オランダで最も敬愛される作家、トーン・テレヘンによる“大人のための物語”『ハリネズミの願い』を紹介しよう。



主人公は、自分のハリが大嫌いなハリネズミ。寂しがりやのくせに気難しくて、いつもひとりぼっちの彼は、ある日、誰かを家に招待しようと思い立つ。だが、招待状を書くうちに、あれこれと不安が頭をもたげる。もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? 客人を迎えるシーンを想像すると、だんだん来て欲しいのか、来て欲しくないのか分からなくなってきて、手紙を出す勇気が出ない。



本書のファンの一人、作家の小川洋子さんは「取り越し苦労の天才、ハリネズミ君。とても他人とは思えない」とコメントを寄せている。きっと読者も本書のあちこちに自分自身を見つけることだろう。



本書のイラストは、祖敷大輔による日本オリジナル版。内気なハリネズミの願いは叶うのか、楽しみに読まれたし。



(文:松本理惠子)