警察が飼育する「直轄警察犬」を鳥取県警が、今年度、初めて導入しました。犯罪捜査や行方不明者の捜索などに欠かせない警察犬。鳥取県内では、年々増加する出動要請に十分こたえられていないのが現状だといいます。その背景、そして、警察犬をめぐる課題について取材しました。
鳥取市の鳥取県警察学校。ここで訓練を受けているのが…警察犬・ドリー。現在3歳、メスのシェパードです。武器はそのするどい「嗅覚」です。
鳥取県警・松塚春輝さん:
「このにおいがついていない布に、本田さん(記者)に持っていただいてにおいをつけていただきます。そのにおいをたどって、ドリーが探し当てていきます」
鳥取県警・松塚春輝さん:
「靴の中に布を入れてもらっていいですか?足で踏んでもらうと」
本田航太記者:
「これでにおいがつくわけでしょうか」
鳥取県警・松塚春輝さん:
「はい」
布ににおいをつけ、ドリーから身を隠します。ドリーがその布を嗅ぎ、においを覚えたら捜索開始です。
鳥取県警・松塚春輝さん:
「探せ!そうそうそう!嗅いで、嗅いで!」
本田航太記者:
「うわ、すごいですね。こっち来ましたね。わーすごい!見つかりました!」
見事に記者を探し当てました。
人間の1億倍ともいわれる犬の優れた嗅覚を捜査に活用。警察犬は「鼻の捜査官」とも呼ばれます。
鳥取県警・松塚春輝さん:
「例えば、犯人が現場から逃げた時に捜査する犯罪捜査の分野や、行方不明者の捜索などで効果を上げられるよう訓練している。ドリーの場合は、警察で管理する『直轄警察犬』です」
ドリーは、今年4月に採用された鳥取県警では初めての「直轄警察犬」。これまでに11回、捜査・捜索の現場に出動しています。
警察犬は、ドリーのように警察が飼育する「直轄警察犬」と民間が飼育する「嘱託警察犬」の2つに分けられます。鳥取県警の警察犬はこれまで「嘱託」だけ。6月に引退した「広報犬」のカリンとフーガも「嘱託警察犬」でした。
鳥取県内では去年、警察犬が出動したのは24件、ここ数年は減少傾向です。しかし…出動要請の件数をみると、去年は101件と過去5年間で最多。実は、要請があっても、警察犬が出動できないケースが増えています。
鳥取県警・松塚春輝さん:
「高齢者の行方不明も増えているのでそういった需要が増えているのが現状」
要請増加の要因のひとつが行方不明者の増加。認知症などにより、高齢者の「徘徊」が増えていると見られます。今後、高齢化がさらに進めば、警察犬の出動機会も大幅な増加が見込まれます。ただ、こうした現場に嘱託警察犬が出動するためには、飼い主や民間の訓練士の協力が不可欠で、実際に調整がうまくいかず、出動できなかったり、初動が遅れたりしたケースも少なくないといいます。
そこで、事件や捜索への迅速な対応を期待して、鳥取県警は直轄のドリーを採用、全国でも28の都道府県で「直轄警察犬」を導入しています。
一方で、増加する出動要請に対応するため、「嘱託警察犬」を増やすことも考えられますが、課題が…
鳥取県警・松塚春輝さん:
「警察犬の『なり手』も年々減っているし、嘱託警察犬の指導手や警察犬自体も数が減っている。また、大型犬を飼う人が少なくなっていることも『なり手』不足に影響している」
警察犬の「なり手」不足です。鳥取県警の「嘱託警察犬」は現在9頭。5年前の半分近くにまで減っています。警察犬の育成には通常2年程度かかり、飼育や訓練にかかる経費は年間約60万円。その全額を飼い主が負担しています。
鳥取県警の場合、出動すると、日中は1時間あたり3000円、夜間は4500円の謝金が支払われますが、費用面での負担が大きく、「なり手」不足の一因になっているといいます。
鳥取県警・松塚春輝さん:
「犬種を特定しているわけではないので、少しでも多くの方に警察犬を目指してほしい」
高齢化が進み、出動要請の増加もさらに見込まれるなか、頼みの「鼻の捜査官」をどのように確保するのか、早急な対策が求められています。