今やマーベルの『アベンジャーズ』、DCの『ジャスティス・リーグ』や『スーサイド・スクワッド』など、多種多様なヒーロー(ヴィラン)が一同に介して一つの作品に登場することはもはや普通になった今、ユニバーサル・ピクチャーズがついに動く! 『ミイラ再生』『フランケンシュタイン』『魔神ドラキュラ』『透明人間』など往年のモンスター映画を“ダーク・ユニバース”と名付けたプロジェクトで次々と現代アレンジ、ひょっとしたらゆくゆくは一つの作品に…と期待せざるを得ないこのシリーズの先陣を切るのが、トム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(日本公開7月28日)だ。



今回、海外でトム・クルーズ史上No.1のオープニングを飾った本作から、日本語吹替声優の森川智之(トム・クルーズ)と山路和弘(ラッセル・クロウ)にインタビュー。トム・クルーズ演じるニック・モートンと、ラッセル・クロウ演じるヘンリー・ジキルの見どころたっぷりな掛け合いから、好きなモンスターまで、色々と聞いてみた。



――本作をご覧になった第一印象はいかがでしたか?



森川:この映画は『ミイラ再生』のリメイクですけど、予備知識なくこの作品を観ても“ザ・エンターテインメント”という感じで楽しめますよね。何と言ってもラッセル・クロウとトム・クルーズの2大スターが殴り合うっていう(笑)。スゴイなというか…この50代になってもあれをやるんだと。しかも「ハリウッドの大スターがここまでやる?」っていうくらいの(対峙するシーンで)アクションをしていて、2人とも楽しんでいるんだろうな、というのが伝わってきました。楽しそうに演じているからこそ観ている側にもそれが伝染するというか伝わってきて、「これは続くと面白そうだな」と感じました。



山路:とてもサラッとした活劇だと思ったし、かつてラッセル・クロウがやってきた役で、あんなに楽しそうにやっているのはあまり観たことがなかったので、「トム・クルーズと仲いいのかな?」と思ったし、実は初共演だという。すごく気が合うんだろうなというくらい、アクションも楽しそうなんだよね。ジキルとハイドのところも「俺はこうやるけど、トムはどう?」みたいな顔をしながら喜んでやっているような感じが観ていて楽しくて。それが印象的でしたね。



(C)Universal Pictures

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――今回トムが演じるニックはお金に目がない設定のキャラクターで、いつもの感じとは結構違う印象だったと思います。一方、アクション面は「さすが!」のオンパレードでしたが…今作のトムはいかがでしたか?



森川:吹替の時に彼のセリフを聞いていると、今回は今までになく素っ頓狂な声だったり「そんなところから声出すの?」みたいなところがありましたね。こういう表現もちゃんと彼の中で持っていて、温まっていて、それが出たというか。若い頃も“楽しい”とか“明るい”演技もやってはいたけど、トムはこの歳になって、それこそプロデュースするようになっても、完成されたイーサン・ハント(『ミッション・インポッシブル』とかジャック・リーチャー(『アウトロー』)などに凝り固まらずにこういうのも出来るよ、というのを見せてくれるというか、改めて芸達者な人だと思いましたね。テンポ感もいつもと違うし、セリフの張り方も違うし、表情豊かだし。もちろん、ヒロインのジェニーとの2人だけの会話とか、そういうところは彼の持ち味が出ていますけど。



――ラッセル演じるヘンリーはいかがでしょう? 二面性を持っているキャラクターということでしたが。



山路:ラッセル・クロウは極端にキャラクターを切り替えたりするのはそんなに得意ではないと思うし、そういうことが好きなタイプではないと思うんですよ。だから微妙にニュアンスを変えたジキルとハイドになっている、そのすごく微妙な線を彼が楽しそうにやっているんだけどね。ジキルとハイドというよりも、ラッセル・クロウの人柄が出ちゃっている役作りなのかなとも思っていますね。



――出だしの背中越しのショットなどを見ても、存在感がやはりスゴイですからね。



山路:その辺は使うよね(笑)。



森川:ズルいですよね。



山路:そうそう(笑)。ズルいよね、確かに。



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――久しぶりのラッセル・クロウでワクワクしたというのも伺いました。山路さんと言えばジェイソン・ステイサムだったり、どちらかというトム寄りのキャラクターもかなりやられていますよね。



山路:キャラというよりも、ガラガラ声の俳優になると私に来たりするんですよね…ガチャガチャっとしたような(笑)。映画館に行った時に「こういう人が売れてきているんだ」という俳優がそういう声だったりすると「あ、ラッキー」と思ったりすることもある(笑)。なので、キャラで選ばれていない感じもしますけどね。ラッセル・クロウは時々やって、好きでしたし、『グラディエーター』の頃からかな? ちょっと変わったじゃないですか。本腰入れたぞ、みたいな芝居になって。チンピラから変わった感じが。その後も観ているけど、今回は変わる前にちょっと戻って楽しんでいる感じはありますよね。



――ちなみに森川さんがトムを演じるというのはどういう感覚ですか?



