“もうこれ以上音楽はいらない”。OKAMOTO’Sが8月2日にリリースする7枚目のオリジナルアルバム『NO MORE MUSIC』のタイトルは、そういう意味を持つ。



ロックへの深い愛情と造詣を持ち、10代の頃から活躍するバンドが、なぜこのタイミングでそんなセンセーショナルな言葉を投げかけたのか? まずインタビューではその謎から紐解いた。



さらに、今作ではサウンド的にも大きな変化がある。いま日本の音楽シーンでトレンドになっているグルーヴ感のあるポップサウンド。いくつもの実験的な試みによって、より大きな広がりを持つ新たなOKAMOTO’Sの音楽が完成した。今作は憂いと希望を込めたOKAMOTO’Sからの問いかけだと思う。あなたは“本当に”音楽が好きですか?と。(インタビュー&文:秦理絵  撮影:キセキミチコ)




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―アルバムを予告するティザー映像を見たんですが、曲作りに頓挫して、行き詰まってるような場面ですよね。いきなりですが、OKAMOTO’S、大丈夫ですか……?



ハマ・オカモト(B・以下ハマ):大丈夫ですよ(笑)。



オカモトショウ(Vo・以下ショウ):ただ、あれは本当に起きたことで。今回はアルバム収録曲の内、2曲だけニューヨークにレコーディングをしに行ったのですが、なんと失敗に終わり。結局レコーディングをしないで帰ってきました。俺らのなかでアルバムの景色が見えていたからこそNYでの録り音とマッチしなくて。



ハマ:今回は録り音にも過去いちばんこだわりたかった。事前に現地のエンジニアともメールベースで打ち合わせを重ねていたのですが、蓋を開けてみたら、全く違う現実にぶちあたって。



―その2曲はアルバムには入ってないんですか?



ハマ:入ってないです。



―じゃあ、あの映像はレコーディングを続けるか、やめるかを話し合う場面だった。



ショウ:かなりお金もかけているからこそ、簡単には決められなくて。しかも音として格好悪いものになるから嫌だということではなく、自分たちの作りたいものとは微妙に違うという理由だったので。でも、そこで流されずに、アルバムレコーディングはしないという大決断を自分たちができたことは大きかった。それが、今回のアルバムにはきちんと活かされていますし、今後バンドをやり続けるうえでの自信にもなりました。



オカモトコウキ(G・以下コウキ):ネガティブな意味ではなく、理想を見つけるための手段として、間違いのない判断だったと思いますね。「今回はニューヨークでレコーディングしました」っていう触れ込みで、アルバムを宣伝する人たちはいるかもしれないけど、「失敗しました」というのは、いままでになかったパターンだと思います(笑)。



ショウ:ニューヨークまで行ったのに、俺らは録らなかったという事実を、逆に面白いところだと思ってもらえたら嬉しいです。



オカモトレイジ(Dr・以下レイジ):「そのぐらいこだわった」っていうね。









最小限のお金、最小限のリスペクトで音楽を聴けるようになっているなかで、みんなが何を欲して音楽を聴いているのか





オカモトショウ(Vo)




​―ニューヨークに行ったときから、今回のアルバムに掲げてる「NO MORE MUSIC」っていうことも考えてたんですか?



ショウ:アルバムを作りながら、こういうヘヴィなテーマをなんとなく水面下では考えていましたが、そこをコンセプトに作ったわけではないです。もともと年明けぐらいに「NO MORE MUSIC」という曲ができて。このアルバムを作るにあたって、俺とコウキは100曲近くデモ曲を書いているんですということは、うち 8割ぐらいの曲たちはアルバムに入らずに死んでいくわけじゃないですか。しかも、この作品がリリースされて、みんなはどれぐらい聴くんだろう? 本当に心に残るんだろうか?と思った時期がありました。もう俺らも6枚フルアルバムをリリースして、次が7枚目で、誰に求められるんだろう?とまでは言わないけれど、必要なのかどうかもわからなくなってきて。街に出れば、みんなイヤホンやヘッドホンをして歩いてますし、音楽を聴くこと自体はどんどん便利になってる。最小限のお金、最小限のリスペクトで音楽を聴けるようになっているなかで、みんなが何を欲して音楽を聴いているのかも気になりだして。そういうなかで書いたのが「NO MORE MUSIC」なんです。音楽を作るうえの気持ちというか。そのタイトルやメッセージにレイジが反応して、このアルバムをまとめるキーワードとして良いのでは、という流れでしだ。



―レイジくんは、この言葉のどういう部分にピンときたんですか?



