「もっとかっこいい男になりたいんです」。昨年から今年前半にかけて自身最大規模となる7万人動員のアリーナツアーを終えたばかりの高橋優は7月26日にリリースする両A面シングル『虹 / シンプル』についてのインタビューでそんなふうに語ってくれた。



1曲目の「虹」は「熱闘甲子園」テーマソングとして、2曲目の「シンプル」はビオレ洗顔料のCMソングとして書き下ろした楽曲だが、そのどちらにもいまこの瞬間を愛すること、そして一歩でも前進するために生きたいという、泥臭い高橋イズムが流れている。



今回のインタビューではそんなタイアップ仕事のなかに滲み出る高橋の人間性に触れながら、アリーナアーティストとなった高橋優が、ここからどこへ進むのかに焦点を当てて話を訊いた。なお、今作のカップリングには恒例の高橋優&亀田誠治によるメガネツインズの初バラード「Fitting」も収録。あらゆる角度から痛快なメッセージを放つ必聴の4曲になっている。(インタビュー&文:秦理絵)


―ここ最近は“人とのつながり”に視点が向いたシングルが多かった高橋さんですが、今作は前に向かう自分を強く奮い立たせるようなポジティブな両A面になりましたね。



言われてみれば、久しぶりにそういう曲を書いたんですよね。「虹」は「熱闘甲子園」のテーマソングっていう依頼を受けて、曲作りの旅をさせてもらったんです。「高校球児たちの実際の姿を見てみるのはいかがでしょうか?」っていうご提案をいただきまして。



―春の選抜とかを実際に見に行ったんですか?



そうなんですよ。何試合か見に行かせてもらって、そのたびに思ったことをメモったりして。そこで出てきた言葉を曲のなかに入れて作ったんです。そこから奇跡を待つんじゃなくて、奇跡を起こすんだみたいなテーマになりましたね。



―球場で試合を見てどんなことを思いましたか?



生で試合を見てると、「あいつ悔しがってるんだろうな」とか「今日までめちゃくちゃ準備して気合入れてきたんだろうな」っていうのが、テレビで見てるより伝わってきました。逆に「あいつはちょっと面倒くさそうにやってるな」とか。だから曲にするときは、その誰をも無視したくなかったんです。一生懸命がんばってる人だけが報われるんじゃなくて、「俺も途中で諦めたこととかあったな」「辞めたくなる気持ちもあったね」っていうところも踏まえて、でも行く。やるときはやったよなっていう曲にしたかったんです。



―もともと先方からは「グラウンド」というワードを入れてほしいというオファーもあったそうですけど、結局その言葉は入れなかったそうですね。



グラウンドとかアルプスっていう甲子園用語が入ってたらありがたいっていう話はありました。でもリクエストに応えようとするほど、僕の場合うまくいった試しがないんです。リクエストには「はい」って言うけれど、それをいかに鮮やかにいい意味で裏切るかっていうことが僕のテーマなんですね。で、どうしようかなと思ったときに出てきた言葉がグラウンドじゃなくて、タッチアウトだったんです。それが最終的に通ったんですけど。タイアップという、ある種のハードルを避けたり、潜ったり……たまにきれいに飛び越える日もあるけど、そういうところは天邪鬼というか、僕の捻くれてた性格が出てますよね(笑)。



40を過ぎても、50を過ぎても、明日が人生を賭けて何かをする日になるかもしれない



―ただ、グラウンドというワードがないだけで、どんなスポーツにも、シチュエーションにも当てはまる曲になりましたよね。



そう、会社とかでも。高校球児は年間何万人もいるっていう話を聞いたんですよ。そうすると(過去に)高校球児だった人はもっといっぱいいるはずじゃないですか。この曲は高校野球を応援する曲にしたかったから、矛盾するかもしれないんですけど、そういうふうに高校野球を経験して、青春時代が過ぎ去った、僕らより上の世代の人たちに人生のピークを高校野球にしてほしくないっていうのもあったんですよ。



―そこに輝かしい思い出があるほど、過去が美化されたりするから。



高校野球は素晴らしい、そこで人生を賭けていたっていう思い出は良いけど、40を過ぎても、50を過ぎても、明日が人生を賭けて何かをする日になるかもしれないじゃないですか。来週、バッターボックス以上の経験があるかもしれない。そういう奇跡は起こそうと思わないと、どんどん(人生が)平坦になってしまうかもしれないっていう危機感みたいなのが僕のなかにあったんです。高校球児はそのフィールドで自分たちこそが虹よりも綺麗な風景になろうとして、泥水にまみれて闘っている。でも、それを見てる僕らもまた彼らと同じく美しい景色そのものになれるんじゃないかと思ったんですよね。