森川:かれこれ付き合いも長くなってきていますからね。ひとりの俳優さんとして観ていたところから、声を当てさせてもらいはじめてからは一緒に歩ませてもらっているというか。僕自身のキャリアもそうですけど、トムはプロデュースもしていますよね?「自分をどうやって見せるか」というのはプロデューサーとしてのトムにもあるだろうし、僕はそこを一緒に歩んで、想像するというか。正統派の二枚目スターであるトムが、役者として違う面を見せたいというか、化けたいというか、そんなところがちょいちょい彼が選ぶ作品の役どころで出ていると思っていて。『ミッション・インポッシブル』のようにシリーズとして続くものは別としてですけど、「変わっていきたい」というのはすごく伝わるんですよね。今回の『ザ・マミー』ではギャグが多くて、こんなに多いのは久しぶりというか、近年見たことがないくらい自由にやっているなと感じましたね。一つの可能性を常にプロデュースしていっているなと。この映画のテーマでもありますが、彼自身が常に「冒険」しているというか、チャレンジしているのを僕は「一緒にお付き合いします!」という感じですかね(笑)。



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――今回お互いの演技で、テクニックと言いますか…「そう来たか!」という感覚はありましたか?



山路:今回というより…森川という男は「この男はなんでもやれるんだな」というのがすごく強いですね。二枚目もそうだし、「こんな三(枚目)をやってる!」とびっくりする時がありますから。リスペクトはありますよ。…先に言ったよ、俺は(笑)



森川:山路さんのラッセル、今回は出だしから役者冥利に尽きるというか(※山路さんは冒頭のナレーションも務めている)、どういうふうにセリフを言って盛り上げて、終盤対峙する時の表情に合わせていくというかね、でも合わせようとすると“合わせるだけ”になっちゃうので…



山路:それ今ハードル上げてるだけじゃないの?(笑)。頼むよ(笑)



森川:ニックと戦うシーンは嫌でしたね。怖くて、迫ってきていて。それくらい素晴らしいと思いますね、勝てそうにないところが。ある意味山路さんに殴られている感じというか、肋骨に手を入れられている感じですかね(笑)。「あーっ!」って。



山路:あれね。



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――ちなみに、ダーク・ユニバースは今後も続きますが、好きなモンスターはいらっしゃいますか?



山路:…ドラキュラかな。



森川:ゾクゾクするそうです。吸われる感じが。



山路:でもドラキュラ楽しみだな。



森川:僕は透明人間ですね。ジョニデなので取られちゃってますけど(笑)。



山路:平田(広明)か…って?(笑)



森川:どうか分かりませんよ? 僕がやっているかもしれないんで(笑)。子供の頃楽しく見ていたのは透明人間で。子供なんで、「透明人間になったらいろんなことできるよね」って。そうなった時に全裸になれるか、その度胸はあるのか、と。まぁ、能力切れたら捕まっちゃいますからね。



山路:ただの変態だからね(笑)。



楽しい話は止まらないが…今回はここまで。なお、詳細は映画を見てもらえれば分かるのだが、ニックとヘンリーは本作でまだそのすべてを見せきっていない。それが冒頭で書いた“ダーク・ユニバース”に繋がり、今後続く他のモンスター作品へのクロスオーバーや、共演といった可能性が十二分にあるのも、このシリーズに期待が膨らむポイントではないだろうか。UNIVERSALロゴと同じように冒頭で「DARK UNIVERSE」と出てくるところからも、その本気度に期待せざるを得ないのである。


映画『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』

2017年7月28日(金) 全国ロードショー





監督:アレックス・カーツマン

プロデューサー:アレックス・カーツマン、クリス・モーガン、ショーン・ダニエル

エグゼクティブプロデューサー:サラ・ブラッドショウ

脚本:ジョン・スぺイツ、クリストファー・マッカリー

出演:トム・クルーズ、ソフィア・ブテラ、アナベル・ウォーリス、ジェイク・ジョンソン、コートニー・B・ヴァンス/ラッセル・クロウ

配給:東宝東和