レイジ:今ショウが話していたのはたぶん作り手側のNO MORE MUSICという気持ちですが、俺も同じぐらいのタイミングで、聴き手側のNO MORE MUSICを感じていました。いまはApple Musicなどで発売日には新譜が全部フルで聴ける状態になってるじゃないですか。もう聴くのが追いつかなくて。一回みんなリリースを止めてほしいなと思いまして(笑)。音楽は好きだから、聴かないわけじゃないけど、半年ぐらい世界的に音楽のリリースを中止します、ぐらいになってほしい。



―わかります(笑)。



レイジ:そう思っているときに、(ショウが)NO MORE MUSICっていう言葉を出してきたので、このワードが現状を一言で表してると感じて。



コウキ:すでに過去には偉大なレコードがたくさんあるわけじゃないですか。そのうえで僕たちが新たに音楽を作るとしたら、自分のなかできちんと意味を見つけないと、モチベーションを保てないというか。そこに挑戦し続けるのが自分たちの役割なんだということを確認するうえでも、すごく気持ちのこもったタイトルだと思います。



―ハマくんはどうですか?



ハマ:僕は、他のメンバーほど日常の中でそう思ったという瞬間はなくて。むしろ、こういうことを考えさせられるようになったきっかけを身内から投げかけてくれたという気持ちが強いです。日常的にはもう歴史上の作品しか聴いてないですし、新譜への感動なんて2年に1回あるかないか。なので、僕は正直ナチュラルNO MORE MUSICかもしれない。だからこそ、単純に良いテーマだなと思っています。このタイトルをつけたことで、周りの人にも「どうしたの?」って言われますし。





オカモトコウキ(G)




―いま、インタビューでもいちばん最初に振った質問ですもんね。



ハマ:そう、そこさえ掴めたら良いんです。その意味はきちんと説得できる……それは言葉だけではなくて、説得できる歌があるし、歌詞があるし、曲が入っているので。



―このタイトルでシーンを搔き乱してみたい、ぐらいの気持ちですよね。みんな当たり前に音楽を聴いてると、本当のところどう思ってるの?みたいな。



ショウ:このテーマで説教してやろうと思ったわけではないですから。新譜のコーナーで“NO MORE MUSIC”というタイトルが出てきたときに、ハッとする人は音楽が好きな人だと思っていて。音楽が必要な人ほど、これに引っかかるというか。そこから、いざ聴いてみて、よく歌詞を読んだら、「なんだ、こいつの個人的な想いだけか」で、別にいいんです。



―なるほど。今日はOKAMOTO’Sが“NO MORE MUSIC”なんてアルバムを作ったから、かなりシリアスな話になるんじゃないかと想像してきたんですよ。



レイジ:どういうイメージでした?



―本当に音楽に対して必要性を見いだせなくなっているのかな?とか、何を表現すべきかわからなくなってるのかな?とか。しかも、ティザー映像で揉めてるし(笑)



ショウ:そのぐらいのテンションで聞いてきてくれたので、逆にテンションがあがりました(笑)。



ハマ:本気で辞めたいと思っていたり、解散アルバムです、というわけではないですけど、少しシリアスめに「今後どうなるか、みんなで考えないと……ね?」というテンションですね。



―なるほど。じゃあ、次に話を進めます。



ハマ:安心して進めてください(笑)。



僕らのお客さんは、僕らが新しいことにチャレンジするのを楽しんでくれている。その安心感で今作の様な挑戦もできた





ハマ・オカモト(B)




―アルバムのサウンド的なアプローチで言うと、ダークで重めな『BROTHER』とか「ROCKY」の流れがありつつ、いまのトレンドにも踏み込んでますよね。



コウキ:『BROTHER』以降、特に昨年アナログと配信のみでリリースした『BL-EP』の流れでファンキーな部分を意識したところはありました。アダルトさというか。



ショウ:もう26歳だしね(笑)。



コウキ:ワーッて勢いで行くよりも演奏の間(ま)やグルーヴで攻めたり。



ショウ:BPMも従来の楽曲から10〜20ぐらい下げてロックアプローチではないサウンドも増えてきています。



―そういうブラックミュージック的なアプローチは、ちゃんとメンバーのルーツにも通じるところだと思いますけど、このタイミングでより打ち出そうと思ったのは?



