最新ミニアルバム『シンセカイ』を引っ提げ、今年5月から始まったHello Sleepwalkersの全国ツアー『Hello Sleepwalkers 2017 “シンセカイ”』。そのファイナル公演が、7月13日、恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。


開演時刻を5分過ぎた頃、SEが流れ始めると共に、歓喜の拍手に迎えられてユウキ(Dr)が静かにステージに現れた。そして、彼が打ち鳴らすドラムの残響が観客の鼓動を速める中、マコト(Ba)、シュンタロウ(Vo&Gt)、ナルミ(Gt&Vo)、タソコ(Gt)が登場。シュンタロウ&ナルミの美しいハーモニーがフロアを縦にスッと切り裂くと、前作のアルバムタイトル『Planless Perfection』と対を成し、同作品の最後を飾る「Perfect Planner」に連なるように、ライブは幕を開けた。



この曲は、シュンタロウ曰く“絶対的なバッドエンドを塗り替えてやろう”という想いを乗せた曲。その攻めの1曲をオープニングに提示した時点で、5人の描く“新世界”が今までのハロスリとはひと味もふた味も違うものになるだろうと確信した。



「始めようぜ!LIQUIDROOM!」(シュンタロウ)



シュンタロウのシャウトを合図に、2曲目には早くもキラーチューン『神話崩壊』をぶちまけ、トリプルギターならではの迫力あるバンドサウンドで攻め立てる5人。時折がなるように言葉を吐き出すシュンタロウと、艶やかかつパンチのある歌声で誘うナルミの掛け合いも、今ツアーを経てさらにパワーを増したようだ。



 

 




それに比例するように、「シンセカイツアーへようこそー!」と突入した『Rollin’』(ミニアルバム収録曲)、マコト&タソコが共同制作したというダンサブルな『Jamming』……と曲が進むごとに、観客のジャンプ力、熱量も増していく。なお、『Jamming』の曲中には、観客とのコール&レスポンスはもちろん、各メンバーのソロパートもあり。息をすることさえ許さないほどに、次から次へと音のビッグウェーブが押し寄せる、そんな展開となっていた。



しかし、最高にトリッキーなナンバー『2XXX』へ突入すれば、次々に繰り出される予測不可能な変拍子で、究極の“ハロスリらしさ”を見せつける。カーチェイスをしているかのような巧みなハンドル(指)捌きで観客を翻弄するメンバー達と、見事なリズム感で音を乗りこなしていく観客の一体感も健在だ。



その一方で、各地でのワンマンを通して育ててきた『Sleep Tight』や『Sundown』(ミニアルバム収録曲)では、熱い一体感はそのままに新たな彩りを添え、その姿からは、世界規模で活躍しているバンドが持つスケール感や貫禄、遊び心さえ感じられた。彼らが繰り返し行ってきた音楽実験の1つの成果が、ここに表れていたのではないだろうか。



 

 




ユウキによるドラムソロを挟み、本編中盤は、シャッフルビートが軽快な『デジ・ボウイ』でイメージチェンジ。真っ赤なライトが会場全体を塗り替え、『Bloody Mary』へと繋いでいく。また、活動初期からハロスリを支えている『月面歩行』や『環状遊泳』、ミニアルバム収録の『DNAの階段』など、バンド名を象徴する、夢と現実の狭間を浮遊しているような世界観の楽曲達も披露。



ユウキを中心に、あえて無言を楽しむという斬新なMCタイムで会場を湧かせた後は、シュンタロウ曰く“うるさい曲”『アキレスと亀』、ナルミの煽りに呼応して「もくもく働こう!」コールが起こった『Worker Ant』、新たなライブアンセム『YAH YAH YAH』で畳みかける。



人気曲『猿は木から何処へ落ちる』では、メンバーも観客も一体になって大声を張り上げ、全身でエネルギーを放出!もはやギリギリまで声を絞り出しているように見えたシュンタロウだったが、「この日のために、この瞬間のために書いた曲を歌ってもいいですか!?」と投げかけると、ミニアルバムのリード曲『新世界』を熱唱。息苦しいほどの熱気、幾重にも重なる音の海の中で、「さよなら新世界!」と言い放つナルミの潔いハイトーンヴォイスが心地良く響いていた。



前回のアルバム制作以上に、悩みあぐねて完成したミニアルバム『シンセカイ』。シュンタロウの口からは、どうやったらみんなに想いが伝わるだろう?と、歌録りの朝まで歌詞を書いていたというエピソードが語られた。



「音っていうのは、生まれた時はすごく真っ白な状態で。今回のアルバムもまさにそうで。音が生まれた後にメンバーでアレンジして、各地を廻って、歌って、訴えて……そうやっていろんな想いがどんどん乗っかっていって成長してきた。そういうアルバムになったなと、本当に思います」(シュンタロウ)



そして、「未来はいつだって怖いくらい眩しいけど、その先にみんなと一歩進んで、次の場所でまた絶対に会えるように。そう願って、最後の曲を歌います」と言い添え、次の曲へ。眩しいほどの後光が5人を包み込み、静かにピアノの音が舞い込むと、最後にミニアルバム『シンセカイ』より『日食』を披露した。



それはまるで、1つのツアーが終焉を迎え、新たなハロスリが産み落とされるような感覚――。アグレッシヴに掻き鳴らす轟音に驚きを感じつつも、どこか優しく抱かれているような安心感がそこにはあった。



フロアの至るところから投げかけられた名前に応えるように始まったアンコール。1人ステージに現れたシュンタロウが、ミディアムナンバー『夜明け』を弾き語りすると、観客も一緒に大合唱し、ささやかな希望と笑顔で会場を満たしていく。



 

 




かつてシュンタロウは、「僕がそうだったように、今悩んでいる人も、苦しんでる人も、迷っている人も、その日々でもがいてあがいて繰り返していけば、明日には違った朝が来ると信じて書いた曲です」(『Quintet Laboratory Phase2』にて)と、この曲を作った際の心境を語っていた。そんな自分を奮い立たせる楽曲が、大勢の仲間と共に歌うことで、これほどまでに力強い祈りに変わっていくのだと、改めて歌の力を実感した瞬間でもあった。とはいえ、やはり最後は熱く叫ぶのがハロスリのライブの定番。



ラストは代表曲の『午夜の待ち合わせ』で、メンバーも観客ももみくちゃになりながら全力で暴れ倒す!フロアには自然とモッシュが湧き起こり、メンバーは衣装も身体もボロボロになりながら、ナルミに至っては涙ぐみながら観客を煽る。それでも、とびきりの笑顔で完走すると、「Hello Sleepwalkersでした!」のひと声が、全国ツアー『Hello Sleepwalkers 2017 “シンセカイ”』の終幕を告げた。(文:斎藤碧)