『俺たちポップスター』ってどんな映画?



幼なじみのコナー、オーエン、ローレンスの3人が結成し、世界的なブレイクを果たしたヒップホップユニット“スタイル・ボーイズ”は、フロントマンであるコナーが突然ソロデビューしてしまったことで空中分解。オーエンは専属DJに成り下がり、確執を抱えるローレンスは引退し、農場主になっていた。デビュー作こそヒットを記録したコナーだが、セレブ特有の傲慢さが災いし、ニューアルバムは絶不調。ツアーも中止に追い込まれる。



観るべき理由:1――スターの栄光と挫折、コメディだけどグッときます



人気グループの解散劇を軸に、それぞれの道を歩むメンバーの波乱万丈を描いたコメディ映画。特にソロデビューを果たし、完全に調子に乗ってしまったコナーの“しくじり”の数々がいちいちおバカで、ときに爆笑、ときに失笑してしまう。日本人には少々過激に見えてしまうシーンもあるが、これもまた、破天荒なセレブの愚行として、振り切った笑いを提供してくれる。



一方、元メンバーとの確執はシビアに描かれ、「一緒に夢を追いかけたあの頃」への哀愁、「理想だけでは成功できない現実」に対する諦めといった苦味が、作品のフレーバーとなっている。スターの栄光と挫折を題材にしつつも、実は、映画を見た誰もが青春時代に思いをはせたくなる瞬間が訪れるのだ。だからこそ、奇跡的なミラクルが起こるクライマックスには、思わずグッときてしまう。エンタメ色の強さでは、夏休みの超大作映画に負けておらず、まさに夏映画の“裏番長”登場というべき会心作である。



観るべき理由:2――炎上の裏で… 音楽業界へのクールな批評眼



主人公のコナーがニューアルバムのPRを兼ねて、ドキュメンタリー映画の撮影クルーが密着している…という体裁で物語が進んでいく本作。そんな映画のスタイルそのものが、自意識過剰なセレブに対する痛烈な批判になっており、実際、最近再びお騒がせなジャスティン・ビーバーのドキュメンタリー映画“Never Say Never”へのオマージュ(という名のイジリ)が満載だ。「薄っぺらい音楽ドキュメンタリーを茶化して面白がることが、この映画のすべて」と語るのは、製作を手がけるヒットメイカーのジャド・アパトー。



加えて、「CDが売れない時代」と言われて久しい中、あの手この手でセールスやツアー動員を伸ばそうと躍起になり、結果的に炎上してしまう現在の音楽業界へのクールな批評になっている点も見逃せない。ただ目立ちたいという理由で、無意味なSNS発信を繰り返すセレブの姿は、日本のタレントにも通じるかも。



観るべき理由:3――あのエマ・ストーンが一瞬出演!豪華セレブのカメオ出演



物語の主役であるヒップホップユニット“スタイル・ボーイズ”を演じるのは、アンディ・サムバーグ(コナー役)、ヨーマ・タコンヌ(オーエン役)、アキバ・シェイファー(ローレンス役)の3人によって結成された実在のコメディグループ“ザ・ロンリー・アイランド”。自作のラップを駆使した歌ネタ動画をネットで発信し、絶大な人気を得た彼らは、レディー・ガガやジャスティン・ティンバーレイク、ナタリー・ポートマンら名だたる著名人とのコラボレーションも実現させている。



そんな3人が初めて企画から立ち上げた本作には、アッシャー、ファレル・ウィリアムス、アダム・レヴィーン、マライア・キャリー、リンゴ・スターなどなど豪華すぎるセレブたちが、ちょいちょいカメオ出演。『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたエマ・ストーンが、ノー・クレジットで一瞬登場するが、果たして気づけるか?



(文・内田涼)


映画『俺たちポップスター』

8月5日より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開





製作:ジャド・アパトー/ロドニー・ロスマン/アンディ・サムバーグ/アキバ・シェイファー/ヨーマ・タコンヌ

監督:アキバ・シェイファー/ヨーマ・タコンヌ

脚本:アンディ・サムバーグ/アキバ・シェイファー/ヨーマ・タコンヌ

出演:アンディ・サムバーグ/ヨーマ・タコンヌ/アキバ・シェイファー/サラ・シルバーマン/ティム・メドウス/マーヤ・ルドルフ/ジョーン・キューザック

2016年 / アメリカ / 英語 / 86分 / カラー / 原題:Popstar:Never Stop Never Stopping