『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』ってどんな映画?



1970年代初頭、ロンドンにショップをオープンさせたシューズブランド「マノロブラニク」。構築的な美しいハイヒールは、ダイアナ妃やマドンナといった多くのセレブやファッション愛好家から支持され、女性を足元から輝かせてきた。その生みの親こそ、世界で最も偉大な靴デザイナーとして知られるマノロ・ブラニク。カナリア諸島で生まれ育った“トカゲに靴を作った少年”はいかにして、世界を魅了するモード界の頂点に登り詰めたのか?



観るべき理由:1――「自分らしく生きるとは?」のヒントをくれる



少年時代、庭園を駆けまわり、チョコレートの包み紙でトカゲのために靴を作った…。そんなエピソードをもつ本作の主人公、マノロ・ブラニクは現在75歳ながら、第一線で活躍するデザイナーとして多忙な毎日を送っている。映画は貴重なインタビューとアーカイブの公開を交えながら、マノロの半生をひも解き、唯一無二の美学と哲学、そして人間性を浮かび上がらせる個性的なドキュメンタリーに仕上がった。



ブランドのファンやファッション好きにお薦めしたいのはもちろんだが、「自分らしく生きるとは?」のヒントを教えてくれる点では、仕事や人間関係、自分の将来に悩みや不安を抱くすべての現代人に見てほしい作品だ。



観るべき理由:2――揺るぎないポリシーと人間的な柔軟性



というのも、マノロ本人が富と名声を極めた今でも「工房(アトリエ)で過ごす時間が人生の喜び」と言い切り、唯一の楽しみであるデザインと向き合う時間を大切にしているから。生き馬の目を抜くファッション業界で戦いながら、流行に左右されず、あくまで「自分らしさ」を武器に夢を実現させた姿は、頼もしくチャーミングですらある。



同時に「自分らしさ」に縛られず、歴史や文化、何より自然と人間との対話を楽しみ、さまざまな刺激を受送信する“柔軟性”こそがマノロの大きな魅力。もちろん、プロとしてのポリシーには揺るぎがない。SNSで自分らしさを発信しているつもりが、結局他人の評価に振り回されてしまう…そんな人に、ぜひ見習ってほしい生き方なのだ。



観るべき理由:3――魔法にとりつかれた“共演者”も超豪華



そんな彼が生み出す魔法=靴にとりつかれた多くの著名人がインタビューに協力しているのも、マノロの人徳があってこそ。『プラダを着た悪魔』のモデルとされる米版「VOGUE」編集長のアナ・ウィンターは「もう他の人の靴は履かない。見もしない」と豪語し、人気シンガーでコラボも実現させたリアーナは「女性にとっては夢の靴だわ!」と胸を高鳴らせる。



あのミック・ジャガーと、最初の妻で初期の顧客だったビアンカの間に生まれた長女ジェイドを、マノロが子守りしていた。そんなセレブにまつわる驚きエピソードも多々語られ、興味は尽きない。マノロが亡き“恩師”への感謝をしみじみ語るシーンは感動的だ。



(文:内田涼)


映画『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』

12月23日(土・祝)新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー!





監督・脚本:マイケル・ロバーツ

出演:マノロ・ブラニク、アナ・ウィンター、リアーナ、パロマ・ピカソ、シャーロット・オリンピア、イマン、アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・ガリアーノ、ソフィア・コッポラ、ルパート・エヴェレット

2017年/イギリス/89分

原題:Manolo: The Boy Who Made Shoes for Lizards

配給:コムストック・グループ

配給協力:キノフィルムズ