―単純に野球に寄せて「グラウンド」っていう言葉を使えば、もっとラクに曲は作れるかもしれないのに、そこからさらに一歩踏み出すのが高橋優の仕事ですね。



僕、野球を見に行っていちばん忘れちゃいけないなと思ったのはドライな視点だったんですよ。生で野球を見たら感動するし、泣ける。「野球って良いよね」ってなるけど、「熱くない?そういうの」「野球ってそんな感じなんですか?」って思う人もいるだろうし、もしかしたら野球をやりながらそう思ってる人もいるかもしれない。その人たちのことも無視したくなかったんですよね。この曲では情熱について歌いたいとは思ったけど、「一緒に情熱的になろうぜ」っていうだけじゃなくて、「ちょっと前だったら、俺はそれを面倒くさいと思ってたんだよな」っていう視点から、情熱を歌いたかったんです。



情熱一色だとつまらない曲になってしまう気がするし、片一方の視点しか持っていないことをやたらと怖がってる自分がいる



―たとえば“情熱”というひとつのモチーフに対しても、第三者的な視点で書きたいっていうのは、いま高橋優の曲を聴く人が増えたからこそ考えるようになったことですか?



それは前からだと思います。圧倒的に社会的な歌を書いたとしたら、同時に個人的なラブソングが生まれたりするんですよ。やっぱり両極端な気持ちがあったほうがいいっていうのはずっと思ってるんでしょうね。情熱一色だとつまらない曲になってしまう気がするし、片一方の視点しか持っていないことをやたらと怖がってる自分がいるんです。だから2コーラス目ではひたすら白球を追いかける前向きな姿だけじゃなくて、どちらかと言うと「面倒くせえな」と思って諦めがちな気持ちのほうを歌ってたりするんです。



―そのなかで“負けるわけにはいかない 勝ち続けなきゃいけない”っていうフレーズだけは、とても強い言葉で言い切っているのが、この曲の強さだと思います。



そこは濁したくたくなかったんですよね。やんわりとした表現でも行けるところではあったんですけど、その部分がこの曲でいちばん届けたい「虹を待つな、虹を作れ」っていうメッセージにつながっていく気がするんです。何もしないまま死んでも幸せだと思える人はそれでいいですけど、それだと楽しくないと思うんですよ。自分で動いて、人間関係を築いて、自分で手を伸ばして掴んだものしか最後は残らない。それをやろうとする自分がいるとしたら、そこで「辞めちまえよ」って言ってくる自分には絶対に負けちゃダメだから。そこは乱暴なようでも言い切ってしまうほうが届く人には届くと思ったんです。





いかに何もない日を愛してあげられるかが、生きるうえでモチベーションになると思った



―さっき「奇跡を起こさないと人生が平坦になる危機感がある」っていう発言があったんですけど、それが2曲目の「シンプル」にも通じてる部分がある気がしてて。



というのは?



―「シンプル」は出だしで“今日は今までの人生で一番あたらしい日”って歌ってるから、新生活とか結婚とか誕生日とか、そういう特別な日の歌にも最初は聴こえたんですけど、でも実は何もない日の歌じゃないですか。



そうですね。



―だから「シンプル」に「虹」も、‟毎日を平坦にさせない“っていう同じメッセージがある気がしたんです。



ああ、たしかにそうかもしれないですね。「シンプル」は本当に何もない日の歌なんです。結婚式は基本的に1日しかないし、生まれる日も1回しかないけど、その日を特別視しちゃうと、それ以外の日をその他大勢のように切り捨ててしまう気がして。一方では何もない日のほうが幸せだったり、ただ生きてることが素敵だったりする。いかに何もない日を愛してあげられるかが、生きるうえでモチベーションになると思ったんです。



―この曲は花王 ビオレ「スキンケア洗顔料」「うるおいジェリー」CMへの書き下ろしですけど、「幸せってシンプル」っていうのがCMのキャッチフレーズですよね。



そうそう。それがふだん僕が考えてたことと似てたんです。シンプルな1日を幸せって呼ぶことができるかどうか、楽しめるかどうか。言いようによっては、“今日”はいままでの人生の最新デーじゃないですか。これからの人生のスタート地点だって言うこともできる。そう考えたら、今日がより良いものにも見えるし、ちょっと視点が違って見えるっていうのが、この曲を書き始めるいちばん最初のテーマでしたね。



