ICカードやQRコードなどキャッシュレスによる支払いが山陰でも広がっています。こうしたなかキャッシュレス化の波は一見、無縁な神社にも及んでいます。
ただその背景には意外な理由もありました。
岡部楓子アナウンサー:
「小銭を投げ入れて参拝するのが神社の従来の参拝方法でしたが、今、小銭を使わない新しい参拝方法が広まりつつあります」
神社の参拝に欠かせない「さい銭」。山陰にも電子決済=キャッシュレスで納められる神社があります。米子市の賀茂神社天満宮。米子では最も古いとされる神社のひとつで、鎮守の神として信仰を集めてきました。この神社も電子決済サービスを導入。さい銭だけでなくお守りや御朱印、祈祷のときの「初穂料」などに対応しています。
新型コロナ対策として「非接触」であること、そして若い世代にも気軽に参拝してほしいという思いもありましたが最近になって、切実な悩みが出てきたといいます。
賀茂神社天満宮 須山倫史宮司:
「金融機関に硬貨を預け入れると手数料がかかる」
今年1月、ゆうちょ銀行が硬貨の預入を有料に。さい銭を中心に日々、多くのお金を「硬貨」で受け取る神社。キャッシュレスならこの悩ましい手数料の問題も解決してくれます。さらに。
賀茂神社天満宮 須山倫史宮司:
「何度か被害にあっている」
これも最近、多くの神社が頭を悩ませている「さい銭」の盗難です。
賀茂神社天満宮 須山倫史宮司:
「電子決済がすすんでいけば賽銭泥棒も諦めてくれるんじゃないかと思う」
盗難被害の予防策としてもキャッシュレスに期待します。警察庁によると、おととし1年間に鳥取・島根両県では26件の「さい銭泥棒」の被害が確認されています。
勝田神社 佐々木義敬禰宜:
「鍵穴がいっぱいあるがこのあたりを壊されて空けられてしまった」
同じ米子市の勝田神社。古くから「かんださん」と呼ばれ親しまれてきました。
勝田神社 佐々木義敬禰宜:
「やっぱり防犯上は非常に有効な手立てだとは思う。そのあたりは聖と俗の線引きというのは苦慮している」
こちらでも何度か「さい銭泥棒」の被害に遭ったということで、キャッシュレス決済は防犯対策のひとつだと考えていますが、一方で。
岡部楓子アナウンサー:
「こちらの神社ではおみくじは電子決済サービスが使用できますが、お賽銭だけは現金のみでの対応だということです」
勝田神社 佐々木義敬禰宜:
「両替のこちらとしての業務負担だったりとか、お客さんの負担が減るのかなと思いPayPay電子決済を導入した」
勝田神社では半年ほど前にキャッシュレス決済を導入。おみくじや御朱印、お守りに対応していますが、さい銭を納めるのは現金だけ。そこにはこんな思いがありました。
勝田神社 佐々木義敬禰宜:
「現金を入れてお供えする行為が神社にお参りする文化なのでそれを大事にしたい。電子決済の音とかシステムとか雰囲気がちょっとまだマッチしていないのかなというところがあるので、導入はまだ見送っている」
さい銭と祈祷などのために納める「初穂料」は米などの農作物の代わりに現金を納めるようになったもので神様への「お供えもの」としての意味合いがあり「かたちあるもの」を納める習わしを大切にしたいという思いです。さい銭もキャッシュレスで納められる賀茂神社では、電子決済の利用者は、まだ全体の1割ほどだといいます。
賀茂神社天満宮 須山倫史宮司:
「これから現金がなくなるということはない。使い勝手の良いパターンを参拝者の方が選んでいただければ」
伝統文化と利便性のはざまで山陰の神社でも電子決済サービスは今後、広がりを見せるのでしょうか。