ショウ:去年位から(音楽シーンの)潮目が変わってきたと思っています。それまでみんなが「良いね」と言っていたロック像、ポップス像の様なものがガラッと変わってきて。洋楽のシーンでもEDMの反動なのか、どうやって踊ったらいいのかわからないものが流行っていたり。日本でSuchmosの人気がすごいのも、時代によるものもあると思っていて。そういう流れのなかで「え?みんながこういうのを好きなんだったら、俺らもたくさん引き出しがあるよ」っていうことですね。前までだったら、そういう音楽は「別に聴きたくないです」と言われそうで、やる必要もなかった。他にやりたいことは色々とあるし。でも、いまは新しい引き出しを開けても良さそうだという気がしました。それが、なんとなく自分の気分に合っているような気もしたし。



―あえて意地悪な質問をしますけど、いまの発言だけを聞くと、なんとなくOKAMOTO’Sが流行りに乗ろうとしてるようにも受け取られませんか?



ショウ:なるほど……でも、乗れてないと思うんです。



レイジ:俺も同じことを言おうと思った。結局、乗ろうと思ったけど、乗れてないんです。俺ららしさが出ちゃってるから



ショウ:あと、俺とレイジはここ1年ぐらい新譜をよく聴いていて。



コウキ:僕も聴いてるよ。



ショウ:そうだね。もちろんコウキも聴いてるけど。単純にそのモードが出ているというか。いままでは主に曲を書く俺とコウキで擦り合わせながら、アルバムの方向性を考えていましたが、今回は何も考えてないし、あえて話し合いもしてないんです。



ハマ:だから言葉だけで言ったら、流行りに乗ろうとしているように聞こえるかもしれないですけど、BPMを落としたと言っても、まだまだ速いし、いまの流行の音はもっと寝起きっぽいので、そこに寄せているようで、到達はしてないんですよ。



ショウ:本当にやるなら、もっと寄せる方法はあるしね。



ハマ:だから、今回僕らがこういう音楽をやっても良いなと思った、もう1つの理由としては、僕らのお客さんはわりと変化を楽しみにしてくれている人が多いからなんです。何をやっても、ずっと「ファーストが良かった」というお客さんばかりだったら、気持ちの行き場がなくなってしまうというか。実際、いままでも僕らはかなり変化してきましたし、それが世間的には「昔と変わらなくて良い」と評価されて、へこんでいたこともありましたが、僕らのお客さんは、僕らが新しいことにチャレンジするのを楽しんでくれている。その安心感で、今作の様な挑戦もできた。さっきショウが言ったのは外に向けた理由です。まだまだ僕たちを知らない人たちに届けていきたいので。そのふたつの要素が大きいと思います。



―シーンの動向を無視するバンドの美学もあるけれど、OKAMOTO’Sは、それを横目で見ながら、自分たちなりに鳴らしていくバンドということですよね。



ショウ:そうですね。最近、俺、髪を短くし始めたんです。いままでは、けっこう長いことが多かったけど、より普通の人と同じものを増やしたいなと思っています。



ハマ:宇宙人みたいな考え方だな。より人間に擬態するために…(笑)。



全員:あはははは!



ショウ:そういうものを増やすことで、より自分が他の人と何が違うのかをわかってもらえると最近思っていて。だから流行りに乗りたいという意味が違う。



レイジ:流行りをやることで、いかに自分たちが特殊かっていうことがわかる。



ショウ:まさしく。音のレンジをより広げることと、あまりギャーギャー叫んで歌わないということ、あと、髪を切るっていうこと、という3つの要素。そういう普通のことをやってみたら、逆にOKAMOTO’Sやばいなって感じてもらえると思います。



ハマ:普通のフリをするということだよね。



今回はOKAMOTO’Sの歌が嫌いという人にも気に入ってもらえると思っています





オカモトレイジ(Dr)




―わかりやすいです(笑)。一度、ニューヨークでのレコーディングを諦めたあとは、スムーズに録れたんですか?



コウキ:日本での作業はいままででいちばん速いぐらいでした。



ショウ:3倍速ぐらいだった気がする。



コウキ:大体、夕方ぐらいには終わっていました。



ショウ:歌を録るのもだいぶ速くなりました。今回はOKAMOTO’Sの歌が嫌いという人にも気に入ってもらえると思っています。ギャーギャー叫ばなくなって、普通に歌うようになったというか。俺が好きなことをやると、異常だと思われてしまうので。



―そこも普通のフリをして(笑)。



ショウ:ということもありつつ、歌詞でも普通のことしか書いてないですからね。



―よりパーソナルな部分を出すようになってますよね。



ショウ:そうですね。昔はある種のロックの虚栄の様なものに……。



コウキ:ロック幻想(笑)。



ショウ:そういう存在になりたい一心で作りあげていました。でも、ある種いまも一緒なんです。音楽のことを音楽で歌ってしまうぐらい、趣味が音楽しかない人というクレイジーな感じは出ているものの、その表現の仕方がだいぶ大人っぽくなっています。



コウキ:だから不思議なんですよ。(ショウは)受け取りやすく書くと、受け取られにくい場合があって。そういうことを気にしないで個人的なことを書いているほうが、どんどん受け入られやすくなってきているというか。



ショウ:それも一周してるからだと思います。たとえば、17歳ぐらいで「俺は歌いたいことを歌ってるんだ」という人の“歌いたいこと”が、本当に“歌いたいこと”だとは、俺は思ってないというか。やっぱり一回人に伝えようとしたことのある人間のほうが、絶対に伝わる。そのプロセスを踏んだからこそ、自分のパーソナルなことを歌えているんじゃないかと思います。



―いま、OKAMOTO’Sのバンドの位置としては「一周したな」という実感ですか?



