日本でもインスタントカメラやフィルムカメラの人気がじわじわと再燃しているが、アメリカ・オレゴン州ポートランドでも、写真好きの間でフィルム人気は健在だ。



スリフトショップに行けば格安で手に入るカメラもあるし、珍しいスパイカメラが見つかるこだわりのカメラショップもあったりと、その楽しみ方はいろいろ。フィルムカメラでの撮影を愛する4人のポートランダーに、カメラとの出会いや気に入ってる点、デジカメやスマホでの撮影との違いなどを聞いた。



フィルムカメラを愛するポートランダー4人にインタビュー



Brianne Burgess(ブリアン・バージス)

カメラ:キヤノン Sure Shot(日本での商品名は オートボーイ2)

instagram: @radishsprout



街外れのスリフトショップの半額セールで見つけて



Brianne Burgess





「私がキヤノンの Sure Shot を手に入れたのは2016年11月でした。街を少し出たところにあるスリフトショップ(寄付された衣類・家具・家電などを再販し、その収益を慈善事業にあてる業態)で、値札の3ドルからさらに半額で売られていたの。最高の状態っていうわけじゃなかったけど、電池ボックスに少しお酢を加えたら、再び動くようになったわ」



ピントが合ってなかったりもするけど、撮れた写真はたいてい好き

Brianne Burgess



「信じられないくらい使うのが簡単で、ほとんど誰でも扱えるくらい。撮ったうちの半分くらいは狙ったとおりにはピントが合ってなかったりするけど、それでもたいてい出来上がった写真は好き」



撮ったのを忘れてた写真を見るのも楽しい

Brianne Burgess



「フィルムで撮るのが好きなのは、何枚でも撮れるスマートフォンと比べて、より意図を持って撮っている感じがあるから。フィルムで撮る時には、なんでも撮るわけじゃなくてより選択をしないといけない。それから、フィルム特有の粒子感のような写真自体のクオリティーも大好き。



デジタルと比べて、よりカタチのあるものというのを感じられるし、フィルムでの撮影はスキルもより要求される。フィルムを預けて現像されるまでの間、どんな風に仕上がってくるか予想しながら待つのも好きだし。撮ったのを忘れてることもあるかもしれないけど、そんな写真を見るのも楽しい!」



Devin White(デヴィン・ホワイト)

カメラ: ヤシカ T4 Super(日本での商品名は 京セラ T PROOF)

instagram: @lazernips



僕にとってパーフェクトな1台



Devin White





「いろんな種類のコンパクトカメラで数年撮影をした後、僕にとってパーフェクトな1台を考えて、ゆっくりとその候補を絞り込んでいくようになった。たくさんリサーチをした後で、ヤシカの T4 にたどり着いて、買う余裕がある値段のものを探すようになった。



ついに、クレイグスリスト(不用品の売買、求人、賃貸物件などのやり取りがされるコミュニティサイト)で手を出せる値段のものを見つけて、売り手に連絡を取ったんだ。そして売り手との待ち合わせの日は、その前に銀行にお金を下ろしに行った。待ち合わせまで少し時間があったから、銀行の隣のスリフトショップにフラッと入ったんだ。そうしたら、カメラコーナーの散らかった棚に、今まさに僕が買おうとしてるカメラがあったんだ! しかも数百ドル安い値段で。運命的だったね」



カメラと写真の間に確かなつながりを感じる

Devin White



「T4 は大好きで、他のどのカメラよりもよく使ってる。いつも持ち歩けるいいサイズで、すごく丈夫なんだ。ツァイスレンズはシャープですばらしいよ。



僕はフィルムカメラで、ストリートフォトをたくさん撮ってる。僕がインスピレーションを受けるようなストリートフォトを撮っている人たちを見ると、みんなフィルムカメラを使ってる。そういう意味でもストリートフォトにおいて、フィルムで撮るということが、受け継がれているものの一部のように感じてる。



僕はカメラと写真の間に確かなつながりを感じていて、それはデジタルでは感じたことのないものだ。写真の確かなクオリティーもあるし、僕にとっては簡単な選択だよ」



アートとしての写真や、残しておきたい特別な思い出をフィルムで撮る

Devin White



「アートとして撮る時や残しておきたい特別な思い出を撮る時、僕はフィルムカメラで写真を撮るのが好きだ。より気軽に撮りたい時や、たくさん撮りたい時はスマートフォンのカメラも使うよ。フィルムで撮影する時に、念のためバックアップとしてデジタルカメラでも撮っておくこともある」



Arthur Hitchcock(アーサー・ヒッチコック)

カメラ:ミノックス A または ミノックス III S(1952年頃のもの)

instagram: @arthurhitchcock



セント・ジョンズのカメラショップで見つけたスパイカメラ



Arthur Hitchcock





「僕のミノックスは、ポートランドのセント・ジョンズにあるショップ、ブルームーン・カメラで2年前に買ったんだ。このスパイカメラは大好きだね」



手のひらサイズで小さな絵のような写真を生み出す

Arthur Hitchcock



「レンズはシャープですばらしい。このカメラが生み出す写真はまるで小さな絵のようだ。ポケットや手のひらに収まるサイズで、1本のフィルムで約50枚撮れる。すぐに僕のお気に入りのカメラになったよ。このカメラの発展の仕方や、スパイ活動との協力関係とか、その歴史もすごく面白いんだ」



アーティストとしてネガがすごく重要



Arthur Hitchcock





「デジタルとの大きな違いは、ネガフィルムをつくり出せるかどうか。アーティストとして、長期保存のためという理由と、ワークフロー上の好みの両方で、僕にとってネガはすごく重要。プリントしたい時には暗室でプリントできる、っていうのが好きなんだ。また僕は、カメラというものが持つ制限と特徴から、一枚の写真というのは再現できない唯一のものである、ということを信じてる」



Lauren Zunno(ローレン・ズーノ)

カメラ:オリンパス 35RC

instagram: @laurenzunno



このレンジファインダーで、マニュアルで撮る方法を学んだの



Lauren Zunno





「幸運にも、数年前にこのカメラを譲り受けました。それ以前にフィルムカメラを使ったことはなかったけど、このレンジファインダーを使うことで、ちゃんとマニュアルカメラで撮る方法を学ぶことになりました」



私に必要なただ一つのカメラ

Lauren Zunno



「外国に行く時にも持って行くし、私に必要なただ一つのカメラ。とても小さくて、ミニマルでありながらとてもよく機能するんです」



フィルムでの撮影は、見ているものを撮る最も自然な方法

Lauren Zunno



「私がフィルムで撮るのを好きなのは、目で見ているものを捉える最も自然な方法だから。写真のクオリティーも、他に並ぶものはないですね。



いくつかのデジタルカメラやスマートフォンが捉えることのできる写真も印象的だけど、フィルムを使うことは撮影者に周りの状況によく気づかせて、写真の題材へと力を注がせます」



(インタビュー・文:奥野剛史)




■現地ライター・撮影



奥野 剛史(おくの・たけし)

Takeshi Okuno



サッカー関連の雑誌やウェブサイトの編集や運営を経て、2013年からアメリカ・オレゴン州ポートランドへ。ガイドブック「TRUE PORTLAND」の編集の一部にも携わる。



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