第87回アカデミー賞作品賞に輝いた『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。同作でキートンは、架空の大ヒット映画『バードマン』シリーズに主演しながら、いまは落ちぶれたアクション俳優という、まるでセリフパロディのような役どころを熱演。アカデミー主演男優賞にノミネートされた。



翌年の第88回アカデミー賞では、出演した『スポットライト 世紀のスクープ』が作品賞を受賞。そして、日本では8月11日公開の『スパイダーマン:ホームカミング』では、宿敵のバルチャーを演じている(その姿はまるでバードマン!)。そんな彼が本作では、野心を隠さず、わが道を突き進む主人公に、緩急織り交ぜた妙演で命を吹き込んでいる。



(文・内田涼)


映画『ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密』

7月29日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国公開





監督:ジョン・リー・ハンコック

脚本:ロバート・シーゲル

出演:マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ、ローラ・ダーン

2016年/アメリカ/英語/カラー/115分/原題『The Founder』

提供:KADOKAWA、テレビ東京、BSジャパン、テレビ大阪

配給:KADOKAWA