コウキ:『OPERA』は、僕らが大人に成長していく過程の最後のあがきという印象があって。今回は大人になった僕らが一歩踏み出しますよ、というイメージの作品ですね。



レイジ:「やっとメジャーデビューしました」ぐらいの感じです。



ショウ:この3作ぐらいずっと「これでメジャーデビューしました」って言ってるよね。



レイジ:4枚目の『OKAMOTO'S』のときからね。



ハマ:それだけ聞くとバカっぽいな(笑)。



―今日の話を訊くと、より大衆的なほうに目が向いてるし、普通のフリをしてみたりとか、あながちメジャーデビュー盤っぽいというのも間違いではないのかなと。



ハマ:僕らも「何回も言ってるな」と思いつつ、真剣にそのとおりだと思っています。



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OKAMOTO'S リリース情報












NO MORE MUSIC



2017年8月2日発売



初回生産限定盤(CD+DVD) BVCL-820〜821 \3780(税込)



通常盤(CD) BVCL-822 \3300(税込)



完全生産限定アナログ盤(12インチ) BVJL-26 \4320円(税込)




【CD収録曲】1.90’S TOKYO BOYS 2.BEDROOM 3.BROTHER 4.NEKO 5.Cold Summer 6.NO MORE MUSIC 7.WENDY 8.時差 9.SAVE ME 10.Star Light



初回生産限定盤収録…OKAMOTO'S MOVIE⑫「NO MORE MUSIC」RECORDING DOCUMENTARY



新曲「90’S TOKYO BOYS」先行配信中!https://aoj.lnk.to/uix9u








【NO MORE MUSIC SPECIAL SITE】 URL:http://www.okamotos.net/special/nmm/



OKAMOTO'S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC



10月30日(月)東京・恵比寿リキッドルーム

18:15 OPEN / 19:00 START



11月4日(土)宮城・仙台darwin

17:30 OPEN / 18:00 START



11月5日(日)新潟・新潟GOLDEN PIGS RED STAGE

17:30 OPEN / 18:00 START



11月12日(日)石川・金沢AZ

17:30 OPEN / 18:00 START



11月17日(金)静岡・浜松窓枠

18:15 OPEN / 19:00 START



11月18日(土)京都・京都磔磔

17:30 OPEN / 18:00 START



11月19日(日)和歌山・和歌山CLUB GATE

17:30 OPEN / 18:00 START



11月23日(木・祝)青森・青森Quarter

17:30 OPEN / 18:00 START



11月25日(土)北海道・札幌PENNY LANE24

17:30 OPEN / 18:00 START



11月26日(日)北海道・旭川CASINO DRIVE

17:30 OPEN / 18:00 START



12月2日(土)山口・周南LIVE rise

17:30 OPEN / 18:00 START



12月3日(日)熊本・熊本B.9 V2

17:30 OPEN / 18:00 START



12月5日(火)鹿児島・鹿児島SR HALL

18:30 OPEN / 19:00 START



12月7日(木)兵庫・神戸VARIT.

18:30 OPEN / 19:00 START



12月9日(土)愛媛・松山サロンキティ

17:30 OPEN / 18:00 START



12月10日(日)香川・高松DIME

17:30 OPEN / 18:00 START



12月15日(金)栃木・宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2

18:30 OPEN / 19:00 START



12月16日(土)長野・長野CLUB JUNK BOX

17:30 OPEN / 18:00 START





▼2018年



1月13日(土)岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM

17:15 OPEN / 18:00 START



1月14日(日)福岡・福岡DRUM LOGOS

17:15 OPEN / 18:00 START



1月20日(土)大阪・なんばHatch

17:15 OPEN / 18:00 START



1月21日(日)愛知・名古屋DIAMOND HALL

17:15 OPEN / 18:00 START



1月28日(日)東京・Zepp Tokyo

17:00 OPEN / 18:00 START



【90’S TOKYO BOYS IN HALL SPECIAL SITE】http://www.okamotos.net/special/90stbih/