僕も自分の足でしっかり立っていたいと思うんでしょうね。「俺は叫ぶから、あとはよろしく」じゃなくて



―いま、高橋さん、「シンプル」はふだん考えてることにリンクしてるって言ってたじゃないですか。実は今回の両A面になっている2曲はどちらもタイアップでありながら、いま高橋さんが書きたかったことと乖離してないんだろうなってすごく思ったんですよ。



ああ……いま自分のモードがこの2曲にはそのまま出てますね。どちらかと言うと、「シンプル」のほうは軽やかに歌おうとしてますけど。



―アコースティックギターのサウンドにのせて。



うん、ちょっとだけラブソングの要素というか、“そのまんまの君が好き”っていう他者を意識するような、励ますようなニュアンスも入れてます。でも、「虹」に関しては、自分に対して発破をかけたいっていう気持ちが正直あったんです。



―どうして発破をかけたいと思ったんですか?



なんでだろう……年齢的なものって言ったら、かっこ悪いけど。ちょっと前までは感情を垂れ流して、怒りだったら怒りのまんまに言葉を吐き出して、それが曲になってても良かったんです。いまもそういうことをやって良いとは思ってるけど、でも自分よりも若い世代の人たちが責任のある仕事をしてたり、もしかしたら世界を動かすような状況を見ていると、やっぱり僕も自分の足でしっかり立っていたいと思うんでしょうね。「俺は叫ぶから、あとはよろしく」じゃなくて。叫びもするし、時々ふざけたりもするし、もともとできた人間でもないけれど、もっと自分の力で誰かの役に立てる人になりたいと思ってる。……なんか、まだ何かをやり遂げても実感がないんですよ。



―あの7万人を動員した過去最大規模のアリーナツアーを終えてもですか?



あれは来てくれてる人とそれを支えてくれてるスタッフの力もあってやれてるので。自分ひとりで何かをやったっていうことじゃないと思うんですよね。



―何をやれたら、高橋さんはやり遂げたと思えるんでしょう?



んー……シンプルに自分が書いた曲があって、それを受け取ってくれてる人がいれば、それは自分の手柄だと思えるんでしょうけど。このシングルもそうですけど、いろいろな人からお話をいただいて、曲を書いて、そのテーマで書くために旅をさせてもらったりしてる。その時点でいろいろな人の脛をかじってるというか、ものすごくいろいろな人たちの力を借りてる気がするんですよね。だから……何をしたらやり遂げたと思えるか、かあ。でも……もっとかっこよくなりたいですよね。人として、男として。



―ああ、わかります。それが今回の2曲にはすごく出てるんじゃないですかね。人としてのかっこよさとは何なのかっていう高橋さんの逡巡が曲に詰まってる。



「かっこよさって何だろう?」っていつも考えてるんです。





できてない自分を毎回ちょっとずつ悔しがりながら、もっとかっこよくしたいっていう想いがずっとある



―その答えは出ましたか?



今回、高校野球を見てて思ったのは、かっこいいのと思うのは「ちゃんと準備してきたな」って見える人だったんですね。それは運動量がどうこうじゃなくて。そのために全力を尽くして、練習をしたり、筋トレをしたり、食事制限をしてきたんだろうなっていうのが、実際にしてるかどうかわからないけど、そう見える人はかっこいいんですよ。



―それを高橋さんで言うならば、良い曲を書くための日々いろいろなことをインプットしていたり、ライブのために準備をするっていうことですよね。



そうですね。自分の表現で誰かを元気にできたり、癒したりすることは並大抵のことじゃないと思うんですよね、特に最近。パーンと思いつきでダジャレとかを言えたりもするけど、練りに練られたギャグって永遠に面白かったりするじゃないですか(笑)。でも練りに練ってもつまらないときもある。だから難しいんですけど。たまにテレビのトーク番組に出させてもらっても、お笑いの人たちはひとつの笑いをとるのに、すごい準備をしてきて、悩んだりされてるのを感じるんです。それを僕だったら、歌とかライブでやらなきゃいけない。1日を愛するって、そういうことの連続だと思うんです。



―ええ。



今日、僕はインタビューの日だから歌う仕事はないですけど、だからって今日がどうでもいい日ではないんですよ。何本もインタビューを受けるなかで、今日できることを工夫する。それがいっぱいできる人がかっこいいのかなと思いますね。ライブでも、テレビに出るにしても、まだまだできるはずなのに、できてない自分を毎回ちょっとずつ悔しがりながら、もっとかっこよくしたいっていう想いがずっとあって。悔しがってる時点で、まだ僕はかっこよくなれてない。だからこそ「虹」では、“前へ 前へ 数cmずつでいいから”っていう弱音ともとれるし、前向きともとれるような言葉を選ぶんでしょうね。



高橋優 リリース情報







期間生産限定盤






通常盤






秋田CARAVAN MUSIC FES

2017盤







虹 / シンプル



2017年7月26日発売



期間生産限定盤(CD+DVD):WPZL-31329/30 ¥4,150円(税抜)

通常盤(CDのみ):WPCL-12689 ¥1,200(税抜)

秋田CARAVAN MUSIC FES 2017盤(CD+高橋なまはげスタジアム・クッション):WPCL-12742 ¥2500(税抜)




CD 収録曲

1.虹 2.シンプル 3.白米の味 4.Fitting /メガネツインズ(高橋 優&亀田誠治)



期間生産限定盤DVD 収録内容

全国ホール&アリーナツアー 2016-2017「来し方行く末」 横浜アリーナ 2017.4.1(153分、24曲)

1. TOKYO DREAM 2. (Where's)THE SILENT MAJORITY? 3. 太陽と花 4. アイアンハート 5. 拒む君の手を握る 6. Cockroach 7. 象 8. 君の背景 9. 花のように 10. 運命の人 11. さくらのうた 12. 8月6日 13. 素晴らしき日常 14. 光の破片 15. 産まれた理由 16. BE RIGHT 17. パイオニア 18. Mr.Complex Man 19. 明日はきっといい日になる 20. 泣ぐ子はいねが 21. BEAUTIFUL 22. ロードムービー 23. 福笑い 24. リーマンズロック





ニューシングル「虹/シンプル」CDショップ購入特典

先着購入特典として各チェーンごとのオリジナル絵柄の高橋優オリジナル・コースターをプレゼント。

・TSUTAYA RECORDS:TSUTAYA RECORDS Ver.

※一部の店舗を除く。オンラインは予約のみ

・amazon:amazon Ver.

・タワーレコード:TOWER RECORDS Ver.

・Loppi/HMV:Loppi/HMV Ver..

・サポート店:サポート店 Ver.

※アスマート及びワーナーミュージックダイレクトはサポート店特典対象店です

※なくなり次第終了



2017ABC夏の高校野球応援ソング 特設サイト:http://www.asahi.co.jp/koshien/song/

高橋優 オフィシャルウェブサイト:http://www.takahashiyu.com/



秋田CARAVAN MUSIC FES 2017



開催日程:2017年9月2日(土)、9月3日(日)

会場:鳥海高原 花立牧場公園 花立グラウンド



出演

9月2日(土):高橋優 / PUFFY / BEGIN / BLUE ENCOUNT 他

9月3日(日):高橋優 / SCANDAL / FLOW 他

※高橋優以降50音順・各日7アーティスト出演予定



チケット

一般発売日:2017年7月 29日(土)

1日券(ブロック指定):8,640円(税込)

2日間通し券(ブロック指定):15,780円(税込)

学割1日券(ブロック指定):4,320円(税込)

学割2日通し券(ブロック指定):8,000円(税込)



※【学割】チケットは、中学生(満13歳)〜高校生(満18歳)までの方が対象となります。入場時に学生証や保険証等の生年月日の分かる身分証のご提示が必要です。

※小学生以下のお子様は、保護者同伴時に限り入場無料です。保護者の方はチケットのご購入が必要です。



チケット先行販売:「秋田CARAVAN MUSIC FES 2017」特設サイト先行

受付期間:5月14日(日) 12:00 – 5月22日(月) 23:59

「秋田CARAVAN MUSIC FES 2017」特設サイト:http://www.acmf.jp/2017/



枚数制限

2日通し券:4枚まで

1日券:1公演日につき4枚まで



問い合わせ:キョードー東北:022-217-7788



高橋優サイン入りチェキ プレゼント








7月26日にニューシングル「虹 / シンプル」をリリースする高橋優。そんな彼のサイン入りチェキを抽選で2名様にプレゼント。



(どちらのチェキになるかは編集部にお任せください)



応募締切り:2017年8月18日(金)



>プレゼント応募サイト